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2022.10.06

「高校時代とは別人」ホークス・松田宣浩の亜細亜大学時代

大混戦の末、2022年ペナントレースが終了したパリーグ。そんな今シーズン限りで福岡ソフトバンクホークス退団を発表した松田宣浩。今回は、そんな球界きってのムードメーカーである”熱男”がスターとなる前夜に迫る。連載「スターたちの夜明け前」とは……

matsuda

写真:日刊スポーツ/アフロ

2022年シーズンで退団となる”熱男”の大学時代

プロ野球もレギュラーシーズンが終わり、来季に向けての動きも気になる時期となってきたが、パ・リーグ優勝を果たしたソフトバンクで大きなニュースが飛び込んできた。長年主力としてチームを牽引してきた松田宣浩が来シーズンの構想外となり、今季限りで退団することが明らかになったのだ。

松田は2005年の大学生・社会人ドラフトの希望入団枠でソフトバンクに入団。3年目にサードの定位置をつかむと、ベストナイン1回、ゴールデングラブ賞8回を受賞するなどリーグを代表する選手として活躍している。また侍ジャパンでもWBCに2回、プレミア12に2回出場。2019年のプレミア12で試合前に「必勝」と書かれたハチマキを締めて、選手を鼓舞する姿を覚えているファンも多いのではないだろうか。

そんな松田は滋賀県の出身だが、高校は岐阜県の強豪である中京に進学。双子の兄も同じチームでプレーしており、2年夏には甲子園にも出場している。初めてそのプレーを現場で見たのは2001年5月25日に、四日市市霞ケ浦第1野球場で行われた春季東海地区大会の対春日丘(現・中部大春日丘)戦だった。

前年夏にも甲子園に出場していたこともあって、当時から松田は双子の兄とともに注目選手の一人だったが、この試合のプレーでは強い印象は残っていない。相手先発の木村宜志(元・セガサミー)のスライダーに簡単に体勢を崩され、バットから快音が聞かれることはなく、試合も5対10で敗れている。また当時はショートを守っていたが、守備でも膝の使い方とグラブさばきに柔らかさがなく、ドラフト候補としては物足りない印象だった。余談だが、この時サードを守っていたのは1年生の中川裕貴(元・中日)で、攻守ともにスケールの大きいプレーは松田よりも目立っていた。

大学入学後の松田にこの試合の話を聞いたことがあるが、「高校時代は大きく構えてゆったり打てということをよく言われていたんですけど、あの大会は全然ダメでした」と話していた。結局松田は高校からプロ入りせず、亜細亜大へ進学することとなった。

圧倒的レベルアップを果たした1年間

次に松田のプレーを見たのはそれから約1年後、2002年6月15日に行われた全日本大学野球選手権の対東北福祉大戦だったが、この試合で松田は1年前とは全く異なる驚きの姿を見せることとなる。1年生ながら3番、サードで出場すると、2本のスリーベースを放つ大活躍でチームのコールド勝ちに大きく貢献したのだ。

当時のノートにも「高校時代とは別人。一本足打法で左足を上げる動きが大きく、頭の上下動はあるものの、とにかく思い切りがよく、常にフルスイングすることができている。(中略)バットコントロール、リストの強さも素晴らしく、右へも左へも強烈な当たり。打球の勢いは大学生全体でも上位のレベル」と書かれている。

1年生から全国的な競合である亜細亜大のクリーンアップを任されるのは並大抵のことではなく、しかも全国大会の初戦でいきなりこれだけの活躍を見せる選手はそうそういるものではない。高校野球を引退した後も、しっかり練習に取り組んでいたとのことで、その意識の高さも大学でいきなり活躍できた要因と言えそうだ。この大会で亜細亜大はその後も勝ち進んで優勝すると、秋の明治神宮大会でも優勝し、春秋の全国大会連覇を達成。松田自身も1年生ながら大学日本代表に選出されている。

順調なスタートを切った松田の大学生活だったが、その後は順風満帆だったわけではない。1年秋以降は厳しいマークもあってホームランは出るものの打率は2割台前半と低迷。3年秋には部内の不祥事でリーグ戦出場辞退も経験している。しかしその処分が明けて、最初の対外試合となった4年夏の慶応大戦とのオープン戦ではレフト場外へ推定130メートルの特大ホームランを放ち、その後のドラフト最上位指名をつかみ取っている。4年秋のリーグ戦が始まる前に長く時間をとってインタビューしたことがあるが、その時も対外試合が禁止になったことに対する悲壮感のようなものは全く感じられず、明朗快活に質問に答えてくれた姿をよく覚えている。

冒頭でも触れたように引退ではなく他球団での現役続行を目指すことになり、苦しい状況に追い込まれたことは確かだが、この事態に対しても決して後ろ向きにならず、前を向いて練習を続けていることは想像に難くない。移籍先が決まるかはまだ不透明ではあるものの、プレー以外の面でチームを牽引する力を評価している球団も必ずあるはずだ。40歳となる来年もこれまで多くのファンを魅了してきたフルスイングを、また違う球団でも見せてくれることを期待したい。

Norifumi Nishio
1979年愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。在学中から野球専門誌への寄稿を開始し、大学院修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

連載「スターたちの夜明け前」とは……
どんなスーパースターでも最初からそうだったわけではない。誰にでも雌伏の時期は存在しており、一つの試合やプレーがきっかけとなって才能が花開くというのもスポーツの世界ではよくあることである。そんな選手にとって大きなターニングポイントとなった瞬間にスポットを当てる!

過去連載記事

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TEXT=西尾典文

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