師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまた一生のライバルか。第14回は、快進撃を飛ばす飲食チェーン社長とカリスマ起業家。
一瀬邦夫が語る、澤田秀雄
ハウステンボスに出店させてもらえないかと、本社にお訪ねしたのが4年前。話を聞いてもらえたばかりでなく、1週間後にはハウステンボスを訪れていました。テーマパークですから、チェーン店の名称はダメと言われていたのに、私が粘りに粘りまして(笑)。最後は「ペッパーランチダイナー」にしてもらえたんです。
2009年の食中毒事件以降、会社は危機的な状態が続きました。それでもたくさんの方に応援してもらえ、2012年に上野に大きな店を出したら、これが大成功。ハウステンボスへの出店は、会社の新しいイメージを作るための次なる大事な一歩だったんです。成功している方は皆さん一様に、優しいんですよね。まずは話を聞いてくださる。お人柄がいいんです。
その後、「いきなり! ステーキ」が大成功して、澤田さんに関連会社をご紹介いただいて九州にも7店、出しています。改めて思うのは、世の中に当たり前でないことをやる大切さ。まさに、澤田さんがずっとなさってきたことです。
(これより、WEB限定テキストです)
私は賭け事に弱いんですが、これだと社長として一流になれないんじゃないか、とずっと思ってきました。でも、70歳を超えてひらめいたんですね。賭け事には勝ちと負けしかないんです。でも、商売というのは、相手に勝たせて自分も勝つことができるんですね。
お客様、取引先、従業員、そして自分も含めて、みんな勝つ。それができるのが商売なんです。そして相手に勝たせることを常に考えると、自分も勝つんです。社員には毎年、旅行に行ってもらっています。数百人の規模です。もちろん、H.I.Sにお世話になっています(笑)。
澤田秀雄が語る、一瀬邦夫
なんともパワフルな人だなぁというのが、第一印象でした。そして、押しが強い。ハウステンボスへの出店は、チェーン店の名称はダメだと言っているのに、粘られまして。結局、押し切られてしまった(笑)。でも、実はご紹介した場所は、世界最大級のホラーエリア、スリラーシティーの中にあり、過去どのお店もうまくいかなかった難しい場所で。それが、しっかり利益を出されているのですから、素晴らしいです。
その後も「いきなり! ステーキ」をやりませんかと、これまた押し強く(笑)。信頼できる方でしたので、九州の関連会社を紹介しました。大変なスピードで対応してくださり、早々にオープン。とてもうまくいっているようです。
お肉はおいしいし、値段は手頃。なんといっても、お店に気持ちが入っていますね。快進撃の時は、注意も必要ですが、これからまだまだ発展なさると思います。なんたって、僕と会いましたから運気が上がっています(笑)。一瀬さんとは、なんとも気が合うんです。
(これより、WEB限定テキストです)
ビジネスで大切なことは、お客様も従業員も会社もよくなる三方よし。加えて、世の中のため、地域のため、観光のためになるなら、なおよし。そして僕が心がけてきたのは、新しいことにチャレンジすることでした。最近だと、ロボットホテル「変なホテル」ですね。創造的なことはどんどんやっていかないと。ただ、あれもこれもやりすぎかも、ですが(笑)。
最終的に会社はトップで決まります。たくさんの会社の再生に携わってきましたが、どんな会社も、どんなお店も、きちんとやれば黒字になる。トップ次第、やり方次第なんです。
ペッパーフードサービス 代表取締役社長 一瀬邦夫(左)
1942年生まれ。70年「キッチンくに」開業。94年「ペッパーランチ」創業。2006年東証マザーズ上場。17年東証二部昇格。13年「いきなり! ステーキ」開店。
エイチ・アイ・エス 代表取締役会長兼社長 澤田秀雄(右)
1951年生まれ。80年起業。95年株式店頭公開。ホテル、航空、証券など幅広い事業に携わる。2010年ハウステンボス社長に。見事再生を果たす。