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GOLF

2023.06.14

全米プロ優勝、復活したメジャーハンター・ケプカに学ぶ、飛距離UP術

2023年6月に開幕する全米オープンでの注目プロのひとり、全米プロも制したブルックス・ケプカ。アマチュアゴルファーも活用できる、彼のスイング術を動画付きで解説する。

ここ数年、けがや故障に苦しめられていたブルックス・ケプカは、2023年に入ってかつての輝きを取り戻しつつある。昨シーズンからLIVゴルフに移籍したが、4月のオーランド大会で今季初優勝を果たした後、5月21日には全米プロ選手権で2019年以来の優勝カップを手にした。全米プロは3勝目でメジャー通算5勝目となる。マスターズでも2位タイだったことを考えると、メジャーハンターと呼ばれていた頃の調子を取り戻したと考えていいだろう。

マイペースでメジャーに標準を絞る

米国フロリダ州出身のケプカは2012年にプロ転向し、2014年までは欧州ツアーを主戦場にしていた。2015年にPGAツアーに逆輸入ルートで参戦し、同年の「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」で米ツアー初優勝を果たした。その後、2017年に全米オープンでメジャータイトルを初めて獲得し、2018年には全米オープンと全米プロの2つのメジャーを制覇。2018年に世界ランキング1位の座に就き、2019年には全米プロを連覇するなど、一気にトッププロに駆け上がった。

ケプカは2017年から2019年の3シーズンで4つのメジャータイトルを獲得したことから「メジャーハンター」と呼ばれ、徹底してメジャーに標準を絞ってプレーをしていた。PGAツアー時代は「メジャートーナメント以外の試合には興味がない」と語っていたとおり、メジャー以外の試合では、月曜日から現地に入ってコースを確認したり練習をしたりする選手もいる中、大会前日の水曜日にコースに現れ、練習もそこそこに9ホールだけ練習ラウンドをして試合に臨むこともあった。まるで、普段の大会は調整の練習ラウンドと捉えているようだった。

しかし、メジャートーナメントになると別人になり、2019年のマスターズでは前週から現地に入って熱心にボールを打ち込んでいた。彼の自宅には優勝カップを並べる棚があるが、真ん中はマスターズのグリーンジャケットを飾るために空けているという。それほど、メジャーへのこだわりは強く、メジャーに勝つためにマイペースを貫いていると言ってもいいだろう。

そうした我が道を行く姿勢は、今も変わっていないようだ。今回の全米プロの優勝はLIV勢による初のメジャー優勝ということもあり、ゴルフ界の注目を浴びた。だが、当の本人はインタビューで「正直に言うと、今は自分自身に興味がある。今回の勝利はLIVにとって大きなことだが、私は個人として全米プロゴルフ選手権に出場しているんだ」とLIVにとっての意味合いなど自分には関係ないと言ってのけた。

さらに慣例となっているニュース番組への出演も断り、さっさと自宅へ帰ってしまうというマイペースぶりだった。

しかし、本人が意に介していないとはいえ、LIV勢がメジャーを制したのは、ゴルフ界にとって大きなニュースだ。今後の世界ランキングのあり方や、ライダーカップ出場などゴルフ界に議論や変化をもたらすことになるだろう。今後のケプカの戦いぶりから目が離せない。

下半身と地面反力を利用して前後軸を回転させる

ケプカのスイングの特徴は、「前後軸」の回転を原動力としていることだ。前後軸という言葉に馴染みがないかもしれないが、パッティングのように肩が縦回転する動きをイメージしてほしい。パッティングでは肩が上下に動いて縦回転しているが、この肩の縦回転の動きが大きくなったのがスイング中の前後軸回転だ。この前後軸回転により、インパクトゾーンが長くなり、再現性が高く、飛距離の出るボールを打つことが可能になる。

この前後軸を中心とした回転スピードを上げるには、縦方向の地面反力を使う必要がある。それを実感するために、クラブを短く持って深く前傾した状態で、肩を縦回転させてみてほしい。この状態で膝をがっちり固定すると体が回しにくいが、両膝を交互に伸ばすと体が回転しやすくなり、回転の速度も上がるはずだ。

特に切り返しで左足を踏み込み、ダウンスイング後半で左膝が伸びて右肩が下がりながら回転することで、回転スピードが上がることがわかるだろう。加えて、フォロースルーを低く長く出すことができることも実感できるはずだ。このように足を積極的に使うことで、地面反力によって前後軸回転を速めることができるようになる。

下半身を効率よく動かすと、地面反力を使って前後軸を回転させることができる。決して、自分の力で肩を回しているのではないので気を付けてほしい。前後軸を効率的に回転させる感覚をつかんで、ケプカのような力強いスイングを身に付けてほしい。

動画で解説

TEXT=吉田洋一郎

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