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2018.09.21

Wonderwall 片山正通が西日本豪雨の被災地で考えたこと【インタビュー】

8月末、インテリアデザイナーの片山正通さんは、西日本豪雨の被災地である岡山県倉敷市真備町と広島県呉市天応町を訪れた。豪雨から2ヵ月近くがたち、当初よりは「だいぶまともになった」と聞いていたが、実際に目の前に広がる風景は、彼の想像を大きく超えたものだった。

うしろめたさから目を背けず、善意に変える

「真備町では、水に浸かった家の床や壁が腐らないように取っ払ってあって、骨組みだけが残っている。そんな家がいくつもあり、人はいない。まるでゴーストタウンのようでした。天応町は土砂災害がひどく、家のなかにまで石や土が入り込んでいる。ほとんど全部土砂に埋まって、屋根だけが見えているところもありました。ボランティアの数も大分少なくなっていて、復興まではまだまだ時間がかかるなと思いました」

岡山は、片山さんが生まれ育った場所。地元が豪雨に襲われていたとき、彼は東京でサカナクションのライブを観ていたという。

「大変な思いをしている人がいる時に、自分は何をしているんだろうと思いました。もちろんライブは楽しみにしてたし、行ってよかったと思うけど、いつもどおりの生活を送ることに、すごくうしろめたさを感じたんです。かといって、すぐボランティアとか具体的な行動ができるわけでもない。でも、そのモヤモヤした気持ちをなんとかカタチにできないか、少しでも被災地の役に立てないか。僕みたいにモヤモヤしている人はたくさんいるんじゃないかな。そう思い、YENを立ち上げることにしたんです」

YENは、スマホ決済アプリ「ORIGAMI」を使った寄付のプラットフォーム。アプリをダウンロードして必要な情報を入力。あとは金額のコードを打ちこむだけで、いつでもどこでも誰でも、少額から寄付することが可能だ。

「僕が自分のモヤモヤやうしろめたさについて話すと、たくさんの人が賛同し、協力してくれました。発起人は僕と広島県出身の建築家、谷尻誠さんと吉田愛さん(ともにSUPPOSE DESIGN OFFICE)。サカナクションの山口一郎さんや映画監督の本広克行さんは、賛同人になってくれ、山口さんはYENという名をつけてくれました。寄付先は、復興活動に尽力している「ピースウィンズ・ジャパン」などを予定しています。たとえ100円でも1万人集まれば100万円、10万人集まれば1000万円。小さな気持ちを集めて、被災地の復興の役に立てればと思っています」

YENは、ひとつのプロジェクトであり、そこに集まる人はみんなチーム。この活動は、西日本豪雨の被災地のためだけではないと片山さんは語る。

いつもどおりの生活を送るうしろめたさを善意に変える。その小さな一歩が誰かを救う。YENを使えば、その一歩を踏み出すのも簡単だ。

「ポケットのなかにあるコインを募金箱に入れるような感覚で使ってもらえればと思っています」

YENの詳細
https://yen.origami.com

photograph=Kazumi Kurigami

Masamichi Katayama
1966年生まれ。インテリアデザイン事務所 Wonderwall代表。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科教授。現在ではインテリアデザインというフィールドに留まらず、クリエイティブディレクション、建築デザインディレクション、物件開発コンサルティングなど活動の場を広げる。現在従事するプロジェクトは、日本、ヨーロッパ、北アメリカ、オセアニア、アジアと、世界を舞台に活躍。

TEXT=片山正通

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