PERSON

2025.03.06

世界が認める日本の照明ブランド社長、こだわりの邸宅を拝見。光の陰影が美しい

どんな家具を置き、どんなアートを配するか。インテリアが、その空間に身を置く者に与える影響は大きい。時に癒やされ、時に鼓舞される、アンビエンテック代表・久野義憲氏の暮らしを彩るインテリアを考察! 【特集 アートな家具】

ソファに座る久野義憲氏
3ヵ月熟考して選んだソファ。背もたれの移動や、自由な組み合わせができることも選択のポイントに。

削ぎ落とした空間の温もり。思考を巡らせるソファ

「ここはクリエイティヴィティを高められる場所。オフィスより思考が明確になり、アイデアが湧いてくるんです」

そう語るのは、モダンなデザインの灯りを生みだす日本の照明ブランド、アンビエンテックの代表、久野義憲氏だ。

天井からの照明をいっさい排除し、昼間は窓からの光が、夜はライトの光が左官仕上げの白い壁に反射し拡がっていくこの自室に、久野氏が選んだのはマリオ・ベリーニによる名作ソファ「カマレオンダ」だ。B&B イタリアが1970年に発表したデザインはそのままに、2020年に内部構造をサステイナブルな仕様に刷新し復刻した。

「気に入ったのはやっぱりこのフォルム。無機質な部屋もこの柔らかな曲線が有機的な印象を与えてくれる。最小限の照明のもと光の陰影によって美しく浮かび上がる、オブジェのようなソファだと思っています」

そしてクオリティの高さも選択の大きなポイントに。

「以前使っていたB&B イタリアのソファも、10年以上経っても座り心地のよさはまったく変わらない。家具は一生モノなので、デザインだけで終わらない機能的な信頼性も重要だと思います」

魅力的な空間をつくりだす名作家具の哲学に共鳴

アートのような美しさと上質さ、それはアンビエンテックのモノづくりの哲学とも通じるものがあるという。

「私たちがつくるのは機能としての光源だけではなく、情緒に訴えかけ、魅力的な空間を生みだす照明です。デザインから素材、仕上げにいたるまで上質さを追求し、使用していない時も佇まいが美しい。そんな照明を目指しています」

防水、コードレスといった機能も兼ね備えた独創的なデザインの実現も、水中撮影機材の開発・製造で培った技術に裏づけられたもの。「カマレオンダ」もそんなアンビエンテックの柔らかな灯りに包まれて、より魅力と存在感を増しているようだ。

「好きな音楽を聴きながら、ここに座っているとさまざまなことを深く考えることができるんです。溢れる情報のなかでは、選択にも瞬発力が求められがち。でもここは自分自身、熟慮して、最善の選択ができる場所になっていると思います」

世界が認める日本の照明ブランドの、さまざまな思考の起点となるのが、この空間であり、このソファなのだ。

久野義憲氏の自邸にあるカウンター
ソファに座ると、目の前にはお気に入りのオブジェが置かれたカウンターが。カウンター裏の生活感あるスペースを隠し、集中できる空間を生みだしている。バング&オルフセンのスピーカーから流れる音楽、アルゼンチン発のフレグランスメゾン、フエギア1833の香り、そしてさまざまなフォルムのアンビエンテックの照明が放つ光に包まれたこの場所が、久野氏の思考を刺激する。

惚れ惚れするブランド

1.バング&オルフセン
「音響技術だけではなく、デザイン性と素材による耐久性と美しさを兼ね備えたモノづくりに共感しています」

2.フロス/アルテミデ
「著名なデザイナーや建築家を起用し、美しくも実用的なアートピースとしての照明を生みだしています」

3.チェコッティ・コレツィオーニ
最高級の木材を使用し、手作業で作られるイタリアの家具ブランド。「滑らかな曲線はまるで楽器かアートのよう」

久野義憲/Yoshinori Kuno
アンビエンテック代表。1969年愛知県生まれ。愛知大学卒業後、プラザクリエイトを経て、1999年水中撮影機材を手がけるエーオーアイ・ジャパンを設立。その技術をもとに2009年コードレス照明ブランド、アンビエンテックを設立。

【特集 アートな家具】

この記事はGOETHE 2025年4月号「総力特集:惚れ惚れする人生の相棒、アートな家具」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=牛丸由紀子

PHOTOGRAPH=筒井義昭

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