「甘えた気持ちでいるくらいなら、今すぐ仕事をやめたほうがいい。それは常に自分に言い聞かせています」。2021年にデビューした現在19歳、初の写真集も発売したばかりのモデルで俳優の安斉星来。初出演映画『君は放課後インソムニア』も2023年6月に公開され、バラエティ番組にも多数出演、順風満帆にキャリアをスタートさせているが、本人はいたって冷静だ。
嫌われてでもチームのためにしないといけないことがあった
「やらせていただく仕事すべてに、自分で目標を設定して、その仕事から何を持ち帰れるか、ひとつひとつの意味を常に考えています。ただなんとなくやる、そんな仕事はしたくないんです」
その彼女が、「自分のすべてを注ぎこむ」べく作り上げたのが、写真集『Sirius』だ。
「写真集って素の顔、ありのままの姿を出せるのがいいっていいますよね。でも、結局衣装を着ているし、メイクもしてもらっている。薄いメイクをして、それを素の自分、というのはなんだか違う気がしたんです。だから、素とも違う、自分のなかにある強さを表現しよう、そう思って取り組みました」
ロケ地に選んだのは力強い自然のある奄美大島。
「編集やスタッフの方と、最後にせーの、で表紙にしたい写真を指差したら、私がこれと決めていた1枚と全員同じものを指したんです。ああ、みんな同じ想いでつくっていたんだなと思えて嬉しかったですね」
学生時代はバレーボールの選手を夢見た。キャプテンも務め、そこで培ったド根性が、今の彼女を動かすエンジンだ。
「バレーボールをとおして、負けず嫌いの精神が培われました(笑)。今の私の夢は、アクションをやること。バレーボールで身体を動かす楽しさを知らなければ、出会えない夢でした」
負けず嫌いを培ったバレーボールでのエピソードをたずねると、意外にも返ってきたのは、試合ではなく、キャプテン、つまりリーダーとしての在り方だった。
「私はキャプテンだったので、厳しい態度をとったり、つらい練習メニューを組んだりと、たぶん部員に嫌われていました(笑)。本当は仲よくしたいし、嫌われたくない。すごく歯がゆくて悔しかったんですが、嫌われてでもチームのためにしないといけないことがあったんです」
アスリートがひとつひとつの身体の動きを分析し、トレーニングを重ねるように、今はひとつひとつの仕事で経験を積む時期だと感じている。
「どんな役を演じようと、バラエティでどんな役割を与えられようと、絶対に本来の自分を混ぜたいと思っています。例えばものすごい悪人など、共感できない役でも、自分ならそのシチュエーションでどうするか、ひとつひとつ考えて、自分の色を出していきたいです」
本誌の表紙に掲げられた「仕事が楽しければ人生も愉しい」というフレーズを見て頷く、19歳とは思えないストイックな安斉星来。オンとオフを切り替えることもあまりないという。
「基本的に寝るまでずっとオンなんです。スマホをダラダラ見ないように、SNSを見る時間も決めているくらい、効率的でいたいタイプ。でも、最近は香りが気持ちをリセットしてくれています。眠る前につけるリラックスできる香水やアロマにハマっていて。朝起きたら、仕事モードになれる香りをつける。重ための、メンズっぽい香りでよし行くぞ! って気分になるんです」
今はまさに、鍛錬の日々。負けず嫌いの彼女がどうエンタメ界に切りこんでいくのか、刮目したい。