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2021.03.18

競泳日本女子エース格! 大橋悠依の東京五輪ロード

約1年の延期が決まった東京五輪。本連載「コロナ禍のアスリート」では、まだまだ先行きが見えないなかでメダルを目指すアスリートの思考や、大会開催に向けての舞台裏を追う。

©YUTAKA/AFLO

4年前、21歳で世界選手権銀メダル

5年前とは風景が一変した。競泳の東京五輪日本代表選考会を兼ねる日本選手権が4月3~10日に東京アクアティクスセンターで開催される。五輪代表入りには決勝レースで日本水連が定める派遣標準記録を突破して2位以内に入ることが条件。200mと400mの個人メドレーに出場する大橋悠依(25=イトマン東進)は「派遣標準記録には正直、余裕があるので、普段通りのことをやれば切れると思う。しっかり五輪本番を想定してレースをすることが大事になる」と世界を見据えている。

日本女子のエース格だが、五輪出場経験はない。滋賀県で過ごした中学、高校時代は目立った成績はなく、東洋大進学後も左膝の脱臼や重度の貧血に悩まされた。大学2年時の’15年日本選手権は200m個人メドレーで最下位の40位に低迷。一時は競技から退くことも頭をよぎったが、食生活の改善などで貧血を克服して迎えた翌’16年日本選手権の400m個人メドレーで3位に入った。2位以内に与えられる’16年リオデジャネイロ五輪出場権に迫り「4年後は絶対に五輪に出たい」と東京五輪への想いが芽生えた。

一躍注目を集めたのが’17年日本選手権。400m個人メドレーで日本記録を3秒24も更新して初優勝を果たした。初の世界舞台となった同7月の世界選手権ブダペスト大会では200m個人メドレーで銀メダルを獲得。東京五輪のメダルの有力候補として脚光を浴びた。当時21歳。10代で活躍する選手も多い競泳界で、遅咲きのヒロインが誕生した。

18年以降は悩みながらも成長

日本女子を引っ張る存在になったが、’18年夏以降は苦悩の日々が続いた。大学1年時に痛めた左膝の古傷の影響から左足に力が入らず泳ぎのバランスが崩れた。’19年世界選手権光州大会は2大会連続メダルを狙った200m個人メドレーで、平泳ぎの泳法違反により失格。400m個人メドレーは銅メダルを手にして意地を見せたが、長水路(50mプール)では日本記録でもある自己ベストは200m個人メドレーが’17年7月、400m個人メドレーは’18年4月から更新できていない。

記録が伸び悩む期間は泳ぐ際に体が斜めに傾く癖の修正を何度も試みたが、しっくりこない状態が続いた。体を見直した結果、左足と右肩の筋力低下が判明し、昨年9月から左下半身と右上半身の強化に特化したトレーニングを開始。週1、2回のペースで1時間半程度かけて部分的に鍛え「だんだん力が入るようになりイメージ通りに体が動くようになってきた。以前は力の弱い方に合わせて泳ぐ感じだったが、強い方に合わせられるようになってきた。着実によくなっている感覚はある」と手応えを得た。

昨年10月の日本短水路選手権の200m個人メドレーで自身の持つ日本新記録を約2年ぶりに更新すると、東京に拠点を置くチームの一員として出場した11月の国際リーグ(ISL)でも200m個人メドレーで日本新を連発。ともに五輪とは違う短水路(25mプール)の大会ながら着実にタイムを伸ばし「ISLで自己ベストが出たのは自信になった。やってきたことが間違いなかったと確認できた」と自信を取り戻した。

ISL後は’16年リオ五輪400m個人メドレーで8位入賞の清水咲子(28=ミキハウス)が大橋と同じ平井伯昌コーチの指導を受けることになり、一緒に練習に励んでいる。本命種目が同じライバルだが、練習中に水中でお互いの泳ぎを見てアドバイスを送り合うなど良い関係を築いている。

日本選手権はあくまで通過点。目標は東京五輪でのメダル獲得で「金メダルに近いのは200(m個人メドレー)より400(m個人メドレー)だと思っている」と自己分析する。最大のライバルとなるカティンカ・ホッスー(31=ハンガリー)は’16年リオ五輪で樹立した世界記録を最後に自己ベストから遠かっており、大橋が頂点に立つチャンスは十分にある。

「前回(’16年リオ五輪)の代表選考会の時は五輪を狙えるレベルではなかったけど、今回は予選から五輪を想定したタイムで泳ぎたい」

初めて五輪を意識してから5年。TOKYOでのメダルを視野にスタート台に向かう。

TEXT=木本新也

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