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2022.11.02

西野亮廣の「えんとつ町のプペル」を体現した自邸完成。引き渡し現場に同行!

かつて夢見た暮らしをかなえた仕事人たちの家は、浪漫に溢れている。その家づくりのスケール感はもはや、大人の壮大な遊びなのだ。今回、ゲーテ編集部は、西野亮廣氏が兵庫県川西市に建築した自宅の引き渡しに同行。その様子を紹介する。【特集 浪漫のある家】

西野亮廣氏

アンティークのライティングテーブルが置かれる、1階の書斎の中央。ここが西野亮廣氏の定位置。「こんな場所なら仕事に集中できそうだ」と西野氏も楽しそう。

理想がすべて叶った! プロの技が冴える「作品」でもある家

独自の発想と想いをカタチにする行動力で、ファンのみならず彼を知る誰からも「一目置かれる存在」、西野亮廣氏。地元・兵庫県川西市に「えんとつ町のプペル」の世界観を体現する自邸を建てた。常に一歩も二歩も先を行く彼のことだから、きっと他では見られないもののはずだと、引き渡し当日に、編集部も同行させてもらった。

兵庫県川西市は、阪神間にある人口15万人の都市。古くは清和天皇のひ孫・源満仲がこの地に本拠地を置いたそうだ。温暖な気候に恵まれ、いちじくなどブランドフルーツで知られる一方、大阪中心部へも電車で20分とアクセスがよく、便利なコミュータータウンの一面も持つ。 

西野亮廣氏外観

「えんとつ町のプペル」の世界から飛びだしたかのような家。門柱はロンドンにあった古い煙突。

そんな住宅街の一角に、落ち着いた色目で周囲になじみながらも、円形や八角形の建物を組み合わせた個性的な住宅が誕生した。ロケットの搭乗口のような階段の先には玄関。この階段を上る時点で、どんな家なんだろうと胸が膨らむ。「建築途中には何度か訪れたが、完成後は今日が初めて」という西野氏も、満面の笑みで階段を上っていく。

西野亮廣氏自宅

吹き抜けの中央には特注した螺旋階段。照明の配置にもこだわった。

「楽しい〜!」

2階部分についた玄関から、1階への階段を下りた途端に、西野氏が声をあげた。3階まで吹き抜けになった空間の壁はすべて書棚。西野氏だけでなく、この光景を目の当たりにすれば、誰もが「楽しい〜!」と叫んでしまうだろう。

そもそも、西野氏はなぜ、今この時期に、川西市に自宅を建てたのだろうか。

西野亮廣氏自宅

カウンターもあるキッチンスペース。イギリス製のビューローデスクをシンクに、薪ストーブをコンロ下に置くなど、すべての建具、調度をアンティークなどで調え、年代感を持たせた。

西野亮廣氏自宅

1階の丸い床から一段上がったスペースをつくり椅子やソファを置く。

「地元だから、元気な街でいてほしいという想いはあったんです。で、最初はここにプペル美術館を建てようと構想しました。ところが土地を買って、地元の人たちと話をすると、必ずしも他府県から人がたくさん来ることが、街を元気にすることにはならないのではと思うようになったんです」

急に賑やかになることで、事故や騒音などのリスクもある。それは自分が望んでいる街の創生ではないと思ったという。そこで考えたのが、まずは自分が住んでみることだった。

「実際に自分が暮らして、地元の人と同じ気持ちになることが街の未来につながると思ったんです。自分が住むことで本気度をこの街の人にも伝えたかった」

西野亮廣氏自宅

玄関を入ると、下に直接降りられるハッチを設置。

西野亮廣氏自宅

2階には大きめのテーブルを置き、打ち合わせや食事もできるようなスペースに。

ただし、家といっても単に暮らしくつろぐ家ではない。西野氏にとって、家は仕事場だ。仕事をしながらも、見て楽しく、居て心が弾む家にしたかった。

さっそく、家全体の構想を、西野氏の舞台やイベントなどの空間演出も手がける建築家の只石快歩(ただいしかいほ)氏に伝えた。言葉で足りない部分は、自分のイメージに近い写真を送り、打ち合わせはもっぱらリモートで。「根底にあるのはプロの遊び心です。地元の職人さん方の技を活かしきったからこそできた作品です」と只石氏も言う。できあがった家は、理想をすべてかなえるものになっていた。

