師匠か、恩師か、目を掛ける若手か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえる二人の姿をご紹介。第68回は、起業家と投資家。【連載「相師相愛」】
ベースフード CEO/代表取締役 橋本舜が語る手嶋浩己
高校の先輩に呼ばれた食事会に、たまたま手嶋さんがいらっしゃったんです。だから、投資家だということも意識することはなくて。印象的だったのは、とにかくよく話を聞いてもらえたことです。フラットでフレンドリーで大人。でも、すごく本質的なことを言われる。経営経験が自らあって、投資家の中ではレアキャラだったんですよね。こういう人に投資してもらいたいと思いました。しかも、ファンドを立ち上げるタイミングで、本人に見てもらえるという激レアフェイズだったんです。幸運でした。
家が近いこともあって、朝、散歩しているときに、ときどきばったり会ったりします。手嶋さんはいつも愛犬と一緒なんですが、そのワンちゃんが本当に可愛くて。家族から愛されていることが、ものすごくよくわかるんです。輝いているんですよね。きっと手嶋さんも、そんなふうに家族を愛されているんだろうなぁ、ということも想像できて。人生は長いマラソン。こういう姿からも、学ばせてもらっています。
今は起業家と投資家ということになりますが、形式ばっていないのも、ありがたく思っています。もちろん定例でも会いますが、メッセンジャーでやりとりしたり、カフェに呼んでもらったり。まずは、人と人との関係から。こういうところも大きな学びです。
手嶋さんがメルカリの初期の頃からサポートをされていたことは有名です。僕たちも先輩たちの歴史に学んでいかないといけませんから、引き続きアドバイスをいただければと思っています。そしていずれはスタートアップコミュニティや投資家の皆さんにも、貢献できるよう頑張っていきたいです。
XTech Ventures 代表パートナー 手嶋浩己が語る橋本舜
初めて会ったのは3年前。今でこそメーカーライクなスタートアップも増えていますが、フードというのは当時はまだ珍しかった。聞けば、完全栄養のパスタを家で粉から考えたと言います。でも、巨大市場、健康というロジックはしっかりあるんです。産業構造もよく理解されていた。その発想は驚きでしたよね。実は新しく立ち上げたファンドはシード期に投資する予定にしていましたから、ちょっとイレギュラーな投資だったんです。それでも、ベースフードへの投資は、僕らの個性になると思いました。
印象に残っているのは、しばらくして食品とはまったく関係がない新規事業に参入する、と言い出されたことです。これまたびっくりして。創業期ですし、普通なら反対するところですが、これがまた面白い発想なんです。自分の頭で考える人でないと絶対に出てこない提案。橋本さんらしい、と思いました。でも、自分でそれもあっさり取り下げられて。この先、どんなことが待っているのか、本当に楽しみな会社です。
実は、かっこいいと思って真似しようとしたことがあるんです。橋本さんは午前中、読書をしてから会社に来るんですね。しかも、難しい本を読んでから。そうやって会社に来ると、ビジネスの課題なんて簡単に思える、と言うわけです。独自のスタイルがあるんですよ。
これから5年、10年でものすごく大きな変化が橋本さんに起きてくると思います。メルカリの山田進太郎さんにしても、初めて会ったときは社員が3人だったんですから。橋本さんの環境が激変するように、僕たちも環境を激変させていきたいですね。そして、いいお付き合いを末永くさせてもらえたら、と思っています。
Shun Hashimoto(右)
1988年生まれ。東京大学卒業後、DeNAで新規事業を担当。2016年に独立し、創業。世界初の完全栄養の主食BASE PASTAを作り上げる。BASE BREADも販売。
Hiroki Teshima(左)
1976年生まれ。一橋大学卒業後、博報堂入社。2006年より新規事業立ち上げやメルカリ等へのベンチャー投資などを行うユナイテッドに在籍。2019年より現職。