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2020.08.05

「投資の基本。卵を一つのカゴに盛ってはいけない」ABCash児玉隆洋

新型コロナウイルスにより、多くの人がお金について真剣に考えたはずだ。先行きが見えないなかで、今後 どうお金と付き合い、増やしていけばいいのか。この連載では、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」 を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。アフターコロナのお金論5回。

アフターコロナのお金論

アインシュタインが人類最大の発明と言ったのは?

コロナにより将来のことを改めて考え、投資に関心を持った方も多いのではないでしょうか。世界的な株価変動のニュースが流れていたり、特別定額給付金の使い道として投資挑戦を考えている人も多く、証券口座の新規開設数も増加傾向にあります。

ただ投資と言っても、株式投資、投資信託、FX、不動産投資、債権投資などいろいろな種類がありますが、私たちは学校の教育過程で教わることも少なかったので、金融機関で働いていたりしない限り、ほとんどの方がそれぞれを詳しく知ることなく日々を過ごしていると思います。ということで、今回はコロナで関心の増えている「投資」についてです。

アインシュタイン博士。相対性理論が有名ですが、「○○こそが人類最大の発明である」と発言したと言われており、それが実は投資関連のことなのです。金融機関の方はご存知かもしれませんが、答えは「複利」です。

その複利の効果とは、投資で得た利益を再び投資することで、利息が利息を生んで大きくなっていく効果のことです。つまり時間をかければかけるほど、お金自身が働いてくれ、金額が増えていくわけです。
複利の反対は単利ですが、単利は元本に対してだけ利息がつきます。複利、それが人類最大の発明なのか? と思われた方、実際の数値をみてみましょう。大きなファイナンシャルポイントがあります。

それでは一つ目の、お金のトレーニングです。元本1000万円、金利5%、運用期間30年の場合、単利と複利でどのくらいの差額になるでしょうか?

まず1年後から。元本1000万円の5%である50万円の利息がつきますので、単利だと1050万円、複利でも1050万円となり、この時点では差額は0円です。2年後、単利だと1100万円、複利だと約1102万円となり、差額で2万円以上となります。では一気に30年後はどうなっているでしょうか? 30年後、単利だと2500万円、複利だと約4321万円となり、差額は1800万円以上にもなるのです。元本は1000万円ですから、元本以上の差もでるのが複利の威力です。

この複利という概念を知っているかどうか、ここが投資においての基本となります。
また複利にあわせて、72の法則というファイナンシャルリテラシーもあるのでご紹介します。複利の場合、72÷金利=お金が2倍になる年数、という法則です。金利1%だと約72年、金利3%だと約24年、金利8%だと約9年で2倍になります。

シンプルな数式ですので、投資を判断する際の材料として持っておくと便利です。
複利の効果を最大化するには、長期であることが欠かせませんが、もう一つ、投資には原則があります。それは卵を一つのカゴに盛ってはいけないという考え方です。

卵を一つのカゴに盛ると、カゴを落とした場合、
全部の卵が割れてしまうかもしれない。複数のカゴに分けておけば、そのうちの一つのカゴを落としてカゴの卵が割れて駄目になったとしても、他のカゴの卵は影響を受けずに済むということ、つまりはリスク分散の考え方です。

投資も同じで、特定の商品だけに投資をするのではなく、複数の商品に投資を行い、リスクを分散させた方がよいという教えです。ですので投資の原則としてよく、「長期分散」と言われるのです。

また、投資の中でも特に一般的なのが株式投資だと思います。そんな株式投資について、二つ目のお金のトレーニングです。株式投資において、株主が得られるリターンは主にいくつあるでしょうか?

答えは、3つです。まずキャピタルゲイン、売却益です。1株価の値動きによって得られる利益のことで、買値より売値が高かった場合に発生します。

次に、インカムゲイン、配当金です。上場企業から受け取る利益の一部で、権利確定日に株式を保有している株主が受け取ることができます。

最後に、株主優待という株主が受け取れる特典です。優待券、自社商品、QUOカードなど、企業によって特典は様々あります。株主優待で生活されている方がテレビにも出演されていて人気になっていますよね。

ただこの株式投資という投資手法は、投資の中ではハイリスク・ハイリターンに分類され、短期で大きなリターンを得られることもあれば、損失が発生する可能性もあることを覚えておきましょう。

投資の神様、ウォーレン・バフェットの格言

では最後に、投資の神様のご紹介します。ウォーレン・バフェット氏です。世界長者番付でもビル・ゲイツ氏についで2位であることも多く、金融機関にお勤めの方で知らない人はいないのではないでしょうか。そんなバフェット氏、様々な格言を残されていますのでいくつかご紹介します。

「買うのは企業、株ではない」

「大事なのは、自分が好きなことを飛びきり上手にやること。お金は副産物にすぎない」

「将来の生産性ではなく将来の価格変動を当てにしているとしたら、それは投機というものだ」

投資と投機の違い、投資の本質。根本をしっかり理解していないと、ついつい安易なお金儲けに走ってしまうこともあります。2022年度、投資家目線からみた資産形成にも踏みこんだ金融教育が、高校の新学習指導要領に入ることが発表されました。「それって、投資じゃなくて投機ですよね」「自分はバフェットを見習ってこういう投資をしようと思っています。先輩は?」などというような若者も増えてくると思います。

若い世代の力こそが、とりあえず貯金という日本の文化を変え、国策でもある貯蓄から投資への流れを強く後押ししていくのです。

Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。趣味はサーフィン。

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