成長し続けるためには、新しい価値観を取り入れながら前進していくしかない。名優・中井貴一が次世代の情熱者に出会い、新たな刺激を相互作用していく――。第1回はホスト中井の審美眼を紐解く。
「若い頃は先輩の姿を見て"こうなりたい"と憧れていましたが、自分がその年齢になると、今度は後輩のすごさを知ることになる。彼らの飛び抜けた発想には、いつも世代の違いを感じますし、刺激を受けたい。でも同時に、僕らから伝えるべきこともあると思います」と中井さん。だから、次回から始まる若手世代との対談企画を楽しみにしている。
新時代を切り拓く"自分で動く"という意識
「年齢を重ねていくにつれて、大切なことは"恥をかくこと"なのだと思うようになった。経験を積むほど恥をかくことに億劫になりますが、そのことによって自分の限界をつくってしまう。限界を先に伸ばせば伸ばすほど革新し続ける人間でいられるような気がするんです。僕は2018年にミュージカルに初挑戦したのですが、周りは経験者。そのなかで歌ったり踊ったりする、これがどれだけ恥ずかしかったかお分かりいただけるかと思います(笑)。大人になればなるほど能動的に自分で動かないと前には進めないのではないでしょうか」
最近も新しい挑戦として、映画監督の行定 勲氏とともにリモート撮影で作られた短編映画『いまだったら言える気がする』を発表している。
「本番1週間前に台本が届き、撮影場所やパソコン・録音機器も自分で準備を進め、本番を撮影しました。初めてのことばかりですが、面白かった。行定監督は僕がオファーを断ると思っていたようですが、こういうことは若い人がやるのは当たり前。むしろ僕ら世代が率先して、道をつくらないといけないと思っています」
だから時計界で革新を続けるウブロに共感し、惹かれている。
「仕事を始めてから、母の薦めで親父の遺品の時計をつけるようになった。周囲には時計好きのお洒落な先輩たちがたくさんいて、時計の魅力・知識を植え付けられた。同時に2歳の時死別している親父の人生を刻んでいた時計が、自分の人生の時を刻んでくれているのだなぁと思うようになり、時計というものが大好きになった。今、手元にある時計は、ゆくゆくは"時のバトン"として、後輩に譲っていきたい。しかし、こういった文化や伝統を守るには、人間同様、時計も革新が必要です。時間が読めない時計を発表するなど、時計の概念を覆してきたウブロは存在感で人を惹きつけ、人と人を結びつける。その情熱的に革新し続ける姿勢に共感しますね。頑張った自分を象徴する時計だと思いますし、ウブロをつけていると女性から一言、褒めてもらえたら嬉しいです(笑)」
受け身のままでは文化は生まれない。新しい時代をつくっていく革新的な時計や、情熱を燃やす次世代との新たなフュージョンに、中井さんは期待感を膨らませている
Kiichi Nakai
1961年生まれ。父は昭和のスター俳優だった佐田啓二。'81年に映画『連合艦隊』で俳優デビュー。数々の映画やドラマで主要キャストを務める。海外作品のプロデューサーにも挑戦しており、今もなお革新し続ける名優である。先輩方から教わり、見識を広めていったという時計の審美眼。「仕事の節目や旅先など、思い出や記念として時計を買うようにしています」。
スーツ(3ピース)¥390,000、シャツ¥39,000、タイ¥23,000、チーフ¥16,000、シューズ¥89,000(すべてエトロ/エトロ ジャパン TEL:03-3406-2655)靴下はスタイリスト私物、その他本人私物。
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ウブロ TEL:03-5635-7055