スポーツ選手がそれぞれの競技で勝負するように、ビジネスパーソンは仕事で勝ちに行く。あらゆるシーンでスピードやタフネスが求められる現代のビジネスシーンでは、機敏に動ける俊敏性や瞬発力、ハードワークに負けないスタミナ、咄嗟の判断を下す反射神経、さらにはストレスに打ち勝つ持久力やメンタリティまで、求められる能力は、スポーツに向かうそれと何ら変わらない。実際、吉田輝幸トレーナーのもとには、メジャーリーガーをはじめとする世界レベルのアスリートのみならず、メディアで著名な経営者やビジネスパーソンがこぞって通う。「違い」がわかっているからだ。【吉田輝幸の目指せ!ビジネスアスリート⑨】
筋肉の瞬発力を高めるプライオメトリクストレーニング
スポーツ選手はそれぞれの競技で戦い、ビジネスパーソンは仕事で勝負する。そんなビジネスアスリートとしての勝てる体は、単に筋トレやランニングのルーティンだけでは決して得られない。超時間のハードワークにタフなプレゼンや交渉ごと、緊急の問題解決に速さが問われる行動力など、求められるのは「ビジネス」スキルではありながら、瞬発力、持久力、スピードに反射神経といった肉体の持つ機能、それも多岐にわたる能力にほかならないからだ。
こうした多角的な力を高めるために、必要なのは「6つの歯車」。
1. コレクティブエクササイズ/体のクセや機能不全を改善して正しい使い方に導く
2.レジスタンストレーニング/筋肉増加&筋力アップのための筋トレ
3. プライオメトリクス&ムーブメント/瞬発力を高めて瞬時にパワーを出せる体に
4.ESD/心肺機能を高め、少ない労力でラクに動ける効率性向上
5.リ・ジェネレーション/疲労回復のためのストレッチや筋膜リリース
6.ニュートリション/体づくりのための良質な食事
このうち、瞬発力と弾性を高める③「プライオメトリクス&ムーブメント」のメニューを重点的に紹介する。プライオメトリクストレーニングは、ジャンプなどの瞬間的なパワーを発揮させることで、筋肉の瞬発力を高めるトレーニング。歩く、走る、止まる、曲がるといった日常の基本的な動作(ムーブメント)においても、自分の筋力とともに床からの反発力もうまく使って効率的に動けるようにするものだ。
前回の「ボーゴジャンプ」(真上に跳ぶジャンプ)に続いて、今回はスキップ。
「スキップもジャンプも、大人になるとほとんどすることがないのでは?」と吉田さんが言うとおり、どちらも日頃の生活の中でめったに行わない動作だろう。
しかしこれらは自分の体の力ではなく地面からの反発力を使って動けるようになる効果がある。「デコピン」をする際に、親指で強い力を中指に伝えてはじくと、中指にはそれほど力を入れなくても強いデコピンになるが、メカニズムはこれと同じ。地面からの反発力を十分利用できるようになると、体の余計な力を使わなくても大きなパワーを生み出せるようになる(吉田さんいわく「デコピン理論」)。
床反発を取り入れるためには、足のつま先だけで蹴り上げるのではなく、足首を曲げた状態で、足裏全体でフラットに着地する。また、腿を高く上げて上に跳ね上がろうとするのではなく、脚を振り下ろすことを意識するといい。
▼スキップ(10~15歩が目安)
Teruyuki Yoshida
パフォーマンス、スペシャリスト。トレーナー歴25年で数多くのトップアスリート指導からヒントを得て最短で最大の効果を出せる「コアパフォーマンス®︎」を考案し、数多くのトップアスリートやアーティスト、ビジネスパーソンのトレーニング指導をおこなっている。
Illustration=NORIO