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2022.10.11

池田エライザ「俳優業は修行のような仕事」と語った真意とは

2022年10月7日から放送が始まったタツノコプロ創立60周年記念『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』で主演を務める池田エライザ。俳優、歌手、モデル、そして映画監督と、表現の場を広げている彼女のそれぞれの仕事に対する向き合い方とは。【連載 NEXT GENERATIONSとは】

池田エライザ

究極の人たちを見て、心を新鮮な状態に戻す

池田エライザが2009年に映画デビューして、13年が経つ。2022年は映画『ハウ』の公開、ドラマ『名建築で昼食を』のオンエア、そして『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』の放送開始、その翌日からレギュラー出演する地上波ドラマ『祈りのカルテ〜研修医の謎解き診察記録〜』がスタートと、俳優・池田エライザを求める声は多い。しかし本人にとって俳優業は、修行のような仕事だという。

「お芝居は、本当に答えがない。答えがないのに、自分なりの答えをそこに投げ続けるし、現場でみんなの答えを寄せ集めて『これが答えだ!』と作品を提示しても、見る人それぞれの意見が答えになるから、どうなるかわからない。技術的なことも、年々下手になってきてるんじゃないかというくらい、わからなくなってきています。

映画が多かったので、次のドラマ(『祈りのカルテ〜研修医の謎解き診察記録〜』)でドラマなりのメソッドが必要になると、また価値観が揺らぐ気がしています。またそこで学ぶことも違うだろうし。経験を重ねるにつれて、また考え方が変わっていくと思います。何年やっても、お芝居はわからないです」

池田エライザ

ジャケット¥297,000、ブラウス¥171,600、スカート¥242,000、パンツ¥105,600、ブーツ¥352,000<すべて予定価格>(すべてバーバリー/バーバリー・ジャパン TEL:0066-33-812819)

ここでインタビューに同席していた編集部スタッフが「やればやるほど悩むのは、池田さんがお芝居に真剣に向き合ってこられたからこそなのかもしれないですね」と言葉をかけると、池田は心底嬉しそうな表情で両腕をマリア様のようにクロスさせてから、そのスタッフに熱烈な投げキッス! そしてちょっと泣きそうな表情で「そんな優しい言葉をかけてくれる人、いないですから……! 『頑張って当たり前』という世界なんです……」と少しだけ弱音をこぼす。他者にエンターテインメントをとおしてエネルギーや愛を捧げる彼女もまた、他者のエンターテインメントに背中を押されるという。

「最近はローランドさんのYouTubeを見るようになりました。もともと『進撃のノア』ちゃんっていうキャバクラの方の密着YouTubeを見ていたんです。彼女たちは一流のプロで、彼女たちの言葉を聞いて、私は自分がいかに甘かったかを思い知りました。

ローランドさんの『THE ROLAND SHOW』は、そのYouTubeと同じディレクターさん(ソンD)が密着を撮っていらっしゃるんです。ローランドさんという実業家が、自分ができることを自分の部下ができない時の伝え方がとても勉強になります。昔だったら怒っていただろうけど、相手が理解できるまでちゃんと噛み砕くようになるまでの経緯がすごく気になって。究極の人たちを見て、私は、心を新鮮な状態に戻しています」

俳優業の他に、モデル、監督、そして歌手と、表現の場を広げている。それぞれの仕事に対する向き合い方について、池田は次のように説明する。

「基本的には、自分にできることで何かの役に立つということが、人の営みのような気がするので、そこが共通しているのかなと思います。違うのはそれぞれに向き合うときの心持ちです。音楽は、ワガママが発想の源なので、ワガママが主体になります。映画を(監督として)撮る時は働きアリのような気持ちです。でも、映画監督は、全部の細部に自分の判断を行き届かせ、自分の意見を通さなきゃいけないから、女王アリでもあります」

池田エライザ

何かの役に立ちたい、という思いはいつ頃から芽生えたのだろうか。

「クリスチャンだから、シンプルに『誰かのために』という教えに触れて育ったので、自然にそう思うようになっていたんだと思います。性格的にも、『自分のため』となると腰が重たいんですよね(笑)。仕事じゃなかったら朝早起きなんてイヤって言っていたタイプだと思いますし。それが『人のため』となるとそんなに苦じゃないんです。

得るものが多く、有意義で、豊か。そういう意味で、『人のため』と言っているほうが自分も楽です。実際、作って出して、作って出してと、毎日小人みたいな生活をしています(笑)。そうやって自分が作ったものが、きっと誰かの心にフィットすると思うので、それがちゃんと届けばいいなと思います。『皆見てね!』とただ宣伝しても届かないところがあるので、届けられるフォーマットというか、環境も作りたいなと考え中です」

彼女は「現場で全うすることが、俳優の責任」と言いつつも、それがきちんと届くべき人に届くように、たくさんの取材を受けて、メディアに露出する。この日、朝から始まった『DORONJO/ドロンジョ』の取材がすべて終わったのは夜8時過ぎだった。「お疲れ様ー!」と拍手をして、番組のスタッフと労い合う彼女の笑顔を見て、彼女と仕事をしたい人の気持ちがわかるような気がした。

■前編「『心身ともに過酷な日々』令和のドロンジョ・池田エライザが舞台裏を語る」

池田エライザ

Elaiza Ikeda
1996年4月16日、福岡県生まれ。2009年、ファッション誌「ニコラ」の専属モデルとして活動をスタート。’11年公開の『高校デビュー』で映画デビュー。『映画 みんな!エスパーだよ!」(’15年)のヒロイン役をオーディションで勝ち取り、注目の存在に。’21年よりELAIZA名義で歌手活動を本格的に開始。新曲「META」を’22年9月に配信リリース。日本テレビ新土曜ドラマ『祈りのカルテ〜研修医の謎解き診察記録〜』が放送中。最新監督作はオムニバス映画『MIRRORLIAR FILMS』の『Good night PHOENIX』。

タツノコプロ創立60周年記念 WOWOWオリジナルドラマ「DORONJO/ドロンジョ」

タツノコプロ創立60周年記念 WOWOWオリジナルドラマ「DORONJO/ドロンジョ」
1977年に放送が開始されたTVアニメ「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」の人気キャラクター、ドロンジョ。本作は、主人公の泥川七音がドロンジョになるまでの知られざる過去を、まったく新しい視点から描く。
出演:池田エライザ、山崎紘菜、矢本悠馬、金子大地/高橋和也、古田新太ほか
原作:「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」(タツノコプロ)
監督:内藤瑛亮、横尾初喜
製作著作:WOWOW AX-ON
WOWOWにて、放送・配信中。

■WOWOW公式YouTubeチャンネルにて第1話全編を無料配信中!

■連載「NEXT GENERATIONS」とは……
新世代のアーティストやクリエイター、表現者の仕事観に迫る連載。毎回、さまざまな業界で活躍する10〜20代の“若手”に、現在の職業にいたった経緯や、今取り組んでいる仕事について、これからの展望などを聞き、それぞれが持つ独自の“仕事論”を紹介する。

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NEXT GENERATIONS

新世代のアーティストやクリエイター、表現者の仕事観に迫る連載。毎回、さまざまな業界で活躍する10〜20代の“若手”に、現在の職業にいたった経緯や、今取り組んでいる仕事について、これからの展望などを聞き、それぞれが持つ独自の“仕事論”を紹介する。

TEXT=須永貴子

PHOTOGRAPH=彦坂栄治

STYLING=福田春美

HAIR&MAKE-UP=RYO

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