TRAVEL

2024.11.14

なぜ今、ソウル通たちは“ハノク”に泊まるのか

ソウルを訪れたことが幾度もあるなら次回のステイは、趣向を変えて静寂とあたたかみを感じられる韓屋(ハノク)へ。都市にいながらにして感じる非日常と歴史ロマン。ここでの滞在で、ソウルをより深く知ることができるはずだ。【特集 昂る、ソウル】

「北村賓館 by 楽古斎」の外観
北村韓屋村にあるハノク「北村賓館 by 楽古斎」の外観。土台をコンクリートにし、その上に古い建材で建てなおされている。

ソウルの空気を五感で体感する、魅惑のハノクステイ

木の床を踏み締めると身体に伝わってくるじんわりとしたあたたかみ。引き戸を開けると、庭からの風が吹きこみ、かすかに街の喧騒が聞こえる。

ここは、韓国の伝統家屋「韓屋(ハノク)」の中。李氏朝鮮時代から見られるこの建築でのステイを今、ソウルを訪れる人たちが選んでいるのだという。

現在宿泊できるハノクの多くは、宮仕えをしていた官僚たちが住んでいた。ゆえに宮廷に近い、まさにソウルの中心地に立つ。夜はこの家屋で歴史のロマンに浸り、日中はソウルの街で存分に楽しみ尽くす。これこそが、新しいソウルステイなのだ。

冬はマイナス10度近くまで気温が下がるソウル。けれどハノクには「オンドル」と呼ばれる伝統の床暖房設備があり、いつでも床はあたたかい。素足で木の板を踏み締めたり、寝転んだり。そして見上げる天井には、永い間この建築を支えてきた古い木材が張り巡らされている。

いつものホテルステイとはどこか違う、不思議と懐かしいようなあたたかいような。けれど一歩ハノクの外に出れば、そこは活気に溢れたソウルの真ん中。非日常のなかで羽を伸ばしたあとの仕事は、きっといつもと違うものになる。

【特集 昂る、ソウル】

この記事はGOETHE 2024年12月号「総力特集:昂る、ソウル」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=安井桃子

PHOTOGRAPH=San Choi

COOPERATION=Ja-Kyung Jun

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