新刊『未来のお金の稼ぎ方』から学ぶ「これからの5年に必要なお金のスキル」。第2回のテーマは、「成長軌道に乗る企業の条件」。
上りのエスカレーターに身をおけ!
お金を増やす方法は、金融資本への投資だけではありません。最もシンプルなのは、収入を上げることです。収入を上げるには、企業の売り上げが上がっていく必要があります。つまり、成長する企業に身をおくことが最も手っ取り早い方法であり、逆にどれほど努力しても、下りのエスカレーターに乗っていては収入を増やすことはできません。
では、これからの時代の上りのエスカレーターの条件とはなにか。私は、大前提として「テクノロジーデータを活用していること」を挙げます。優れたテクノロジーサービスは、国境を超えて一瞬で広がるものです。Twitter、Instagram、Facebook、Tiktok、LINEなど、私たちの生活は今やテクノロジーの進化と切ってもきれない関係にあります。
メタバース、フィンテック、NFT、スマートコントラクト、DAO、ゲームFi……今注目されているサービスもすべて、テクノロジーの進化がもたらしたものです。こうしたテクノロジーサービスを提供する会社の成長は著しく、実際に現在の世界時価総額ランキングの上位を占めるのは、アップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)、テスラなどほぼテクノロジー企業です。
発展するテクノロジーに備わる2つの条件
ただし、すべてのテクノロジーサービスが上昇気流に乗れるわけではありません。成長するテクノロジーサービスには、次の2つの条件があります。
1. DNAを的確にとらえている
2. ユーザビリティを追求している
成長軌道に乗るサービス、企業には必ずこの2つが備わっています。ここでのDNAとは、人が本能的に持っている欲求や感情のことです。たとえば、親が子を思う心や、豊かになりたいという気持ち、人とつながっていたい、損したくない……こうした欲求は、万国共通で普遍的なもの。私はDNAレベルの欲求と呼んでいますが、このDNAレベルの欲求を的確に刺激するサービスは、確実に需要をとらえます。
ユーザビリティは、ストレスのない操作性はもちろん、サービスの質、愛着や心地よさも含まれます。どんなに便利なアプリでも、操作に時間がかかったり、使いにくさを感じたりすると、だんだん使わなくなっていくものです。ユーザビリティを細部まで追求したサービスは愛されながら長く成長していき、作り込みが甘いものは淘汰されるのが常です。
テクノロジーにふれることは、お金を増やすことにつながります。メタバースに入ってみる。話題のフィンテックを使ってみる。なんでもよいので触れてみて、先程の2つのポイントをチェックしてみてください。DNAを刺激されるかどうか。ユーザビリティが高いかどうかです。
私たちは消費者であり、供給者であり、投資家でもあります。消費者としてDNAを心地よく刺激され、ユーザビリティも高いと思えるものは、投資家目線で見てみる。応援するに値すると思えたなら、投資を検討してみてもいいでしょう。
お金を増やすために節約して貯蓄するだけ、投資するだけでは片手落ちです。自分が使いたいと思うもの、未来に残って欲しいと思うサービスや商品、あるいはその企業にはしっかりお金を使う。それが企業を元気にし、結果的に自分が欲しい未来につながっていきます。巡り巡って未来を豊かにし、それは自分の将来の収入を高めることにもつながるのです。
Takahiro Kodama
ABCash Technologies代表取締役社長。1983年宮崎県生まれ。2007年、サイバーエージェントに新卒入社し、AmebaBlog事業部長、AbemaTV局長などを歴任。2018年、日本の金融教育の遅れ・お金の情報の非対称性に大きな課題を感じ、ABCash Technologiesを設立。「お金のトレーニングスタジオABCash」は累計受講者数2万人を超え、パーソナル金融教育で日本最大規模を誇る。「日本スタートアップピッチファイナル」金賞(2019年)、「FINTECH JAPAN 」準優勝(2021年)など受賞歴あり。
連載「これからの5年に必要なお金のスキル」とは……
「未来の豊かさはマネーリテラシーが左右する。特にここからの5年は勝負の分かれ目」。そう語るのは、国内最大級のマネースクール「お金のトレーニングスタジオABCash」を運営し、8月に『未来のお金の稼ぎ方~お金が増えれば人生は変わる』を出版した児玉隆洋氏。本連載では、次の時代を生き抜くために今備えたいお金のスキルを紹介する。