山下健二郎といえば多趣味。その事実は、三代目JSBを知る者にとっては長らく周知のことだった。それがこの数年、より外側へと広がりを見せている。2019年8月に開設したYouTubeチャンネルでその趣味を披露。テレビ番組『アメトーーク!』の「釣り大好き芸人」に出演し、またDIYブック&キャンプツールブックをそれぞれ出版、さらに今春からは古民家をまるごとDIYする冠番組もスタート。山下が趣味に注いできた熱量が、完全に仕事として花開いている。
「『好きなことが仕事になったらいいな』という漠然とした目標はずっとありました。だからチャンスをいただいた時には期待以上のものを返そうと全力でやってきて、その積み重ねが今にいたっているのかなと思います。これってダンスと同じなんですよね。ダンスも最初は趣味で、すごく好きで本気でやり続けた結果、ここにたどりついていますから。今は仕事と趣味の線引きがすごく難しいですね(笑)」
好きなことだけでなく、まずは何でもやってみる
最初からそんな夢のような環境に身を置いていたわけではない。20代の頃は葛藤もあった。
「デビュー当初は自分に何ができるのかわからなくて焦っていたし、キャパシティを広げて『何でもやります』ってスタンスでいた時期もありました。グループの名前がどんどん大きくなり、いろんな仕事ができるようになった実感はあったけれど、そのなかで何でも引き受ける自分でいることに疲れてしまったところもあって。それは『やりたくない』ってことではなくて、中途半端なことをしたくなかったんです。期待以上のものを返せないところで仕事をするのは、その分野で一生懸命やってる人に対してすごく失礼ですよね。だからこそ、自分がそこまでの熱量を持てないものに『やりません』と言う勇気も必要なんだな、と思いました」
30代に入って「やっぱり人間って好きなものしかできない」という想いを新たにした。でもそれは決して、好きなことしかやらないという意味ではない。
「『こういうのは健二郎に向いてそうだね』って周りから言われたら、まずはやってみることが大事だなと。そこで挑戦した時に自分はどういう思いを抱いて、どうアプローチできるのか。自分にない角度の意見は本当に大切で、それを聞ける耳をちゃんと持っていたいですね」
実は今現在も、新たな挑戦に向けて動いている真っ最中だ。
「インテリアデザイナーとインテリアコーディネーターの資格をダブルで取ろうかなと。資格があれば、家をリフォームしたい方にアドバイスができるようになるんですよね。古民家をDIYするなかで、デザイナーの方と打ち合わせしていてすごく面白いと思って。面白いと思ったものはとことんやってみようっていう性格なので、ちょうど教科書を取り寄せたところです」
デビュー10周年を超えて挑戦するのがインテリアの資格というのが実に山下らしい。
「僕はLDHのなかでもだいぶ特殊な人間なんで(笑)。実際、いろんな人から『LDHっぽくない』ってよく言われます。それって、僕のなかで最高の褒め言葉なんですよね。めちゃ嬉しい。だって似てる人がいたら面白くないじゃないですか。三代目の7人全員が同じような人間だったら、ソッコーで売れなくなると思うんです。7人7通りの輝き方があるからこそ、チームが強くなれる。LDH全体で見てもそうですよね。だから僕がやっていることが、なにか後輩に『こういう生き方もあるよ』って道を少しでも示せたら、こんな幸せなことはないですね」