PERSON

2023.05.13

【篠原ともえ】デザイナーとして飛躍のきっかけとなった彼との出会い

アスリート、文化人、経営者ら各界のトップランナーによる新感覚オンラインライブイベント「Climbers(クライマーズ)」。その第6弾が、2023年4月26日から3日間にわたって開催され、ビジネスパーソンを大いに熱狂させた。今回、デザイナー/アーティストの篠原ともえさんによる特別講義を一部抜粋して掲載。すべての講義を聴くことができるアーカイブ配信はこちら。※2023年5月2日〜5月15日18時までの無料限定公開。申し込みは画面内右上もしくは下の「視聴登録はこちら」より

篠原ともえ

ものづくりで生きていきたい

1995年春、石野卓球さんのプロデュースで歌手としてデビューしました。当時、私は東京都八王子工業高校の応用デザイン科に在籍していて、自分で作ったものを世に出したいという思いを強く持っていました。テレビやステージで着ていた衣装は、自分でデザインしたものがほとんど。ハーフパンツやチャイナドレスは自分でパターンを引いて仕立て、Tシャツやバッグには好みの図柄をプリントしたり。そうしたファッションアイテムが注目を集め、シノラーブームになったのは誇らしい思い出です。

芸能の仕事を続けるうちに、「作ることを生業にしたい」という思いが強まってきました。レギュラー出演していた音楽番組『LOVE LOVE あいしてる』でKinKi Kidsとバンドを組むことになった時も「衣装を作りたいです」と自ら志願しました。ダメでもしょうがないって気持ちで、とにかく自分のアイデアやデザインをどんどん提案しました。その意気込みが制作フタッフさんへも伝わり、「取り入れましょう」って言ってくれるのがすごくうれしかったですね。

当時はものすごく忙しかったです。芸能活動とデザインを両立させようとしていましたから。スケジュール的にも限界だったのですが、好きなことなら頑張れる。その繰り返しで乗り切っていました。

少しずつファッションデザイナーとしての活動も認められて、自分の衣装だけでなく、ほかのアーティストの衣装もデザインするようになりました。松任谷由実さんの衣装はバンドメンバー合わせ40着以上、嵐さんの衣装は70着くらい作りましたね。図書館などへ出かけてリサーチし、デザインを考え、プレゼンボードを制作する。レベルの高い要求をひとりで乗り越えられるのかプレッシャーもありました。

チームの力って素晴らしい

私は芸能とファッションの仕事を掛け持ちでやっている。だけどデザイナーには、デザイン一本で勝負している人が多い。そうした人たちに私は勝てるのだろうか。私はきちんと作品レベルを上げていけるのかって悩み始めてしまったんです。

そんな時に、グラフィックデザイナーでアートディレクターの池澤樹さんと出会いました。結婚に至り、私が培ってきたものと彼のデザインの視点を掛け合わせて、新しいことにチャレンジしよう。そのために2人で会社をつくろうという流れになりました。

2020年にSTUDEOを設立。それまで、ひとりで悩み、ひとりで制作していた“私のものづくり”がチームで行えるようになりました。みんなでものをつくるって、いいですよね。リサーチ、コンセプト設計、デザイン、制作など、工程のひとつずつが、自分ひとりで抱え込むことなく、丁寧に行えるんです。

それにチームがあると、より深く学ぶことができますよね。わからないことがあればすぐに聞くことができる。年下のスタッフに怒られることもたびたびありますが、その体験さえ感謝しています。

STUDEOは2022年、世界で最も古い国際的な広告賞「第101回ニューヨークADC賞」に、革のきもの作品「THE LEATHER SCRAP KIMONO」を出品。ブランドコミュニケーション部門とファッションデザイン部門で2冠を達成しました。歴史ある賞に挑戦して本当によかった。そして、チームみんなで喜びを分かち合うことができて、心からうれしいと感じています。

▶︎▶︎篠原ともえさんの講義全文を動画でチェック。
2023年5月2日〜5月15日18時までの無料限定公開。申し込みは画面内右上もしくは下の「視聴登録はこちら」より。※アーカイブ視聴申し込みは5月14日18時まで

 
篠原ともえ/Tomoe Shinohara
1995年歌手デビュー。文化女子大学(現・文化学園)短期大学部服装学科デザイン専攻卒。メディアでの活動を経て、衣装デザイナー、イラストレーター、テキスタイルデザイナーとしても活躍。2020年アートディレクターの池澤樹とともにクリエイティブスタジオ「STUDEO」を設立。2022年デザイン・ディレクションを手がけた革の着物作品がニューヨークADC賞(銀・銅)、東京ADC賞を受賞。

TEXT=川岸徹

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