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GOLF

2021.12.22

至高のパーツを生みだすエポンゴルフの熟練マイスター【世界が認めるゴッドハンドvol.3】

第一線で活躍するトッププロが愛用するゴルフクラブや高機能なゴルフウェア。名品の陰には匠の存在がある。

エポンゴルフ

「どこかバランスが悪いと、そこに目が行っちゃうんです」とクラブを見つめる山宮。

ゴルフクラブは、量販店などに並ぶメーカーのものがすべてではない。特定のゴルフ工房でのみ、手にできるものも存在する。ゴルファーに合わせてカスタムメイドする製品だ。そのなかでも絶大な支持を集めるのが、新潟県燕市に本拠を置くエポンゴルフ。海外にも、唯一無二の打感や形状の美しさなどに魅了された多くのファンを持つ。

その源は、母体である遠藤製作所がゴルフのOEM製造、医療機器や航空機主要部品の製造で培った高度な鍛造技術と、チーフデザイナーの山宮秀一が手掛ける、金型のもとにもなるマスターモデルだ。
鍛造と聞くと、何度も叩く刀鍛冶の姿を思い浮かべるが、同社部長の樋口守は、「そうではありません」と言う。

エポンゴルフ

もとは研磨職人。削るのはお手のものだ。

「たくさん熱して、3回も4回も叩くと、硬くなって打感が悪くなります。弊社では、最低限の数しか叩かず、鉄の良さ、柔らかさを残します。素材にやさしい打ち方なんです」

金型にも、長年にわたって積み上げてきた、さまざまな独自の技がある。

「例えばポケットキャビティのような複雑なものも、ある程度の形状までなら鍛造でつくることができます。その場合、ヘッドだけなら比較的簡単なのですが、弊社ではネックも一体で鍛造しています。潰れた鉄の肉がどのように流れていくかとかいったところで、金型にかなり他とは違うノウハウが詰まっているんです。また、金型の精度を突き詰めてきたことにより、マスターモデルの思いのこもった美しい形状を、精密に金型で再現することもできています。結果、鍛造したときには、ほぼ形になっており、研磨代(しろ)がわずかで済みますから、マスターモデルに非常に近い製品となるんです。ニアネットシェイプと呼ばれるものですね。重量のバラつきも少なくなるので、工房さんでもセッティングしやすいんです」

エポンゴルフ

山宮がアイデアを書き留めているノート。「全然関係ない時に、思いつくことが多いですね」。

マスターモデルは、山宮が研磨機ややすりを駆使して、丁寧に形づくっていく。山宮は、かつて研磨を本業としていたため、その技術は一級品だ。

「削ることに関してはもう、誰にも負けない自信があります。マスターモデルは、2㎏くらいある大きな鉄の塊から、すべて削っていきます。金型のでき上がりもある程度想像しながら、つくらなければいけません」

山宮のマスターモデルに対する視線と執念は、尋常ではない。

「どこかバランスが悪いと、そこに目がいってしまうわけです。構えたときやクラブを眺めたときに、どこから見てもきれいなものをつくるということでやっています。アイアンの全番手の形状フローのきれいさとか。だから最初のマスターモデルは、ものすごく穴が開くほど見ます。いちばん時間をかけるは、見ることですね。それで、もうちょっとここを削ろうかと言って、われわれで言うところの一舐め……」

エポンゴルフ

マッスルバックアイアンの「AF-Tour MB」と、48度から60度まで7つのロフトをラインナップする「Tour Wedge type M」。

一舐めのことを、「一回、シュッと擦るだけです。山宮は違和感があるからやっているようですが、他の人が見てもわかりません」と説明する樋口の言葉に、山宮が続ける。

「それがわからなかったら、この仕事はできません。『なんでそこまでやるんだ?』と言われますけどね。あとから、こうすれば良かったと思うこともあります。でも、それは仕方がないこと。だからこそ、その時その時で100%を出し切らないといけないんですよ」

エポンゴルフについてはこちら

TEXT=柴 トシユキ

PHOTOGRAPH=筒井義昭

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