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2019.10.24

【大谷翔平】社会人になっても運転免許を取らない理由――実践的行動学②

幾多の試練を乗り越えながら、着実にスーパースターへの階段を上り続けているメジャーリーガー・大谷翔平。彼がアメリカ全土でも絶大なる人気を誇る理由は、その実力だけが要因ではない。ビジネスパーソンが見習うべき、大谷の実践的行動学とは? 日本ハム時代から"大谷番"として現場で取材するスポーツニッポン柳原直之記者が解き明かす。

365日、24時間、野球漬け

「大谷選手ってどんな人?」と聞かれることが多い。答えにはあまり困らない。とにかく野球が大好きな男だ。365日、24時間、野球のことばかり考えているわけではないだろうが、食生活はもちろん全ての行動を野球に直結させているといっていい。

日本ハム時代に生活していた千葉・鎌ケ谷の寮では、食事にトンカツや鶏の空揚げが出されるが「衣は全部取ってから食べます」と話していたこともあった。体脂肪増加の原因になる脂分の摂取を極力控えていた。プロ野球選手は恵まれた才能だけでなく、自分に厳しいストイックな選手が多いが、大谷はそういった面でもトップクラスの選手だ。

Licensed by Getty Images

いじられ続ける"運転免許ネタ"

運転免許はいまだ持っておらず、持つ必要性もあまり感じていない。メジャー2年目の今季も自宅から本拠地の"通勤"は水原一平通訳の運転する車で移動した。日本ハム時代からタクシーや同僚の車での移動が基本だった。それは父・徹さんの教えでもあり、メジャー移籍前にも大谷は「取らないです。そこに割く時間はないので」と否定していた。

花巻東野球部から大学進学した仲間たちの多くは社会人3年目。最近はその"運転免許ネタ"でいじられることも多いが「タクシーでどこでもいけるよ」と一蹴。周囲も思わず納得してしまうという。運転は少なからずリスクがつきまとう。周りに流されず、我が道をいく。唯一無二の二刀流でプレーする野球にももちろん通じている。

「そんなにストイックでしんどくない?」なんて声も挙がりそうだが、あまり心配はいらないだろう。大谷は仕事である野球を純粋に楽しんでいる。誰よりも上手くなりたい一心でプレーしているように映る。

ただ、グラウンドを離れれば普通の25歳の青年でもある。エンゼルスタジアムの試合序盤のイニング間には「WHAT"S THE SONG?(これは何の曲?)」という人気コーナーがある。大型ビジョンに映し出された選手がヘッドフォンに流れる曲名を当てるという極めてシンプルなコーナーだ。キャンプ中に収録されたもので、チームの主力である大谷も登場する。なかなか当てられないのは当然だが、ある回で「Shape of you」と即答。英国を代表する人気歌手エド・シーランのヒット曲を当て、スタンドのファンを大いに盛り上げた。球団関係者によると「"やらせ"ではないです。本当に知っていたみたいです」という。

野球一筋の25歳だが、何だかホッとしたのは筆者だけではなかったはずだ。

TEXT=柳原直之

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