アスリート、文化人、経営者ら各界のトップランナーによる新感覚オンラインライブイベント「Climbers(クライマーズ)」。その第6弾が、2023年4月26日から3日間にわたって開催され、ビジネスパーソンを大いに熱狂させた。今回、元大阪府知事・元大阪市長の橋下徹さんとLegalOn Technologies代表取締役 執行役員・CEO/弁護士の角田望さんによる特別講義を一部抜粋して掲載。すべての講義を聴くことができるアーカイブ配信はこちら。※2023年5月2日〜5月15日18時までの無料限定公開。申し込みは画面内右上もしくは下の「視聴登録はこちら」より
日本は法律を可視化すべき
橋下 角田さんは京都大学法学部を卒業し、司法試験で1位をとって弁護士になられた。1位っていうのはすごい。そんな人が本当にいるとは思わなかった(笑)。それから法律事務所で働き始めたんだけど、4年後にLegalForce(現:LegalOn Technologies)というリーガルテックの会社を起業。どうして弁護士の仕事の傍ら、ベンチャー事業に挑む気になったのですか。
角田 「怒り」に近い感情ですね。法律事務所で働き始めましたが、初めのうちは契約書のチェックとか、資料作成とか、作業的な仕事ばかり。それで、誤字脱字で怒られるんです。弁護士になったのに、どうしてこんなところで怒られないといけないのか。時代はすでにAIが囲碁で人間に勝つ時代。そんな時代に誤字脱字を人間がチェックしていることに、非効率さを感じたんです。
橋下 それで、「怒り」をもって起業した?
角田 日本は欧米に比べて、法律とテクノロジーの掛け合わせが著しく遅れている。ITの力を活用して可視化できれば、法律は国民にとってもっと身近なものになるはず。道路や公共施設などのインフラと同じように、誰もが理解し、運用できるものにしたいなと。いま、日本には約4万件の法令があります。それをきっちりと把握している人なんていないでしょう。
橋下 役所だって、把握していない。例えば、理容師は客の耳かきをしてもいい。でも、美容師はしちゃいけないという法律がある。役所の人に「どうしてですか?」と聞いたら、「何でですかね」と答えが返ってきた。法律をテックの力で可視化し、効率のいいものにしていかなければならないと思います。
怒りを原動力に突っ走る
角田 橋下さんが大阪府知事、大阪市長を務められていた時に、原動力としていたものは何ですか?
橋下 角田さんと同じく、「怒り」ですよ。「なんで、そんなところに税金を使っているのか。ふざけんな、今の政治」っていう。リーダーとして大阪を変えたいという怒りの感情があったから、大阪府と大阪市を一体化させる大阪都構想に全力で挑めた。住民投票では負けたけど、しつこく諦めずに挑み続けようと気持ちは切れませんでしたね。
角田 反対勢力、多かったですよね。
橋下 反対、反対、反対の声ばかりですよ。命の危険を感じたこともあったし(笑)。でも、僕には楽観的なところがある。宇宙から見れば、僕が取り組んでいることなど、砂粒くらい小さなもの。だから、考え過ぎずにまっすぐ進んでいこうと。人生は一回きりなんだから、完全燃焼しようと考えました。今は政界を退き、民間人になり、人生を楽しく謳歌していますよ。自分の力を使い切り、完全燃焼したから、そんな心境になれたんじゃないかな。
角田 楽観的という感覚、すごく大事ですよね。私も起業したばかりの時は資金が底を尽き、自己破産を覚悟しました。もし破産すれば、弁護士の資格を失ってしまう。でも、その時はその時だ。死ぬことはないし生活はできるだろうと開き直れた。全力でやれば、うまくいかなくても受け入れられるんですよね。
橋下 その通りです。自分の意思で突っ走っていれば、自然と人が集まってくるし、結果として何とかなる。大事なのは金、権力、地位、名誉なんかじゃない。日和らずに、完全燃焼することです。
▶︎▶︎橋下徹さんと角田望さんの講義全文を動画でチェック。
2023年5月2日〜5月15日18時までの無料限定公開。申し込みは画面内右上もしくは下の「視聴登録はこちら」より。※アーカイブ視聴申し込みは5月14日18時まで
橋下徹/Toru Hashimoto
1969年東京都生まれ。大阪府立北野高等学校(在学中に全国高校ラグビー大会に出場、西日本代表、日本代表候補)、早稲田大学政治経済学部卒業。大学卒業同年に司法試験合格。1997年に弁護士登録、翌年1998年には橋下綜合法律事務所を開設。「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)などテレビ番組に多数出演後、2008年2月、当時最年少であった38歳で第52代(民選17代)大阪府知事に就任する。2009年には世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leadersの1人に選出された。2011年第19代大阪市長に就任。知事経験者が政令市長に就任したのは日本史上初である。2015年12月大阪市長任期満了をもって政界を引退した。現在は、国内外で政治経済の取材を行いつつ、テレビ番組出演や講演、執筆活動等多方面で活動中。家族は妻、七人の子(三男、四女)。
角田望/Nozomu Tsunoda
2010年京都大学法学部卒業、同年、旧司法試験合格、2012年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。2013年森・濱田松本法律事務所入所、M&Aや企業間紛争解決に従事。2017年、法律事務所の同僚である小笠原匡隆(現・LegalOn Technologies代表取締役共同創業者)と共に独立し、LegalOn Technologiesと法律事務所ZeLo・外国法共同事業を創業。LegalOn Technologiesの代表を務める(現任、ZeLo副代表弁護士も兼任)。AI契約審査プラットフォーム「LegalForce」、AI契約書管理システム「LegalForceキャビネ」を通じて弁護士の法務知見と独自の技術を組合せ、企業法務における業務の品質向上と効率化を実現するソフトウェアを開発・提供。