京都に生まれ、京都で育ち、今も暮らす生粋の京都人、医療法人知音会 理事長・田邉卓爾さんに、足しげく通う場所、思い入れのある品を教えてもらった。京の旦那衆のとっておきの京都とは──。【特集 京都の秘められしスポット】
狭い都市だからこそさまざまな人や店とつながれる
京都の人はいけずと思われがちですが、実際に話しかけてみると気さくな方が多いように感じます。TPOにもよりますが、積極的に地元民に話しかけて、いろいろな情報収集をするのが楽しい。そんな店の代表格が丸太町にある「とんかつ清水」です。店主のサービス精神が素晴らしく、この店に集う客層の多様性も素晴らしい。お客さん同士での会話が楽しくて、観光客の方が来られて京都のお薦めスポットをたずねると、お客さん全員が真剣に答えてくれるようなお店です。ただし、この店はメディアにはいっさい載らないし、はじめてでは入りづらい。京都にはそんな店がけっこうあります。
そこでお薦めしたいのが、まずはそのお店を何度か訪問されている方とご一緒されること。連れていってくださった方との会話のなかで、自己紹介やご自身の好みを、さり気なくお店にお伝えするのがよいかと。
京都は昔ながらの価値観やコアになる部分はきっちり守りつつ、常に改善や革新的な開発もする都市です。そんな企業も多く、そこにも京都のよさを感じていただけるはず。
そんなに大きくない都市だからこそ、いろいろな方との距離が近く、「え? あの方とご一緒できるの?」という方ともお食事できたりするのが面白い。ご一緒する際にいただく情報、アドバイス、指導などがどれほど強力なことか……。それこそが京都の強みだと思います。
とんかつ清水
住所:京都府京都市上京区上生洲町248-5
Illustration=岡田成生