今回はZOZOチャンピオンシップ2024年大会のチャンピオン、ニコ・エチャバリアが取り組む練習法を紹介。
波に乗ると勝負強さを発揮
2024年のZOZOチャンピオンシップは、コロンビアのニコ・エチャバリアが4日間トータル260打で堂々の優勝。第1回の優勝者、タイガー・ウッズの261を上回る大会最少ストロークを記録した。
エチャバリアは2023年にプエルトリコオープンでツアー初勝利を挙げたが、同週にアーノルド・パーマー招待があり、出場選手層が薄いなかでの勝利だった。今回はビッグネームたちが出場する試合で、堂々としたプレーぶりを見せて勝利を手にした。
エチャバリアは調子の波がある選手だ。
2023年は26試合中7試合しか予選通過できず、ベスト10入りも優勝の1回のみ。2024年はZOZOチャンピオンシップで優勝するまで27試合中15試合の予選通過、ベスト10は1回という成績だった。
2023年に比べて成績は上向いたものの、安定感に乏しい選手と言わざるを得ないだろう。
ただ、彼の魅力はベスト10入り3回のうち、優勝が2回というハマったときの爆発力だ。今大会はほぼノーマークながら、トップ選手が参加した試合で結果を残すことができたのは、勢いに乗った時の勝負強さによるものかもしれない。
今回の優勝で2025年のメジャー初戦、マスターズと全米プロへの出場権を獲得したが、メジャーのようなビッグネームがそろう試合でも存在感を示すためには、さらなるレベルアップが課題となるだろう。
こうしたシードギリギリの選手が一気にチャンスをつかむというのも、フェデックスカップ・フォールの醍醐味でもある。次は誰が勝利を手にするのか注目したい。
右手のひらを添えてハーフスイング
エチャバリアはフェードボールが持ち球で、体の回転を主体としたスイングが特徴だ。
あるPGAツアーの試合会場でエチャバリアの練習を見たことがあるが、右手のひらを開いたままハーフスイングでボールを打つ独特な練習ドリルを行っていた。
この練習を行うことで、右手のひらをフェース面に見立て、フェースを返さずに体の回転でフェードボールを打つことができるようになる。コーチと腰の回転を確認しながら、繰り返しハーフスイングの練習を行っていた。
この練習ドリルは、右手を使い過ぎてしまう人にも効果的だ。
アマチュアゴルファーの場合、右手に頼り過ぎてしまうとアウトサイドイン軌道のスライスの原因になったり、インパクトでボールを打ちにいくミスが出やすい。
プロゴルファーでもプレッシャーのかかる場面や調子を崩してしまったときなどは、無意識に右手を使いすぎてしまうことがある。そのような場合、プロは片手打ちなどでスイングを調整することがあるが、アマチュアには少しハードルが高い練習法だ。
エチャバリアが行っていた練習法は、右手のひらをクラブに添えてスイングをするので、片手打ちが難しい人におすすめだ。
右手のひらをクラブに添えることで右脇が締まるため、スイング中にクラブをコントロールしやすくなる。そして、右手を開いているので、指や手首でクラブをコントロールしづらくなり、右手の使い過ぎをおさえることができる。
振り幅は腰の高さくらいまでのハーフスイングにおさえ、インパクトゾーンのクラブと体の動きに気をつけながらスイングするようにしてほしい。
スイングの際は、両脇をしっかり締めて、体の回転でクラブを振ることを意識する。インパクトからフォロースルーにかけては、右手をフェース面に見立ててスイングするといい。
フェードヒッターは体の回転を先行させ、フェース面を返さないように気をつけながら練習をするといいだろう。
余計な右手の動きを抑えられれば、スイングの精度が上がるはずだ。切り返しやインパクトで右手を過度に使っている人や、フェードヒッターは普段の練習にとりいれてみてほしい。
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◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。