スポーツ選手がそれぞれの競技で勝負するように、ビジネスパーソンは仕事で勝ちに行く。あらゆるシーンでスピードやタフネスが求められる現代のビジネスシーンでは、機敏に動ける俊敏性や瞬発力、ハードワークに負けないスタミナ、咄嗟の判断を下す反射神経、さらにはストレスに打ち勝つ持久力やメンタリティまで、求められる能力は、スポーツに向かうそれと何ら変わらない。実際、吉田輝幸トレーナーのもとには、メジャーリーガーをはじめとする世界レベルのアスリートのみならず、メディアで著名な経営者やビジネスパーソンがこぞって通う。「違い」がわかっているからだ。【吉田輝幸の目指せ!ビジネスアスリート11】
"プライオ"トレーニングで、瞬発力や弾性を高めろ!
スポーツ選手はそれぞれの競技で戦い、ビジネスパーソンは仕事で勝負する。そんなビジネスアスリートとしての勝てる体は、単に筋トレやランニングのルーティンだけでは決して得られない。超時間のハードワークにタフなプレゼンや交渉ごと、緊急の問題解決に速さが問われる行動力など、求められるのは「ビジネス」スキルではありながら、瞬発力、持久力、スピードに反射神経といった肉体の持つ機能、それも多岐にわたる能力にほかならないからだ。
こうした多角的な力を高めるために、必要なのは「6つの歯車」。
① コレクティブエクササイズ/体のクセや機能不全を改善して正しい使い方に導く
② レジスタンストレーニング/筋肉増加&筋力アップのための筋トレ
③ プライオメトリクス&ムーブメント/瞬発力を高めて瞬時にパワーを出せる体に
④ ESD/心肺機能を高め、少ない労力でラクに動ける効率性向上
⑤ リ・ジェネレーション/疲労回復のためのストレッチや筋膜リリース
⑥ ニュートリション/体づくりのための良質な食事
このうち、③「プライオメトリクス&ムーブメント」のメニューを重点的に紹介する。プライオメトリクストレーニングは、ジャンプなどの瞬間的なパワーを発揮させる動きによって、筋肉の瞬発力や弾性を高めるトレーニング。ポイントは、自身の筋肉の力だけでなく、地面からの反発(床反力)を使って動けるようにすることだ。跳ぶ、歩く、走るといった日常の基本的なさまざまな動作(ムーブメント)も、体重など重力に対する地面からの反発力を使っているからできることで、筋力だけでは自分の重心を移動させて動くことはできない。
たとえば走っているときには、片足が地面につくほんの一瞬で、体重を地面に伝え、その反力として体重を支えて上に持ち上げる力(鉛直方向の力)と、前に進む推進力を得ているのだが、この「一瞬で体重を使って地面を押す」ことができないと、
「接地時間を長くして力を加えるベタベタ走りになるか、足首やひざを伸ばすなど動作を大きくとって体を浮かせるしかなくなります。速く走れないどころかケガのもとにもなるし、すぐに疲れてしまいます」(吉田さん)
地面に力を伝えて得られる床反力は、止まる、曲がる、ひねるといったブレーキや方向転換にも必要だ。今回は、下半身を左右にひねって回旋させるジャンプのトレーニング。
「ひねる動作も、日常の中で必ず使う動きです。無駄な力を使わずにスムーズに動けるよう、しっかり取り組んでください」
▼ローテーション(全速力で5秒程度)
Teruyuki Yoshida
パフォーマンス、スペシャリスト。トレーナー歴25年で数多くのトップアスリート指導からヒントを得て最短で最大の効果を出せる「コアパフォーマンス®︎」を考案し、数多くのトップアスリートやアーティスト、ビジネスパーソンのトレーニング指導をおこなっている。