さまざまな業界のトップランナーが、“身体の不調を解消する駆け込み寺”として絶大な信頼を寄せる施術師、渡辺真一。これまで顔もフルネームも伏せてきた“知る人ぞ知るゴットハンド”に、独占インタビューを実施。独自に展開する「バーテックス療法」についても語ってもらった。

独自の理論と手技から生まれた「バーテックス療法」
顧客リストには、長嶋一茂に竹内涼真、川谷絵音、野口五郎、岩崎宏美、ジェンソン・バトン、亀田興毅、本田直之など、錚々たるビッグネームが名を連ねる施術師、渡辺真一。2008年の独立開業以来、営業は一切にしていないものの、口コミだけで予約が殺到。
声が出なくなった歌手の喉が一瞬にして戻り、深刻な怪我で選手生命が危ぶまれるほどの怪我に悩んでいたアスリートが奇跡の復活を果たすなど、その“伝説”は枚挙にいとまがない。
タレントの長嶋一茂氏も、3年前、初めて施術を受けた際、首と手に触れただけで自身が長年抱える不調を言い当てて改善してくれた渡辺氏に、「これから僕の身体のことは、すべて任せる」と言うほど、渡辺氏に心酔している。
整体や鍼灸の専門学校に通い、関連する国家資格を取得してはいるものの、渡辺の施術は、従来とは全く異なる独自の理論と手技を用いている。それが、本邦初公開となる「バーテックス療法」、骨のコリ=骨コリにアプローチするというものだ。
骨の表面は滑らかなイメージがあるが、実は、「月のクレーターのように凸凹しています」と、渡辺氏。ピーク(山頂)があり、斜面があり、コル(鞍部)がある……と、小さな山が連なった、いわば、山脈のような状態なのだと。そして、そのピーク=頂点が生じてしまう原因は、重力にあると指摘する。
「激しい運動をすると身体に反動がきますが、ただ立っているだけ、座っているだけでも、重力によって身体には大きな負荷がかかります。たとえば、体重60kgの人なら、関節や筋肉は常に60㎏の重さで押されていて、その結果、骨に山のように隆起してしまう部分が生じるのです。
そのなかには、不調や痛みを引き起こすほどに尖ってしまう頂点が存在する。その頂点を、私は“バーテックス”と呼んでいるのですが、この部分の骨コリを取り去る、つまり尖った部分を滑らかにするのが、私が生み出した『バーテックス療法』なのです」

「ここが辛い」と、バーテックスの方から訴えて来る
「骨コリを取り去る方法として、私は2つのステップを行っています。ひとつめは、ゼログラビティ、つまり無重力の状態をつくること。腕や足など、ターゲットとする部位を片方の手で支えながら、もう片方の手で施術を行うのです。そうやって、負荷を解消することで、痛みを取り去る準備ができます。
2つめのステップは、“そのバーテックス”に有効な刺激を与えること。人によって、また、同じ人でもバーテックスによって、尖り方や形が違うので、ゆする、さする、つまむなど、そのバーテックスに最適な刺激を与えることで、尖った部分を滑らかにしていくのです」
とはいえ、我々一般人が、自分の骨の表面を触っても、どこがどう突起しているのかわからない。渡辺氏は、そのバーテックスをどのようにして見つけているのだろうか。
「お客様の身体に触らせていただくと、『ここがバーテックスだ』と、自然とわかるんですよ。僕自身が見つけるというより、バーテックスの方から、『ここだよ、ここが辛いんだよ』と、訴えて来るというか……。信じていただくのは難しいかもしれませんが、お客様の身体が教えてくれる。僕は、それに対してアプローチをしているだけなんです」

1979年神奈川県生まれ。整体と鍼灸の専門学校を卒業し、2008年に独立開業。長嶋一茂に竹内涼真、川谷絵音、野口五郎、岩崎宏美、ジェンソン・バトン、亀田興毅、本田直之など、錚々たる人物を顧客に持つ。今春、日本バーテックス協会を設立し、スクールも開校予定。詳細はコチラ。
この現象こそが、渡辺氏が“ゴットハンド”と呼ばれる所以なのだろう。もっとも渡辺氏自身は、その称号に驕ることもなければ、居丈高な態度をとることもない。「治療しているという感覚はなく、その人にとって一番いいコンディションを作ってあげたいと思っているだけ」と、あくまでも謙虚で、自然体だ。
後編では、そんなゴットハンドがいかにして生まれたのか、数奇な運命について話してもらおう。
※後編に続く