35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力ゼロレッスン「人のEnglishを笑うな」第103回!
マスクネ、コロナコマ、クオレンティーニ……
ワクチンが広まり、欧米だけでなく、アジアの方とのオンラインの会話でも、最近こう聞かれることが多くなりました。
Have you been vaccinated?
Vaccinateが「ワクチンを与える」という動詞ですから、それが受動態になって「ワクチンはうけましたか?」ということです。挨拶がわりにVaccinateという単語が出てくることに今の時代を感じます。
さらには、こんな時代だからこそ生まれた言葉がたくさんあるようです。いくつか見つけたものをご紹介します。
Quarantini
「クオレンティーニ」。quarantine (隔離)とmartini (マティーニ)が混ざった造語で、「ステイホーム中に家で飲むカクテル」ということだそうです。
But never fear! The quarantini is here!
(こわがらないで! クオレンティーニがあるから!)
というように、カクテルを飲みながら陽気にステイホーム期間を過ごしていた人が世界中で多いようです。この言葉で検索すると、「蜂蜜を入れたカクテル」「レモンたっぷり、ビタミンCカクテル」といった「免疫力が上がる」カクテルのレシピも出てきて、みなさん楽しみながら工夫していたことがわかります。私も、居酒屋に行けないこの期間、焼酎の紙パックと割りものを自宅に常備するようになってしまいました。「マティーニ」のようにジンベースではないんですけど、なんだかおしゃれに聞こえるので、これももうquarantiniということにしていいでしょうか。
Virtual Happy Hour
「バーチャルハッピーアワー」、つまりオンラインで仲間と集まって話したり遊んだり、飲み会をすることだそうです。
この言葉で検索すると、結構上の方にこういうフレーズが出てきます。
How do I host a virtual happy hour for clients?
(バーチャルパッピーアワーでどうクライアントを楽しませればいいか?)
接待や会食が減って喜んでいたのも束の間、世界的にバーチャルで接待をするようになってしまったのだなぁと少し悲しくなります。
ちなみに、早い時間はお酒が安くなる「ハッピーアワー」は実は多くの国でも同じように言います。ロンドンの英語クラスで、先生が「あのパブは、3時からハッピーアワーだから」と言った時に、それまで授業についていけず“Pardon me?”を連発していた生徒たちが、そこだけは一瞬で理解し、いっせいにいろめきたったのを覚えています。
Maskne
「マスクネ」。maskと「ニキビ」を意味するacneが混ざった言葉で、マスクによる肌トラブルのことをいうそうです。CNNやBBCといった報道機関でも、このMaskneをどう防ぐか特集をしていました。欧米ではコロナ以前はマスクは一般的ではなかったので、このような特集が組まれることもすごいことだなぁと思いますし、やはり一番深刻なMaskneを訴える人は、長い時間つけている医療従事者なのだそうです。
ちなみに、私は化粧が適当でもいい、顔の大きさがごまかせるという点で、コロナ以前の世界から、わりとマスクはしている方でした。
Covidiot
「コビディオット」。covid-19とidiot(バカ)が組み合わさった言葉で、これは日本語としても使われ始めているようです。マスクをしなかったり、禁止されているのにパーティを開いたり、トイレットペーパーを買い占めたりなど、感染対策のガイドラインに従わない人のことを言います。これに関してはすでにケンブリッジの英英辞典にも載っていました。
Coronacoma
「コロナコマ」。これはcomaという「昏睡」を意味する名詞と「コロナ」がくっついているので、重症患者のことかと思って最初は驚きました。しかし「ステイホーム期間中に寝過ぎて、もはや今がいつの何時なのかもわからず、外の世界でなにが起こっているかもわからない」状態のことを言うのだそうです。
スラングの辞書、「アーバン・ディクショナリー」にはこんな例文がありました。
A friend calls, waking you from a nap, with news from the outside world: "Thanks for waking me up from my coronacoma!"
(友人からの外の世界のニュースを伝える電話で昼寝から起きたあなた。「もうすっっごい寝てたし、というか数日まったく外に出ていないし、いや、ほんと、現実の世界に戻してくれてありがとう」)
確かに、このコロナ禍、家で仕事をしていると、寝ると食べると仕事以外なにもしないまま2週間ほど平気で過ぎるので、たまに外の世界のことを知ると、この例文のような気分になることはよくあります。
「人流」「三密」などなど日本語でも新しい言葉が生まれていますが、あわせて英語の新語も覚えていきたいなと思います。
Illustration=Norio