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2022.06.10

【BiSHセントチヒロ・チッチ】初主演がもたらした“新しい自分” ──連載「NEXT GENERATIONS」Vol.6

新世代のアーティストやクリエイター、表現者の仕事観に迫る連載「NEXT GENERATIONS」。今回は、"楽器を持たないパンクバンド"として独自の地位を築いたガールズグループ「BiSH」のキャプテン的な存在、セントチヒロ・チッチ。グループ初の映画出演に際し、表現者としてのあり方、仕事との向き合い方など、その姿勢や生き方を直撃した。後編はこちら。
BiSHセントチヒロ・チッチ

ライブと演技の違い

BiSHというグループは、バンドファンのなかでも知る人は多いだろう。2021年には紅白歌合戦に出場を果たし、清掃員(ファンダムの総称)たちのものだったその魅力がお茶の間に知れわたるも、出演直前には2023年をもっての解散が発表され、一筋縄ではいかない底知れぬ"何か"を感じさせるほどのインパクトを残した。

現在、解散へのカウントダウンとなるラストスパートの真最中で多忙を極めるグループは、2022年6月10日(金)に、グループとして初の主演映画『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiN CHiN ROCK’N’ROLL』を公開する。

メンバー6人がそれぞれ主演を務める全6作のオムニバス。メガホンを取る監督も全6名で、セントチヒロ・チッチ(以下チッチ)は、名匠・行定勲監督による「どこから来て、どこへ帰るの」に出演する。モノクロ映像で構成されるちょっと不思議な恋愛物語だ。

「行定監督は、今回のラインナップでは一人だけ"本職の"映画監督。普段からプライベートで親交がありまして、ライブに足を運んでいただいたり、お食事させていただいたりしていたので、組んでもらえたらいいなと思っていました」

とはいうものの、今回メンバーと監督の組み合わせについては、監督陣があみだくじを引いて決めたという。結果、見事に行定監督とチッチがタッグを組むことに。こうした遊び心もBiSHらしい。

「結果的に6組それぞれが、自然と組むべき人とコンビになったと思うくらい、ピッタリでした(笑)。行定監督も"チッチの初主演作として本気のヤツ書くから"と言ってくださって。演技するのは、自分自身でも大きな挑戦でしたが、今しかないから目一杯やろうと挑みました」

その言葉どおり、ライブでのエネルギッシュな印象とは異なる妖艶なチッチの魅力を、スクリーンでは見せてくれている。

「主演のチヨについて、行定監督は私に寄り添ってつくってくれた役だなと感じました。それでも、自分ならやらないだろうということをチヨはやっている。私がほかの誰かになるという経験は初めてでしたから、そういうシーンでは、一体チヨは何を考えているのだろうかと、思いを巡らせながら一生懸命表現してみました。少し難しくもありましたが、楽しくもあって、その行為をすることで自分自身の感情の部分まで動かされるんだなと気づいた面白い体験でした」

演技を経験することで新しい自分を発見し、内面的な成長も感じているようだ。

「改めてモニターで自分の姿をチェックすると恥ずかしい部分もありましたね。今、私こんな表情をしているんだと(笑)。行定組のみなさんがプロフェッショナルなので、いろいろな面を引き出してくださるんですよ。新しい自分を発見できました」

ライブと演技の違いについて感じるところを聞いてみた。

「ライブでは、自分たちの生き様をありのままにぶつけています。言ってみれば、パーソナルな表現。どれだけ素でいられるか、それがBiSHの魅力だと思っています。反対にお芝居は、集中しないと邪念が入ってしまう。瞑想したりして集中を高めて余計なものを削ぎ落としましたね」

本格的に演技を経験したことで、今後のライブでの表現活動に対する影響も少なくないようだ。

「動きと動きのあいだの"間"やつなぎ、目の表情など、どう見られているのかにフォーカスして、違和感なく表現することをライブで考えたことはなかったんです。これがすごく大事だなということは、演技を通じて感じました。コンテンポラリーの要素があるBiSHのダンスには、お芝居のような瞬間もあるんですよ。そんな時にはここで得た細かなニュアンスの表現が役立っています」

頭のてっぺんからつま先までパワーみなぎる彼女たちのステージにおいて、こうした微細なニュアンスの変化は今後の見どころかもしれない。2023年をもっての解散に向けてもなお成長し続ける姿も注目に値するだろう。

■チッチ取材時の秘蔵ショットを公開!

■後編【役者を経験し、ひと回り大きくなったチッチが大事にするものとは?】はこちら!

CENTCHiHiRO CHiTTiii
"楽器をもたないパンクバンド"「BiSH」のメインボーカルのひとり。ソロプロジェクトや他のアーティストの作品などにも参画するなど精力的に活動。直近ではTHIS IS JAPANの3rdシングル『トワイライト・ファズ』に収録される「KARAGARA feat. セントチヒロ・チッチ(BiSH)」に参加。

『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL』
圧巻の映像美と奇抜なストーリーが融合する全6作からなるショートストーリー集。映画界からは数多くの名作を残し続ける名匠・行定勲、MV界からこれまでBiSHの多くの作品を手がけてきた田辺秀伸、大喜多正毅、エリザベス宮地、山田健人、そしてWACK代表でもある渡辺淳之介が自らメガホンを取り、6人のBiSHメンバーと、6人の監督たちがそれぞれタッグを結成。メンバー6人の個性を引きだし、独自世界を構築している。
出演:アイナ・ジ・エンド、ハシヤスメ・アツコ、アユニ・Dリンリン、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ
監督:大喜多正毅、田辺秀伸、エリザベス宮地、山田健人、渡辺淳之介、行定勲
主題歌:I have no idea.(BiSH/avex trax)
配給:松竹 映画営業部ODS事業室/イノベーション推進部新領域コンテンツ室
2022年6月10日(金)全国公開。

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NEXT GENERATIONS

新世代のアーティストやクリエイター、表現者の仕事観に迫る連載。毎回、さまざまな業界で活躍する10〜20代の“若手”に、現在の職業にいたった経緯や、今取り組んでいる仕事について、これからの展望などを聞き、それぞれが持つ独自の“仕事論”を紹介する。

TEXT=髙村将司

PHOTOGRAPH=彦坂栄治

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