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2021.10.17

【堀江貴文×MB対談 後編】そのこだわり、本当に必要? 勝負どころは科学的に考えよう。

コロナ禍で生き抜く術をさまざまな角度から説いた新書『死なないように稼ぐ。 生き残るビジネスと人材』が話題となっている堀江貴文氏。いまだ先行き不透明な時代が続くなか、気になるのは、実際に、堀江氏が現在進行形で描いているビジネスの形だ。そこで今回、メンズファッションブロガーとして絶大な影響力を持ち、関連書籍の累計刷数が200万部を突破するMB氏を迎え、“新時代の死なないビジネス”について、お互いの近況を交えて対談。後編では、堀江氏が独自の仮説に基づき進めようとしている“そば屋”の話が飛び出した。【堀江貴文×MB対談 前編】

horie MB

いらないものを削っていけば、勝機は見い出せる

堀江貴文(以下堀江) 余計なことさえやらなければ、そんなにお金はいらないんですよ。余計なことをやったり買ったりするのは、周りの目を気にしているから。そんなに周囲の目が気になるなら、ホームワーキングにするとか、田舎に行くとかすればいい。田舎で仕事をすればいいんですよ。「小麦の奴隷」(※HIU発のエンタメパン屋)は田舎のほうが好調で、売り上げが都会の5倍くらいになる日もあるくらい。

とくに茨城県の笠間にある店舗が独走していて、1日35万円とか売り上げているんです。開店から3ヶ月間くらい、ずっとそんな調子。

MB スゴいですね。なんで、そんなに売れるんですか?

堀江 ほかに何もないからじゃないですかね(笑)。国道沿いの、本当に周囲に何もないところに建っている店舗なんです。変わったオブジェを置いたり、「小麦の奴隷」の名物カレーパンをさらにアレンジした「“宇宙から落ちてきた” ザックザクカレーパン」を作ったり、いろいろ仕かけてもいますけどね。

笠間店のSNSは周辺の人ばかりがフォローしていて、笠間市の人口7万人のうち2500人分の見込み客リストを持っているような状態になっています。地方だからこそ、それが可能なんです。なかなかスゴくないですか?

MB 確かに。パン以外も売れそうですね。軽いアパレルとかも……。

堀江 Tシャツはもう売ってるんですよ。「小麦の奴隷」を表現した「WEAT>HUMAN」のロゴが入ったデザインとか。物販はさらに広げていく予定で、チーズケーキ、牛乳、コーヒーとかを売って、コンビニの一部を奪っていこうと考えています。

コンビニって昭和のビジネスモデルなんで、余計なものがありすぎるんです。ATMとか、コピー機とか。今は使っている人がいるかもしれないけど、僕はいらないし、何年後かには誰も使わなくなると思ってます。そんな仮説に基づいて、必要なものだけを残した店をやればいいんじゃないかと。ほかにも余計なものはあって、レジやプリペイドカード、雑誌……。

MB 雑誌もいらないですね(笑)。

堀江 『GOETHE』もコンビニになくていいでしょ。コンビニで売れる雑誌ではないし、オンラインで売ればいい。そうやって考えていくと、コンビニの売り場面積は今の5分の1くらいでいい気がしています。

高水準なものを低価格で提供すれば自ずと売れる。

堀江 コンビニはPB商品も多すぎですね。ご当地名物をパクったお菓子は「ジェネリック菓子」とも呼ばれています。わかりやすいのは「萩の月」に似ている商品。

MB あ、ありますね。そう考えると、アパレルもジェネリックブランドばかりですよ。

堀江 飲食業界も一緒ですけど、特許がないからしょうがないんです。売れてるものがあって売れ線がわかるので、それをパクれば売れるということ。「ズルい!」って文句を言っても、そういう世界でプレイしているんだから、しょうがない。

MB アパレルも顕著で、みんなパクってますね。たとえば10万円くらいするハイブランドのバングルをマネして、3000円とかで売ってるんです。3000円くらいの商品が無限に増殖して、安っぽいものが飽和したところで、少し素材をよくした3万円くらいのものを出すとバカ売れします。ステンレスじゃなくてシルバーにするとか、ちょっと差をつけるだけで目立つから、こだわりのある人には刺さるんですよ。

堀江 その話で思いついた。そば屋の相談をしたい!

MB 思いつきが半端ないですね(笑)。

堀江 そば屋については、何ヶ月も前から考えてるんだけどね。いいそばを「富士そば」みたいに気軽に食べられるようにしたいというのが発想の始まり。そばの価格設定って面白くて、立ち食いそば屋の「掛けそば」は、東京の下町とかの安いところで300円。でもチェーン店なら450円。その一方、田舎のおいしい手打ちそば屋は1000円以上して、西麻布と変わらなかったりします。

MB 面白いですね。

堀江 さらに調べていくと、そばの機械打ちは驚くほど進化していることがわかって。粉を挽いて、混ぜて、加水して、こねて、切るっていう工程をすべて機械がやってくれるんです。達人級の手打ちじゃない限り、ほとんど差がわからないほど。そばは打ち方よりも、そば粉の品質とか、挽き立てかどうかが重要なんです。つまり、おいしさのポイントが“技術じゃないところ”になっている。

手打ちの10割そばならおいしいと思いがちですが、それは間違い。ボソボソでまずい店に入ったこともあるでしょ? 常識にとらわれず、事実を積み重ね、科学的に考えて、どこで勝負するのかを考えていかないと。そば打ちは今や機械でプログラミングできるし、作業を定量化すれば、誰でもおいしいそばが作れて安く提供できるんです。まぁ、今のところは仮説ですけど。

うちのそば屋は、おいしいけど機械で打っているから安いっていうのが売り。超おいしいかけそばが600円くらいで出せると思っています。メニューはいろいろ考えていて、盛りそば、かき揚げそば、季節のそば、パルミジャーノレッジャーノを使った冷たい「チーズ卵かけそば」とか。そういうそば屋の名前って、どんなのがいいですかね?

MB 名前かぁ、急に来ましたね(笑)。ちゃんと考えときます。

前編はこちら

TAKAFUMI HORIE
1972年福岡県生まれ。実業家。複数の飲食店の経営、会員制オンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学院(HIU)」の運営、ロケットベンチャーの立ち上げ、音声動画プラットフォーム「ZATSUDAN」のプロデュースなど、さまざまな領域で活動。『死なないように稼ぐ。 生き残るビジネスと人材』(¥946/ポプラ社)ほか著書も多数。

MB
ブログ「オシャレの教科書 KnowerMag」を運営。ロジカルなファッション指南で支持を集める。ベストセラーも多く、『最速でおしゃれに見せる方法』『ほぼユニクロで男のオシャレはうまくいく』といったメンズファッションの分野に加え、『まんがでわかる「もっと幸せに働こう」 』などのビジネス書も好評。さらに、ヴィンテージショップの経営、VoicyやYouTubeでの発信、全国での講演会など、多方面で活躍中。

TEXT=平 格彦

PHOTOGRAPH=古谷利幸

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