ゴルフ歴1年で70台に突入した大塚友広さんのゴルフ論とは。短期連載「スモールスイング・レボリューション」3回目。
練習場とコースのドライバーは別物。リズムに注力し、脱力せよ
超ハードスペックのドライバーの練習で、ヘッドスピードは明らかに早くなっていました。これは、自分でも実感できるものでした。超ハードスペックのドライバーを使ってボールを飛ばすということを考えたため、勝手に力を入れるポイントが変わっていったのでしょう。ただ力任せに振ってもボールは飛ばない。それを理解できた証拠だと思います。
また、この時期、久々に仲間で行う草野球に参加しました。大きな違和感を覚えたのは、打席でバットを振った時でした。
野球のスイングは、テイクバックからボールに向かって一気に一直線に振り下ろします。スイングのゴールは「ボールとぶつかる瞬間」です。
しかし、ドライバーは違います。ボールよりも先(インパクト後)に設定する必要があります。超ハードスペックを使用することで、そのことに身体が慣れてしまい、バットをいくら振ってもボールに当たりませんでした。野球のスイングとゴルフのスイングが大きく違うということを、身をもって感じました。
これらの経験から、「ドライバーの不思議」をさまざまな要因から探るようになり、最終的には「フェースとボールの接触時間にあるのではないか」と考えました。零コンマ何秒の世界ですが、ほんの少しでも接触時間が長くなれば、厚い当たりになり、スライスが激減。安定性と飛距離の両方が望めるようになると思ったのです。
つまり、“インパクト前”よりも“インパクト後”にスイングのゴールを設定し、そこをめがけてクラブを振っていくことで、クラブのフェースとボールの接触時間を長く保てるようになるのではないか、ということです。
このために私は、素振りのトレーニングでも、よりスイングの後半に強い力が働くようにしました。そうすることで、ヘッドスピードは変わらないものの、ドライバーの飛距離は大幅に伸びたのです。
この時、目線軸はボールとのあいだで保っています。そしてドライバーのヘッドがボールを通過する瞬間をきちんと見届けてから顔を上げています。ですので、インパクトよりあとをしっかりと振っていくためには、素振りの練習が必須となります。
実際、ボールとの衝突があるため、インパクトの瞬間よりあとは確実にスイングスピードは遅くなります。しかし、スイングの後半に最も速いスイングスピードを意識することで、ボールとの接触時間は少なからず長くなります。たった一瞬の出来事ではありますが、そこに安定して飛距離が出る要因があるという結論に至ったのです。
また、スイングの後半を強くすることで、大きなスライスが出ることも非常に少なくなりました。
ドライバーは「インパクト後の50センチ」。これが弾道を安定させ、さらに飛距離を伸ばすポイントです。ただただヘッドスピードを追うのではなく、最も加速するポイントを整えることで、飛距離と安定性は大幅にアップするのです。
超ハードスペックのドライバーを力任せに振り回したことで、ドライバーの大きな気付きを得ることができました。やはり、教わったことをただ実行するだけではなく、やってみることから自分自身で気付きを得ると、それは身体の芯まで染みつきます。とくにゴルフはそういった経験値の積み重ねが大切なスポーツです。
ただただボールを打つだけでなく、ゴルフの不思議を追いながら、自分で物事の理由を追い、見つける癖をつけていくことで、より深く、面白くなっていきます。運動神経のいい人だけがよいスコアを出せるスポーツでないところは、そういった部分も関係しているのではないかと思います。
また、超ハードスペックのドライバー練習は、スイングにおける「遠心力」の重要性も教えてくれました。それはもう少しあと、80台に入るあたりのことでした。
Tomohiro Otsuka
群馬県富岡市生まれ。独学でゴルフ理論を構築し、1年でベストスコア70台前半に到達する。オンラインゴルフコーチング「Natural Works Golf」も主宰。著書に『マンガで身につく! 普通のビジネスマンがゴルフ歴たった1年でスコア70台を出したメソッド。』『新装版 ゴルフはインパクトの前後30cm』『新装版 スモールスイング・レボリューション ゴルフ歴1年で70台に突入できる30cmトレ』がある。