西野亮廣氏自宅バスルーム

バスルームにはタイルを張ってレトロ感をだしつつも、水回りは最新の快適さに。「建物はもちろん、タイル、ガラス、配線など、すべてに高い技術がなければ、この家は建てられなかった」と只石氏は話す。

西野亮廣氏自宅

電気の配線などもわざと見せ、懐かしさのある空間にしている。

3階までの壁一面の書棚は、遠近感を出すために上に行くほど幅が狭くなり、それに合わせてかかる梯子も、飾る本のサイズそのものも小さくなる。いたるところに鏡をはめ込み、空間の奥行きや未知感を演出する。

「高いところに書棚があれば、自然と見上げるでしょ。うつむいていると人は笑顔にならないけど、上を向くと口角も上がって笑顔になるから」と西野氏。

円形の床やR状になった吹き抜けの壁面も住宅ではまず見かけないもの。けれど、実はそれこそが、“広さ”の秘密だと言う。

西野亮廣氏自宅

3階から下を見るとこんな感じ。書棚の間にある梯子は、実は棚を支える働きをする。

西野亮廣氏自宅

玄関から1階へ下りる階段。まっすぐではなくここもR状に。手摺には古いガス管が使われている。

「おそらくほとんどの方は、使える敷地いっぱいに家を建てるし、部屋をつくるでしょ。だからどうしても部屋は四角くなる。でも、考えてみてください。四角い部屋の四隅に立つことってありますか? 実はそこは不要な場所なんじゃないかと。四角い部屋と丸い部屋、どっちが広く感じられるんでしょうね」

もちろん、関西に滞在する時は、できるだけここで暮らして仕事をしたいが、自分がいない時間も多いだろう。そんな時は、オンラインサロンの会員に貸しだしたり、貸しスタジオとして使ったりするのもいい。時には、地元の子供たちを招いて体験会を行うのでもいい。つまり、“家自体にも働いて”もらう。“働く家にする”ことも、ひとつの理想だったそう。

西野亮廣氏自宅

3階の窓から望む五月山。

西野亮廣氏自宅

3階の屋根の一部はガラス張りにして光が差しこむつくりに。鏡を巧みに使うことで、空間の錯覚が。家全体に防音性も兼ね備えた断熱材が施されていて、省エネ対策もしっかり。

「そのためにも、機能的じゃない家にしたんです。機能性が高くても100億円では売れない。でも、例えばアートならそんな価格になりうる。見る人がそこに意味を見いだせるもの、感動があるものが価値になりますから。最近、NFT(主にSNSのアイコン画像のNFT)に本格参入したので、NFTともからめて、この場でいろんなことを試していきたいですね」

今後、この街に同じ世界観を持つ西野流のアパートやホテルを建てる構想もある。暮らしにつながるアパートや飲食店、生活に必要な施設をつくっていくことで、楽しい建物が並ぶ風景を眺め歩ける街にしたいそうだ。自分も働くが、家も働く。人を驚かせ、喜ばせ、ウキウキさせる家。いつしか、この街全体が、そんな場所になっているのかもしれない。

西野亮廣氏自宅

書棚の間にある扉の先には何があるのか? と思わせる演出も面白い。

DATA
所在地:兵庫県川西市
敷地面積:76.21平米
延床面積:93.88平米
設計者:只石快歩(一級建築士事務所 艸の枕)
施工:Team.B
構造:木造軸組在来工法

西野亮廣/Akihiro Nishino
1980年兵庫県生まれ。著書に、絵本『Dr.インクの星空キネマ』『えんとつ町のプペル』、小説『グッド・コマーシャル』、ビジネス書『革命のファンファーレ-現代のお金と広告』などがあり、全作ベストセラーに。

【特集 浪漫のある家】

TEXT=中井シノブ

PHOTOGRAPH=鞍留清隆

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