35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第67回!
日常会話にしれっと出てくる、drives me nutsってなんだ?
先日オンラインでアメリカ人アーティストにインタビューをした際、恥ずかしながら3割程度しか英語がわかりませんでした。しかしプロの通訳さんに入っていただいていたので、「とりあえずなんの話をしているか、概要だけわかればいいや」と思い、話を聞いていました。普段、日本語でのインタビュー中は、相手の方が話した印象的な言葉をメモしています。しかしながら今回のインタビュー言語は不得意な英語でした。あとでその時の取材メモを見返すと、印象的な言葉というよりは「聞き取れたけど、意味が思い出せない単語・フレーズ」ばかりが残されていました。その中のいくつかをご紹介します。
It drives me nuts.
直訳すると「それはわたしにナッツを運転」でさっぱり意味がわかりません。メモにはご丁寧にこのフレーズがぐるぐると丸で囲まれていて、「何度か聞いたことのあるイディオムなのに意味が思い出せない」イラつきが、伝わってきました。
drive someone nuts =someone をイラつかせる
ということだそうで、“It drives me nuts”は「それは私をイラつかせる」という訳になります。同じように“drive someone crazy”というフレーズも使うことができるようです。このインタビューでは「混雑した場所」について語っていて「混んでるところにいるとイライラする」というような話でした。
“It drives me nuts(「それがわたしをイラつかせる」)”の意味が思い出せず、イラついていたというのは随分滑稽なことでした。
次のメモはこちらです。
counterproductive
「カウンタープロダクティブ」。プロダクティブは「生産的」だったけど、「カウンター」がつくとなんだ? と心が折れたのでしょう、メモにはとても弱々しい筆圧で書かれていました。
counterproductive =逆効果
“counter”と聞くとどうしてもバーのカウンターとかそういうものをイメージしてしまうのですが、「逆の」「反対の」という意味もあります。サッカーで攻められていたチームが逆に一気に攻め返す「カウンターアタック」というものがありますが、おそらくあれもその「カウンター」かと思われます。
この場合は「逆生産的」=「逆効果」ということでしょう。インタビューの内容はこういうことでした。
Thinking too much is counterproductive.(考えすぎは逆効果になる)
語彙力がなく、「逆効果」というようなことを言いたい場合は、“It’s opposite(それは反対です)”としか言えていなかったので、“counterproductive”、使えたらカッコいいな、と密かに憧れました。実際ビジネスの場ではかなり使われているかと思います。
ビジネス略式英語、アップデート!
ASAP(as soon as possible = なるべく早く=なるはやで)や、FYI(For your information = あなたの情報のために = 参考までに)など、世界中で略式ビジネス用語が使われています。日本でもかなりのビジネスマンの方が使っていますが、日本語メールではなるべく全編日本語で書きたい派の私は、故にとてもビジネス略式英語に疎くなっています。
もうそんなの知っているよ! と思う方も多いと思うのですが、流行遅れの私が最近発見した2つのビジネス略式英語がこちらです。
Webiner
私が開催しているオンライン日本語教室に来てくれている、フランス人ビジネスマンが使った言葉です。「ウェビナー」って何? フランス語? と思ったら、なんてことない話でした。
Webinar =ウェブセミナー
試しに「ウェビナー」とカタカナで検索したら、たくさん出てきたので、世界中で使える言葉ではありますが、もう日本語としても地位を固めていたようでした。
次の言葉も同じフランス人ビジネスマンが使っていました。
IMO
「あれ? VIO脱毛のこと? Mってどこ?」と一瞬でも思ってしまったことがとても恥ずかしいです。
IMO = In My Opinion(私の意見では)
彼はメッセージアプリで、文章を短くするためにこんな風に使っていました。
IMO:The previous textbook is better for beginner(私の意見では、以前の教科書の方が、初心者に適していると思う)
他にも略式ビジネス英語はまだまだあるようで、実際に使うかどうかは別にして、目にしたものはどんどん覚えていきたい所存です。
MOMOKO YASUI
編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英、’20年帰国。