収納は、インスタレーションだ。どうしても増え続ける物を隠すのではなく敢えて見せたり、収納家具自体をオブジェ化する。そんな美意識で整理整頓をしたい。インテリアスタイリストの遠藤慎也氏が選んだ“アートな収納家具”をご紹介。【特集 アートな家具】

1.フラマ|リベット ボックス テーブル│グラス
その存在感は透明だからこそ。使い方が多彩なテーブル
デンマークのデザイナー、ヨナス・トランペダックがデザインした、アルミ製のテーブルを、イタリアンガラスでアレンジ。一面だけ開放されているので、収納やディスプレイスタンドなど、さまざまな使い方ができる。「縦にも横にも置くことができ、クリアガラスの接着面が美しく、青みを帯びたガラスが空間に境界線をもたらしてくれます」

2.ポルトローナ・フラウ|アルベロ
空間を貫き有機的造形で空間を演出する名作書棚
1950年代末に、ジャンフランコ・フラッティーニがデザインした書棚。ウォールナット材を使用していて、360度回転する構造となっており、最大12枚取りつけることができる棚板は好きな場所に配置することができる。「ボリューム感がありながらも、軽やかさや抜け感もあり、空間の中の柱を装飾したような建築的な見え方です」

3.アンドトラディション|アリマ トロリーNDS1
混沌とするデスク周りを整理する収納カート
本や雑誌、図面、オブジェなど、カオスに散らばるものを収納するためにデザインされたカート。ハンドルにはレザーコードがウェビングされている。「カートとしてはもちろんのこと、フォルムが美しいのでお気に入りの空間に留めておきたいオープンキャビネット。デスク、キッチン、リビングなどいろんな場所で使うことができて便利です」

4.アリアケ|ヒカリ キャビネット
光を取りこみ収納物を美しく際立たせるキャビネット
家具の街、佐賀市諸富町から生まれたアリアケの戸棚は、収納物が際立つよう、より多くの採光のために側板をガラス製に。背板と棚板には木目の主張の少ない佐賀県産ヒノキを採用。「どうしても暗くなりがちな棚の中を、明るく見せることができます。ガラスのショーケースのようなクローズドな世界観を演出でき、中に飾るものが引き立ちます」

5.ソマ|紙棚
職人技感じる凛とした佇まい。和紙で作られた収納戸棚
杉と和紙でつくられた収納戸棚は、岐阜県美濃加茂市にアトリエを構える木工家・川合 優によるもの。「清らかな空気を纏ったストレージは、“紙棚”という名前のとおり、どこか神具を感じさせる佇まいです。程よい緊張感を空間にもたらしてくれます。棚の中にコードレスライトなどを入れて、障子越しの行燈のような、柔らかい光を楽しむのもお薦めです」

6.ゼウス|スリム アイロニー クローズ スタンド
額縁のようにかけたものを引き立てるコートハンガー
ジョルジオ・アルマーニなどの店舗デザインも手がける、マウリツィオ・ペレガッリがディレクターを務めるゼウス。そのデザインの特徴は、イタリアの職人技によるシンプルな造形にある。「マットな質感の華奢なラインが、部屋の白壁やコンクリート壁などに映えてくれます。かける物の美しさを補助してくれるようなミニマルな佇まいです」

7.B&B イタリア|テトラミ
空間を静かに演出するミニマムなキャビネット
長方形を仕切る2枚の仕切りが、そのまま脚へとつながるデザインは、深澤直人によるもの。中央部は、オープンキャビネット、または引き出しつきから選択可能。機能的にも優れている。「美しい直線からなる長方形とソリッドな印象の脚が凛とした雰囲気。ミニマルなデザインだからこそ、多様な空間に落としこむことができます」

8.CPRV|KGT ウォール ユニット6
アートを飾るように収納を。壁面を浮遊する棚
マルセイユを拠点に活躍するデザインデュオ、CPRVによるアルミ製のウォールユニット。引き出しは取り外して、収納ボックスとしても使用できるようになっている。「壁から引き出しが飛びだしてきたような浮遊感のあるストレージは、引き出しにレールがなく、簡易的かつ計算された構造。使い勝手もよく機能美を感じられる。アルミの素材感にもそそられます」

9.アンシェーカー|ハンギング ラダー オーク
空間になじむ朴訥で密やかな存在感の吊り下げラダー
19世紀に発展したシェーカー家具の簡素な造形をモダナイズした「アンシェーカー」シリーズのラダー。同シリーズの壁面レールに吊り下げて、ブランケットやタオルをかけることができる。「オーク材のナチュラルな印象が洗面やリビング、エントランスなどを彩ります。簡素なデザインだからこそ、場所を選びません」

10.バクスター|デューン
独特の曲線美を描くステンレス製ブックシェルフ
彫刻のようなカーブを描くブックシェルフは、壁がけとしても、スタンドとしても使用可能。デザインは、ヴィンテージ家具の再解釈を得意とするイタリアのスタジオ、ドラガ&オーレルによるもの。「ステンレススチールが描く有機的なフォルムが美しく、光沢仕上げをしたシェルフの外側に、空間内にあるカラーが映りこんで多彩な表情を見せてくれます」

11.カッシーナ|HAYAMA 2ドアキャビネット フラップドア
着想源は羽織。鋭いエッジが空間を演出するキャビネット
カッシーナのアートディレクターでもあるパトリシア・ウルキオラが日本の羽織から着想を得て製作したのが、このHAYAMAシリーズのキャビネットだ。「斜めにセットされた脚部が特徴的で、ウルキオラらしいカラーリング。幾何学的なフォルムと相まって、空間にコントラストを与えてくれる存在感です」


遠藤慎也/Shinya Endo
インテリアスタイリスト。1984年生まれ。立教大学社会学部を卒業後、インテリアの専門学校へ進学。その後、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏のアシスタントを6年務め、2011年にインテリアスタイリストとして独立。
この記事はGOETHE 2025年4月号「総力特集:惚れ惚れする人生の相棒、アートな家具」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら