インパクトでボールを見るのか? 見ないのか? ~世界No.1コーチ愛弟子・吉田洋一郎

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム22回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
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ボールを見ないプロゴルファー

ゴルフは止まったボールを打つスポーツだ。そしてボールの位置もアドレスで調整することができる。

だから一度セットアップしてしまえば“ボールを見るべき理由はない”と言える。ボールの動きを予測しながら、それにアジャストして体を動かす野球やテニスとは違うのだ。

だから、プロの中でもインパクトでボールを見ていない選手は何人もいる。リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得したヘンリク・ステンソンや米女子ツアーで通算72勝を挙げたアニカ・ソレンスタムは、インパクトでは早めに顔を上げるため目線はボールより左側を向いている。極論するとトップランクの選手たちは目をつぶっても同様のショットを打つことができる。スイング軌道の中でボールをとらえるため、インパクトでボールを凝視する必要はないのだ。

ではなぜアマチュアは「ボールを見ろ」と口酸っぱく指導されるのか。それはボールを見続けることで前傾角度がキープできたり、軸の意識を持つことができるので体の不必要な動きを抑えられるからだ。飛んでいくボールを前傾角度のまま見ることができずに、すぐに目線を地面と平行にしてしまって前傾角度が変わる人には有効なアドバイスだろう。

前傾角度の維持はクラブ軌道の安定につながり、軸の意識は過度な体重移動やそれに伴う傾きを抑制するために有効なアドバイスだ。ただ「前傾角度の維持」や「軸の意識を持つ」ということを意識するのはとても難易度が高い。だから「ボールを見ろ」という分かりやすい言葉で伝えようとするのだ。

凝視することの弊害

察しのよい方ならもうお分かりだろうが、ボールを見ること自体には何の意味もない。先ほどツアープロの例を挙げたがボールをよく見ることとナイスショットとの間には、なんら因果関係がないのだ。ミスをすると「(飛んでいく)ボールを見るのが早いよ」とアドバイスをされることがあると思うが、ミスの原因がヘッドアップだけというほどゴルフスイングは単純ではない。

しかしボールを凝視してしまうことによる弊害はある。顔が固定されることで首の関節がロックされ体の適切な回転を損なってヘッドスピードを減速させたり、適切な体重移動の妨げになる可能性がある。これは以前『「残す」と「残る」この違いがナイスショットの分かれ目』で、頭を残すことの弊害としても書いた。頭を動かさないことだけに意識を持っていくのは避けるべきだ。

ではどのようにボールを見ればよいのか。「ぼんやりと、その(ボールの)あたりを見ている」というプロは多い。上から俯瞰的に見る人、右から覗き込むように見る人など見方は人それぞれだ。上から見えればクラブを振り下ろすイメージが強くなるし、右から見れば少しアッパーブロー気味にヘッドを下ろしてくるイメージになるだろう。

私はなんとなくそこにボールがあるという感覚であえて意識を向けないように見ることをお薦めしている。そうすることでボールを「点」でとらえるのではなく、「スイング軌道」の中でとらえることができる。インパクトで力が入ってしまう人やフォロースルーが取れない人はボールの見過ぎによって「点」のインパクトイメージとなり上半身に力が入ってミスをしているかもしれない。ボールをぼやっと見て「打つ」ではなく「振る」イメージにするだけで余計な力感が抜けてナイスショットの確率が高まるだろう。

ボールの見方に正解はないので、自分のイメージに合ったものを探してみてほしい。ボールへの熱視線の送りすぎには注意だ。

次回に続く

Text=吉田洋一郎 Photograph=小林 司 Cooperation=取手桜が丘ゴルフクラブ


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吉田洋一郎
吉田洋一郎
欧米のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。世界4大メジャータイトル21勝に貢献した世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターを2度にわたって日本へ招聘し、世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。また、欧米の一流インストラクター約80名に直接学び、世界中のスイング理論を研究。海外ティーチングの講習会、セミナーなどで得た資格は20以上にのぼる。シングルを目指すアマチュア、トップアマ、ツアープロまでアスリート志向のゴルファーを指導。2019年ゴルフダイジェスト・レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。
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