PERSON

2026.02.24

明石家さんまの「ひゃー」という2秒の間、タモリの「へえ、そうなんだ」のシンプルな相槌。実はとんでもないトーク力の極意

2026年2月初旬に広島蔦屋書店で行われた、吉本NSCの人気No.1講師・桝本壮志氏の最新刊『時間と自信を奪う人とは距離を置く』の刊行記念イベント。地元芸人のボールボーイ佐竹氏を相方に迎え、笑いのなかにも核心を突いた「人生相談」は参加者たちの心を揺さぶった。その珠玉のトークの一部を特別公開する。4回目。【他の記事はコチラ

桝本壮志
桝本 壮志/Soushi Masumoto(右)
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。M-1王者「令和ロマン」をはじめ、多くの人気芸人を輩出。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。

【相談④】面白い話をしたり、場を盛り上げたりするのが苦手です。どうすれば「トーク力」を磨けますか?

「トーク力=面白い話をすること」と思われがちですが、実は全く違います。私が考える「本当にトーク力が高い人」とは、実は「喋る能力」以上に「適切な相槌」と「深い頷き」ができる人なんです。お笑い界のトップで16年以上講師として若手を見てきましたが、喋りすぎる子よりも、実は黙って聞いている時の姿勢が良い子の方が、結果として現場で重宝され、売れていく傾向にあります。

この「聞く力」の究極の体現者は、タモリさんと明石家さんまさんです。

まず、タモリさんの凄さについてお話ししましょう。私は長年『笑っていいとも!』などの現場でタモリさんの振る舞いを見てきましたが、タモリさんのトークには一切の「力み」がありません。

相手が世界的なハリウッドスターであっても、近所の子供であっても、全く同じフラットな温度感で永遠にくだらない話を続けられる。これは、相手を否定せず、すべてを肯定的に受け入れる「究極のフラットな受容」があるからです。

タモリさんは「へえ、そうなんだ」という極めてシンプルな相槌一つで、相手が「もっとこの人に話したい」と思える圧倒的な安心感を作り出します。自分の意見や色を押し付けず、透明な鏡のように相手を映し出すことで、相手の素顔と面白い側面を自然に引き出してしまいます。これは技術を超えた「聞く姿勢」の極致なんです。

一方で、明石家さんまさんは、実は誰よりも高度な「待てる聞き手」です。さんまさんのトークをよく観察してみてください。あの有名な「ひゃー!」というリアクションや大きな笑い。これらは、単に場を盛り上げているだけではなく、相手が話し終えた直後にあえて「2秒」ほどの溜めを作る役割を果たしています。

普通の人なら、相手の話が終わるとすぐに自分の話を被せてしまいがちですが、さんまさんは「ひゃー!」というリアクションを挟むことで、次の話へすぐには移らない「間」を意図的に生み出しているんです。この絶妙な「2秒の間」があるからこそ、話し手は「あ、自分の話がしっかり届いた、共感してもらえたんだ」という多大な安心感と、認められた快感を得ることができます。

さんまさんのトーク術の本質は、自分が喋ることではなく、相手が最も気持ちいい瞬間を逃さず、リアクションによって豊かな「溜め」を作る技術にあります。

NSCの授業でも、私は生徒が喋っていない時の「聞き手としての態度」を厳しくチェックしています。自分の番が来るのを虎視眈々と待っているだけの子は、相手の話の本質を聞いていないので、相槌がズレます。

一方で、EXITの兼近君などは、聞き手としての感度が異常に高い。相手の話の句読点や感情の起伏に合わせ、実に心地よいタイミングで「ほう」「へえ」と頷きます。これこそが話し手のポテンシャルを最大限に引き出し、結果として「この人と話すと楽しい」と思わせるトーク力の正体なのです。

皆さんも、もし喋るのが苦手だ、面白いことが言えないと悩んでいるなら、今日から「まずは全力で頷くこと」から始めてみてください。自分が面白いことを言おう、場を盛り上げようとするプレッシャーを一度捨てて、相手の話を120%楽しんで聞くことに集中する。

その「聞き上手」な姿勢を極めることこそが、結果としてあなたを「また会いたい、また話したいと思われるトーク力の高い人」に変えていきます。口を動かす前に、首を縦に振り、心で相槌を打つ。これこそが、レジェンドたちが実践し続けているコミュニケーションの真髄なんですよ。

※5回目に続く

TEXT=ゲーテ編集部

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