サッカー選手兼監督兼投資家兼起業家・本田圭佑は、言葉を使うことで、自らをインスパイアし、世界にサプライズを起こす。その脳にはどんな 言葉=「思考」が隠されているか紐解いた連載を一挙に振り返る。【2019年の掲載記事を再編】
「“仕事”とは、幸せをもたらすもの」
サッカーを自分の仕事にできたことは、とても幸せなことだと思っています。サッカーは、世界中で通用する”言語”です。いくら英語を上手に話すことができても、それだけでは人に感動を与えることはできません。
でも、サッカーという言語は、プレイしているだけで世界中の人に伝わり、感動を呼び、ヒーローになることもできる。僕がこのサッカーを仕事にできたのは、物心ついた時から父親がその環境を与えてくれたから。そして僕もその道を選ぶことができた。子供のころからずっとサッカーが好きだったから、それを自分の仕事にしたいと素直に思えたのです。
最近、「仕事を楽しもう」、「楽しみながら働こう」というような言葉をよく耳にします。でも僕は少し違うような気がします。好きではないことを楽しむのは難しいし、ストレスもたまる。仕事を楽しむのではなく、自分が楽しいと感じることを仕事にする。そうすれば、自然と頑張れるし、ストレスもなくなるのではないでしょうか。
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「“学校”とは、好みを肯定する場」
学校の役割は、ふたつあります。子供たちにそのふたつを教えることができさえすれば、人生を楽しみながら強く生きていけるようになると思っています。いい高校、いい大学に進むための知識を教えるだけの学校であれば、「行く必要はない」というのが僕の意見です。
役割のひとつ目は、それぞれの”好き”を見つけてあげて、その気持ちを肯定し、伸ばす手助けをしてあげること。もし僕が小学校を作るとしたら、最初の授業は「やりたいことをやりなさい」。ゲームをする子がいるかもしれないし、サッカーボールを抱えて校庭に出ていく子もいるかもしれない。何をしていいかわからなくてキョロキョロしているだけの子もいるでしょう。
でもそれでいいんです。
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「“敗北”は、未来の糧になる」
僕は野球にたとえるなら2割バッターだ。いつもいろんなことを考え、あれをやりたいこれもやりたいと口にする。でも有言実行できているのはせいぜい2割で、残りの8割は失敗と敗北だらけだ。いつも10割を目指して努力しているつもりなのだが、どうしても8割はうまくいかない。まるで狼少年のようだと、自分でも思う。
もちろん負けたくて負けたこと、失敗してもいいと思って失敗したことなんて一度もない。敗北や失敗は、自分自身の努力、歯を食いしばって過ごした時間、さらには自分を支えてくれた人たちの思いまで否定することになる。常に真剣であるからこそ、精神的ダメージは大きい。
これだけ負ける人間であれば、戦国時代なら精神的ダメージどころか、とっくに命を落としているだろう。
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