2024年10月24日から始まる日本で開催される唯一のPGAツアートーナメント「ZOZOチャンピオンシップ」。今回は、注目の出場選手、サヒス・ティーガラを紹介する。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。
ケガを乗り越えて大学ナンバーワンプレーヤーとなる
サヒス・ティーガラは、2020年にプロ転向した後、2021年秋にPGAツアーに昇格し、2023年9月のフォーティネット選手権で念願の初優勝を手にした。
2024年シーズンはフェデックスカップランキングは3位、プレジデンツカップのアメリカ代表にも選出されるなど飛躍の年となった。
今回は上り調子のティーガラの経歴やプレースタイルなどを紹介しよう。
ティーガラの両親はインド出身で、父親のムラリダールさんはアメリカの大学院に進学し、インドからアメリカに移り住んだカルナさんと知り合って結婚した。そのため、ティーガラはアメリカで生まれ、カリフォルニアで育った。
ムラリダールさんは熱心なゴルフファンの間では有名な存在で、コースで陽気に息子を応援する姿がしばしば目撃されている。
ティーガラがティーショットを池に落として優勝争いから脱落した2022年のWMフェニックスオープンでは、試合後に息子を慰めるムラリダールさんの姿がテレビで取り上げられたこともある。今回も日本でムラリダールさんの姿が見られるかもしれない。
ティーガラはゴルフを始めてすぐにコーチの指導を受けたが、最初にボールの曲げ方を教えてほしいと頼んだという。
ボールを思い通りに操るのが好きだったようで、ジュニアの頃から大きく曲がるボールを駆使してコースを攻略していた。
その後、順調にジュニア時代を過ごし、進学したペパーダイン大学では、ハスキンズ賞、ジャック・ニクラウス賞、ベン・ホーガン賞と優秀な学生プレーヤーに贈られる賞を独占した。
3賞を独占した選手はティーガラを含めて6人しかいない。そして、ペパーダイン大学はこのとき初めて全米ナンバーワンとなった。
だが、大学時代は順調な選手生活ではなく、手首の怪我で1年間試合に出られない時期があり、4年生のシーズンはコロナ禍のため途中で打ち切られてしまった。
生真面目な性格で微妙なプレーを自ら申告
2024年9月のプレーオフ最終戦のツアー選手権で3日目に4位から出たティーガラは、3番ホールの2打目を右サイドのフェアウェイバンカーから打ってグリーン手前までボールを運んだが、バンカーショットのバックスイングでクラブヘッドが砂に触れたかもしれないと気になり、4番ホールの第1打の後に競技委員に申告した。
映像では確認できないと判断されたが、ティーガラはクラブが少し砂に触れたと自己申告して2罰打を加えた。
そんな誠実な対応をゴルフの神様が見ていたのだろう。その後、ティーガラは2罰打をものともせず、終盤で5連続バーディという猛ラッシュを見せてスコア66をマークし、通算17アンダーの3位に順位を上げた。
ゴルフは自己申告のスポーツであり、ティーガラの行為は当たり前と言えるものの、自己申告をしたことですっきりした気持ちでプレーできたと語るティーガラのフェアプレー精神は賞賛するべきだろう。
フェードボールのポイントは体の回転
ボールを曲げるのが得意なティーガラの武器はフェードボールだ。
フェードボールを打つには、体の回転を先行させてクラブを少し遅らせるのがポイントだ。今回はティーガラのようなフェードボールを打つための練習法を紹介しよう。
フェードボールを打つために、右腰の高さあたりまで上げたクラブを、腰を回転させながらインパクトで止めるシャドースイングを行ってみてほしい。
インパクトでおへそが目標方向を向き、手元は若干ハンドファーストの状態になるよう意識しながらインパクトで動きを止める。常に体の回転を先行させ、クラブはその動きに連動して少し遅れるイメージだ。
インパクト時の体の向きやクラブの位置、フェースの向きを確認しながらシャドースイングを繰り返すといいだろう。
シャドースイングで体が先行するイメージを確認したら、次はハーフスイングでボールを打ってみる。ポイントはフェースを返したりヘッドを先行させたりしないことだ。
常に体を回転させてクラブを振り抜き、フェースを閉じないようにする。体の回転が止まってしまうとボールが左に曲がってしまうので気をつけたい。
体の回転を先行させるスイングを身につけ、ティーガラのような力強いフェードボールを目指してほしい。
動画解説はコチラ
吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。