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2022.08.25

新たな巨人のエース! 戸郷翔征の高校時代

読売ジャイアンツで怒涛の活躍を続ける若き右腕、戸郷翔征がスターとなる前夜に迫る。連載「スターたちの夜明け前」とは……

戸郷選手

高校2年夏の甲子園で魅せた、投手としてのポテンシャル

2年ぶりのセ・リーグ優勝が期待されながらも、相次ぐ故障者などの影響で Aクラス入りも厳しい状況となっている巨人。特にチーム防御率はリーグ最下位と投手陣に課題が多いシーズンとなっているが、その中で奮闘しているのが4年目の戸郷翔征だ。

プロ入り2年目の2020年に9勝をマークしてブレイクすると、昨年は“2年目のジンクス”に苦しみながらも1年間ローテーションを守り9勝8敗と勝ち越し。2022年も開幕から勝ち星を重ね、8月10日の中日戦では自身初となるシーズン10勝目をあげるなど、先発投手陣を牽引する存在となっている。

そんな戸郷の名前が全国的に知られるきっかけとなったのが、聖心ウルスラ高2年時に出場した夏の甲子園だ。初戦の早稲田佐賀戦に先発すると、8安打を許しながら2失点(自責点1)、11奪三振完投という見事なピッチングでチームを勝利に導いたのだ。

この試合も現地で見ていたが、当時のノートには「スリークォーターに近い投げおろすタイプのサイドスロー。テイクバックが大きく、腕が背中の方に入るのは気になるが背筋が強く、140キロ前後のストレートを低めに投げ込む。(中略)腕を振る前に少し独特の間があるので打者はタイミングが取りづらい。体が大きくなって、下半身が使えるようになればまだまだ速くなりそう」というメモが残っている。この日の最速は141キロと特別目立つものではなかったが、当時のプロフィールは184㎝、70㎏となっており、細身ながらその素材の良さは強く印象に残っている。

そしてドラフト候補として改めて戸郷を評価することになったのが3年生となった2018年4月22日に行われた春季九州地区大会の対明豊戦だ。この時の戸郷のプロフィールは185㎝、74㎏となっており、体重も増えているが身長もまだ伸びていたことが分かる。全体的にはまだ細かったものの、体の成長にともなってフォームの躍動感と腕の振りは前年夏の甲子園と比べても明らかにアップしていた。ストレートも立ち上がりからコンスタントに140キロ以上をマークし、最速は145キロを記録。

特に見応えがあったのが明豊で注目を集めていた濱田太貴(現ヤクルト)との対戦で、結果は5打数2安打だったものの、9回の第5打席には空振り三振も奪っている。濱田と戸郷という注目の2人が直接対決することもあって、この日のスタンドには多くのプロのスカウト陣も視察に訪れていた。結局試合は3対4で聖心ウルスラは敗れたものの、戸郷は9回を投げ切り9奪三振と持ち味は十分に発揮している。当時のノートには「ストレートと同じ腕の振りと軌道でスライダー、カットボール、フォークが投げられる。特に134キロくらいのカットボールと128キロくらいのフォークはスピードもあり、空振りを奪えるボール。スライダーもカウントをとるのに有効。変化球の質が高い」とスピードが増していたストレート以外に対しても評価するメモが残っている。

『アーム式』フォーム評価の立役者

ただ、そんな戸郷は2018年のドラフト6位で入団と、決して高い評価でのプロ入りだったわけではない。低い順位となった主な要因はそのフォームにあると言われている。前述したようにテイクバックで腕が背中に入り、肘があまり前に出ない、いわゆる『アーム式』と呼ばれるフォームで、昔からこの投げ方は肩を痛めやすいと言われているのだ。明豊戦のノートにはそれ以外にも「一塁側に体が流れ、バランスはもうひとつ」などと書かれている。ただその後に「それでもとにかく腕がよく振れる」とあり、巨人はその長所の部分を買って指名したことが考えられるだろう。担当スカウト、入団した後の二軍ピッチングコーチに聞いた話では、一度も肩や肘を故障したことがなく、球団としてもそれであれば戸郷本人の体に合っていると考え、フォームを変えることはしなかったとのことだった。その後の活躍は冒頭で触れたとおりである。

そして戸郷の活躍は後に続く選手にも影響を与えている。これまではプロから避けられてきた『アーム式』のフォームの投手も評価されるようになってきているのだ。この夏の甲子園に出場した社のエースである芝本琳平もその一人で、プロからも高い評価を得ている。そういう意味では戸郷はパイオニア的存在ともいえるだろう。

今年で22歳とまだまだ抜群の若さがあるだけに、ここから更に成績を伸ばし、巨人軍不動のエースへと定着することを期待したい。

Norifumi Nishio
1979年愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。在学中から野球専門誌への寄稿を開始し、大学院修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

連載「スターたちの夜明け前」とは……
どんなスーパースターでも最初からそうだったわけではない。誰にでも雌伏の時期は存在しており、一つの試合やプレーがきっかけとなって才能が花開くというのもスポーツの世界ではよくあることである。そんな選手にとって大きなターニングポイントとなった瞬間にスポットを当てる!

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TEXT=西尾典文

PHOTOGRAPH=西尾典文

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