とにかく多忙な現代のビジネスパーソン。「仕事以外のことをする時間がない」「何をやっても三日坊主で終わってしまう」「新しいことを始めても長く続かない」と悩む人も多いだろう。仕事も仕事以外のことも、無理なく楽しく継続できるようにはどうすればいいのか。著名なブックデザイナーであり、「続けることが趣味」だと言う井上新八氏が、20年以上にわたって実験と検証を繰り返して確立した、具体的な習慣化のコツや「絶対に続けられる」日々の仕組みづくりを伝授する。『「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、一部を抜粋・再編集して紹介。
大事なのは「正しい努力」より「正しい継続」
まず「続ける」ことを考えるときに、ひとつの考え方を提案したいと思う。それは「正しい努力」をやめてみようということ。
何かをはじめたとき、だいたい効率的に、正しい方法でやろうとする。やるからにはうまくなりたい、自分を向上させて成果を出したい、そういうことがベースにあるはず。
よりよくなりたい、よりうまくなりたい。もちろんそれはすごく正しいことだと思う。
ただ「成果」を先に求めてしまうと、そのことだけがすべてになってしまう。始めた瞬間からそれは「修練」や「修業」になってしまう。
いきなりつらく感じないか? 「修練」「修行」「練習」。なんかどれもつらくて、めんどうくさそうに感じるのはわたしだけではないはず。
実はこれが「続ける」ことをつらさに変えてしまう大きな要因なんじゃないかと思う。
最初はどんどんうまくなることを実感できる。だから、楽しんでやる。成果が出ることが楽しい。
でもそのうち尻すぼみしていく。思ったようにうまくならない。自分ってこんなもん? そう思ってしまう。急につまらなく感じる。
うまくならなくていい。ただ続けてみる
結果を出すには「正しい努力」が必要だと言われる。目標を決めて、「成果をきちんと出す」努力のこと。
「正しい努力をしないと意味がない」
でも本当にそうだろうか?
「正しくない努力」を続けた先には、何もないだろうか? そんなことはないはずだ。
別に思うようにうまくならなくてもいい。続けて行けばそこに必ず何かの「変化」が起きる。そのことを信じてまずはひたすら何かを続けてみる。
「うまくなる」「よくなる」ファーストの考え方をやめてもいいんじゃないかと思う。「正しい努力」という考えを捨てて、「ただ続ける」ことをまずは意識する。いわば、「正しい継続」だ。
自分で決めたルールに則って、ただ継続することにフォーカスする。上達や達成より、ただ継続することだけを意識する。
上達を考えるのは、「続ける」基礎力を身につけてからでいい。まずは「続ける」ことからはじめてみる。
そのために必要なのは、気持ちいいやり方を自分で発見していくことだと思う。