35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第68回!
使えたらカッコいい!? “When can I reach you?”とは
海外で英語を話す時に感じるのが「もっと発音がうまくなりたい」「もっと単語やフレーズを覚えておけばよかった」の2つです。簡単な単語でも発音が下手だと、まったく通じませんし、単語やフレーズの知識がないと、言いたいことがカタコトにも言えません。
そこで、最近は、スピーキング上達に絞って「フレーズの暗記」と「発音」の練習を始めました。
使っているのはNHK『ニュースで英会話』などの制作をしていた勝木龍さんが作った教材。毎日10個程度のフレーズをひたすら覚えて、先生の発音を動画で聞き続けるというものです。同じようなことはこれまでしていたような気もするのですが、だいたいはイギリスで作られた教材を使っていて、ネイティブ発音なのはいいのですが、カタカナ発音とどこがどのように違うのか、当然注意はしてくれません。そもそも自分の発音のどこが悪いか気がついていないような私に、それはレベルが高すぎて、あまり効果がなかったのも確かです。しかしこの教材だと、先生が「Yogaは『ヨガ』じゃないですよ、oを発音してください」とか「underは『アンダー』じゃなくで、uを意識して口を小さく開けてください」などカタカナ英語との違いを徹底的に解説してくれます。寝る前、布団の中でこれをぼーっと見ながら発音していると、勉強しているというよりは、ストレッチや筋トレをしているような感覚になります。
フレーズは初級編だと“What’s the date?(今日は何日?)”とか、“It’s so obvious(それは明らかだ)”など一見簡単そうに見えて、実際の会話で使用頻度の高いものばかりが並んでいます。発音とともに覚えておくとかなり使えそうです。その中で、早く実生活で使いたいなぁと、憧れたフレーズがこちら。
When can I reach you?= いつなら連絡できる?
これはビジネスの現場でよく使われるということです。“When can I contact you?”より自然な言い方だそうで、苦手な「W」と「R」の発音を克服して、これが言えたら、できるビジネスマンっぽいなぁと、いつか使える日を夢見て、今日もPC越しに先生と練習をしています。
どうしても勉強が面倒くさい時は、ただ流し読み。「元も子もない」を英訳できるか!?
私にとって、上記のような教材を持って練習することの最大のデメリットが「続かない」ことです。デメリットというより、たんに私の怠惰であり教材側にはなんの罪もないのですが、最近だと、「ここまでは教材」、「ここからはアプリ」、「ここは動画」、「ここはCD」とメディアが分散してしまい、机周りが汚い私にとっては、「あれ? 教科書どこだっけ?」「この練習はアプリ開かないと、あ、ついでにTwitter見よう」となって集中できない時があります。
そんな集中力散漫な時は、(だいたいいつもですが)一本まるまる英語記事をネットで読むことだけに集中することにしています。ノートもスマホもペンもいりません、パソコンだけじっと見ていればいいのです。筋トレしたくない日は、せめて「運動科学」の本を読む、みたいなことでしょうか。ただ、難しい文章だと心が折れるし、そもそも興味のない記事だと、すぐ飽きます。そこで最近見つけたのが、『君二問フ』というサイトです。
日本のアーティストにインタビューした、日本のwebメディアですが、記事に英語の翻訳がついています。かなり長い文章ですが、一回日本語で読んで、意味を理解したのちに英文を読むと「あの表現はこうなるのか」と納得できます。
その中で、なるほどなぁと思った表現がこちらです。
If I say this, it’s too up to the point.
BRAHMANというバンドのTOSHI-LOWさんがインタビューに答えていて、オリジナルの日本語版では「これを言っちゃうと元も子もなくなる」となっています。
“Up to a point ”はケンブリッジの英英辞典では、“to a limited degree”(「上限まで」、または「ある程度まで」)と紹介されています。
そこに“too”が入っていますから、“If I say this, it’s too up to the point”は「もしこれを言ったら、程度(または上限)を超えてしまう」という意味になり、「元も子もない」のひとつの訳し方だなぁと感心しました。長い英文は集中して読まないとなりませんが、毎日なにかしらのエクササイズを続けるためには、日本語を読んでから、このように力を抜いた読み方をする日もあっていいと思っています。とにかく「英語を見る」「英語でなにかする」を続けることが大事で、そのためには強度を緩めたっていい……と自分の勉強法を正当化している毎日です。
MOMOKO YASUI
編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英、’20年帰国。