東京からのアクセスのよさと洗練された雰囲気、都心の住民が集まることから“東京24区”とも称される軽井沢。その価値を、不動産投資のプロと移住者に語ってもらった。
1.ブランド化の加速でさらに資産価値が上がる
2023年に発表された軽井沢町の公示地価は平均222,685円/坪で、前年比+6.93%。より取引価格に近いとされる基準地価にいたっては平均348,062円/坪で、前年から7.92%もアップしている。
この現象について、不動産投資に精通している内藤忍氏は、「軽井沢の土地価格上昇を支えているのは、東京都心に住む富裕層。別荘需要はもちろんですが、都心との二拠点生活や家族とともに移住するための不動産を購入する人も少なくありません。いわば、軽井沢の土地価格は東京と連動しているようなもの。東京の地価が暴落しない限り、軽井沢の土地は今後さらに上がるでしょう」と分析する。
都心に住む人々の軽井沢不動産購入はコロナ禍を機に加速。密を避けるべく、軽井沢に“避難”した人々が、その魅力を再認識し、物件を求めたのだ。実際、2020~22年の3年間で約300軒の売買が成立している。
「有名な別荘地は他にもありますが、軽井沢は、新幹線でもクルマでも、東京からのアクセスが圧倒的にいい。金曜の夜に東京を出発し、週末は軽井沢でというデュアルライフを楽しむのに最適なのです」。交通の利便性に加え、リモートワークの普及もあって、30代~50代の移住者も目立つ。そうした現役世代が集うことも、軽井沢の華やかさや勢いが増している理由だろう。
「僕はワイン関連の仕事もしていますが、軽井沢でワイン会を開く愛好家も増えています。そんな素敵な軽井沢ライフがSNSなどで発信され、憧れを呼び、軽井沢のブランド力に拍車をかけている気がします。流通性を考えても、軽井沢の不動産は一考の価値ありです」
2.軽井沢の暮らしは毎日がグランピング!
2020年夏、中軽井沢に移住した山本憲資氏。以前から軽井沢が好きで、拠点があるといいなと探していたところ出合ったのが、現在暮らす築約50年の日本家屋。
「2019年11月に購入し、半年ほどかけてフルリノベーションしました。家の広さは80㎡ほどと、さほど広くないけれど、ひとり暮らしにはちょうどいいですね。この緑を望む環境で仕事をし、食事をし、夜はゆっくりお酒を飲みます。軽井沢では自炊することも多いです。近隣の農家の産直のようなお店の発地市庭で扱っている野菜は美味しいし、スーパーのツルヤは何でも揃うし、食事も自然の中でゆったりと愉しんでいます」
木漏れ日が美しい森の環境の魅力もあって、週末になると頻繁に東京からも友人が訪れる。春から秋に毎月のように開催するBBQには20〜30人が集まるそう。
「昼過ぎに始めて、長い時だと夜まで飲んで、食べて、しゃべって。仲のいいシェフが自ら腕を振るってくれたり、音楽家の友人が演奏してくれたりと、カジュアルでコージーな雰囲気になります。都心の高級レストランに行くのとは別の新しい遊び方という気もします」
軽井沢だとある種のディスティネーション感があるのか、普段はなかなか会えないような人たちまで不思議と集まる。これも軽井沢の魅力のなせるわざだろう。
「以前は月イチくらいで海外に行っていたのが、コロナの影響もありますが、拠点を移してからは相当減っていて。軽井沢での時間があることで旅の欲求が満たされているのかもしれません。とはいえ国内は毎週のようにフラフラと各地に行っているのですが(笑)」
3.個性的な私立校の開校で、教育移住先としても注目
自然の中で伸び伸びと子育てをしたい。それを目的に、軽井沢に移住するファミリーも増えている。町内の公立小学校では、ここ5年で生徒数が約70人も増え、プレハブ校舎を新設したほどだ。と同時に、「ここで子供を学ばせたい」と思わせるような個性的な私立校も登場。
2020年開園の「軽井沢風越学園」は、幼稚園から中学生までの異年齢の子供がともに学ぶ、幼小中混在校。全寮制国際高校「UWC ISAK Japan」は、生徒の7割が留学生と海外からも注目されている。軽井沢が“教育移住のメッカ”になる日も近い!?
4.ゲルハルト・リヒターの超巨大な最新作が出現
リゾート地にはなぜか美術館が多いが、軽井沢は別格。「軽井沢現代美術館」や「セゾン現代美術館」、「軽井沢ニューアートミュージアム」といった本気度の強い施設が多く、日動画廊の支店など、別荘族御用達の老舗画廊も目立つ。
また、ここ数年は、コレクター垂涎の作品を展示するギャラリーも新たにオープン。2023年夏には、世界で支持される現代アーティスト、ゲルハルト・リヒターのアトリエを再現した「Richter Raum」が登場し、自然の中でリヒターの巨大な作品が鑑賞できるなど、スペシャルな空間として話題に。
5.ミシュラン星つきレベルの実力店が集結
古くから別荘族御用達の名店が多かったが、さらにパワーアップ。若き実力者、鈴木夏暉シェフ率いる「Naz」、「エルブジ」などで腕を磨いた太田哲雄シェフによる「LA CASA DI Tetsuo Ota」、丸山大祐料理長が切り盛りする和食カウンター「薪焼 かけはし」など、予約困難な名店が集結し、フーディー垂涎のエリアに。
一方で、信州産限定メニューにこだわる「つるとんたん軽井沢店」に、カツカレーに定評がある「福幸亭」、青山に本店を構える中華料理店「希須林」といった、ふだん使いできる良店にも事欠かない。軽井沢の食、恐るべし!