箱根の「強羅花壇」は、世界中にその名を轟かせる名旅館。また、銀座の「鮨よしたけ」は、ミシュラン3つ星を12年連続で取り続ける名店。このふたつが手を組み、2023年夏、強羅花壇の敷地内に鮨屋がオープンする。
ロビーの奥から月見台まで続く120m以上あるガラス張りの柱廊。両側の窓を開け放てば、自然の風が吹きわたる。薄墨色の瓦が敷き詰められた床は、きちんと磨かれているからか、柔らかな太陽の光を反射して幻想的な雰囲気を醸している――。
強羅花壇――そこは箱根の美しい自然のなかに佇む、世界の要人に愛され、そして日本の旅好きが一度は泊まりたいと憧れる名旅館だ。
江戸時代の四宮家のひとつである閑院宮家。その別邸跡に建てられた宿が始まりで、創業は1952年。1989年には全面改装を経て、現在の強羅花壇が誕生した。旅館でありながらホテルのようなスタイル、伝統的でありながらモダンな建築は、それまでにない唯一無二の旅館として、圧倒的な支持を獲得。1991年には世界的に有名なルレ・エ・シャトーの加盟ホテルとなり、海外からも高い評価を得ている。
そもそも温泉旅館といえば大浴場が一般的だったが、外国人客のみならず、プライバシーの点ではいささか居心地が悪い。そこで強羅花壇は、1989年の改装時に露天風呂を備えつけた客室をつくった。今でこそこのスタイルは高級旅館ではスタンダードになっているが、そのパイオニアといえるのが強羅花壇なのだ。
自室にあって好きな時に温泉を楽しめるうえ、さらに部屋によって、さまざまな意匠の風呂があり、これなら「宿から一歩も出ない」どころか「部屋から一歩も出ない」、また「部屋を変えて何度も泊まりたい」というゲストの声も頷ける。
毎年のように改装を続け、現在、客室は全41室。2021年には広大な枯山水庭園を擁したふたつの特別な客室をオープンした。そんな進化することを怠らない名旅館が、2023年夏に鮨店を開業する。
その鮨屋が、あの銀座の「鮨よしたけ」。
鮨よしたけは、2010年に銀座に出店し、ミシュランガイド東京の3つ星を12年連続で獲得し続ける名店。店主の吉武正博氏が生み出す、一切の妥協を許さない江戸前鮨は国内外で高い評価を受けており、2013年香港に出店した「すし志魂」もミシュランガイド香港マカオで9年連続3つ星を獲得し続けている。
その鮨屋が、強羅花壇のなかに誕生するのだ。場所は、敷地内にある建物のなかで最も由緒ある旧宮家の洋館。新たに設えられるカウンターで、極上の鮨が供される。
伝統を守りながら新たな感性でにぎる鮨は、江戸時代から受け継がれる赤酢を進化させたこだわりのシャリに、全国の産地から仕入れた旬の素材に熟練の技術でひと手間を加えたネタが見事に一体化したもの。
日本を代表する名鮨店のにぎりを、世界にその名を轟かせる箱根の名旅館で食すことができるのである。
まさに世界が注目する最強のコラボレーション。その新たな融合に期待せずにいられない。
GORAKADAN
住所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300
TEL:0460-82-3331
施設:客室41室、大浴場、サウナ、温水プール、KADAN SPA、フィットネスジム、ラウンジ、サロン、売店ほか
料:¥58,450~(1泊2食付き、2名1室利用時の1名料金、税サ込)