エグゼクティブが行きつくのは、一国一“島”の主!? 無人島に魅せられ、自らの夢を実現するために熱狂する男たちの三者三様の無人島ライフを徹底取材。無人島には、無限の可能性とロマンがある!

小型船「花まる丸」に乗って無人島を目指す。島の形は、ワニや恐竜を連想させる。内海であるため、波が穏やかで、晴天率も高い。
ゼロからすべてを創りだす! 描いていた究極の教育の場
モノで溢れた現代社会。電気、水道、ガスが整備され、お金さえあれば食べ物に不自由することもない。快適な暮らしに慣れ切ってしまっているが、もし、そのすべてが手に入らなくなったとしたらーー。
「メシが食える大人に育てる」を教育理念とする学習塾「花まる学習会」。代表の高濱正伸氏は、野外体験にも力を注ぎ、テントの設営や食事づくりを自分たちの手で行うサバイバルキャンプなど、一般的な塾にはない個性的なプログラムを設立当初から行っている。そして2020年、究極の教育の場として無人島を購入した。

木の枝を利用したブランコは、手作り。「森にあるモノを使って、自由な発想で遊びを生みだしていってほしい」と話す。
「ずっと前から無人島が欲しいと思っていたんです。子供たちを上陸させて、自分たちの力でゼロからすべてを創りだす。島を探検して地図を作ったり、魚を釣って焼いて食べたり。見知らぬ生き物や植物との出合いも楽しみです。生徒ひとりひとりが本当にたくましくなるし、みんなで力を合わせることで協調性も養える。無人島は教育の現場として、ある意味、最高に贅沢な場所なんですよ」
島の位置は、大小700以上の島が浮かぶ瀬戸内海。広島県安芸津漁港から花まる学習会所有の小型船「花まる丸」に乗船し、約20分で到着する。登記上の正式名称は来島といい、かつては高齢の方が所有していたが、花まる学習会の理念に賛同し、格安で譲ってくれたという。50年以上前に築かれたと思われる石垣が海岸に少しだけ残るが、大部分はまったくの手つかず。島全体がすっぽりと森に覆われている。

瀬戸内海に浮かぶ島々の美しい風景が広がる白い砂浜。島には断崖絶壁の海岸もあり、さまざまな磯体験ができる。
「購入してから僕自身、すでに5回泊まっています。磯釣りに挑んだら、タイ、キス、メバルが釣れる。釣れなかった時は醤油メシ、というのは子供と同じルールです。それと、木の枝にロープを結びつけ、手作りブランコを設置。これが、めちゃめちゃ気持ちいいんです。子供たちも自由な発想で、遊びを開発していってほしいですね」
試しに、子供たちに無人島で何をやりたいか聞いたところ、「戦」という答えが多かったそうだ。上陸者が2チームに分かれ、戦術を立てて相手の陣地へ攻めこんでいく。そんな経験は一生の財産になるだろう。

花まる学習会の大きな特徴が野外体験の実施。ひと夏で7,000人もの子供たちが参加するほどの人気ぶり。親子企画もある。
「花まる学習会設立から29年。無人島の購入で、すべてをやり切ったという満足感があります。でも、もうひとつ夢がかなうなら星を購入したい。子供たちと宇宙船に乗って未知の惑星に上陸する。想像しただけで、わくわくしてきますね(笑)」
Masanobu Takahama
1959年熊本県生まれ。東京大学大学院修士課程修了。1993年に思考力や国語力、野外体験を重視した学習塾「花まる学習会」を設立。著書は『花まるな人生 はみ出しても、回り道しても大丈夫!』(幻冬舎)ほか。
Kurushima
広島県大崎上島・大串海岸の西4キロメートル地点に浮かぶ、正式名称「来島」、通称“花まる子ども冒険島”。島の中央に標高68mのなだらかな山があり、島全体が木々で覆われている。開発はほとんど行われておらず、海岸一部に石垣が残るのみ。2020年より花まる学習会が所有。
面積:0.09平方キロメートル(東京ドーム2個分)
アクセス:広島県安芸津漁港から小型船で約20分
※ゲーテ10月号では「所有する醍醐味・無人島&超絶景ステイ・ホテル」大特集を掲載! 完全保存版です。