GOLF

2020.09.25

ゴルフプロとアマのパッティングラインの読み方の違いとは?

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム113回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

吉田洋一郎

3本のパッティングラインを意識する

どのゴルファーでもパッティングの前にはラインを読むと思う。ゴルフを始めたばかりの初心者でも、グリーン上でフックラインかスライスラインかは確認するだろう。シングルプレーヤーレベルともなると、左右の曲がり幅や上り下りだけではなく、芝目や風の影響なども考えるようになる。

パッティングのラインの読み方には、「プロライン」「アマライン」というものがある。プロラインは想定したよりも曲がらずに外れるライン、アマラインはカップに対して手前で曲がって外れてしまうラインと定義される。プロは曲がりの頂点を意識し、曲がり幅を大きめに読む傾向があるが、アマチュアはラインを直線的に考え、曲がり幅を小さめに読む傾向があるためこのような呼び名になったのだろう。

例として3メートルのフックラインで考えてみると、プロラインの場合、ボールはカップの右側に外れることがあるが、ボールスピードが遅かったり、芝目の影響でカップインする可能性がある。しかし、アマラインで曲がり幅を小さめに読んでしまうと、強く直線的に打てばカップインするかもしれないが、オーバーのリスクが怖い。適切なタッチで打っても、ボールはカップの左に外れるため、ノーチャンスとなる。

カップインするためには、アマラインを避け、プロラインサイドでいかにラインを読み切るかということが大事になる。

3本のラインを想定しゾーンで考える

多くのアマチュアはボールが転がるラインを1本だけ想定し、そのラインに乗せてカップインしようとしているのではないだろうか。確かに、想定したライン通りにボールが転がり、うまくカップインすれば最高だ。だが、実際には読みが違っていたり、ラインに集中しすぎてタッチをおろそかにした結果、ショートしたり、大きくオーバーするなどのミスをしてしまうこともある。

パッティングのラインを上手に読むといっても、プロだっていつも完璧にラインが読めるわけではない。ましてや、アマチュアが正確にラインを読むのは至難の業だ。

しかし、それは1本の「正しいライン」を読もうとするから難しいのであって、ラインにもう少し幅を持たせればいい。具体的に言うと、3本のラインを想定するといいだろう。

1本目のラインはカップを30センチほどオーバーさせるくらいのタッチのライン。2本目は50センチくらいオーバーする、少し強めのタッチの曲がり幅の少ないライン。3本目はちょうどカップに入る、ジャストタッチの曲がり幅の大きいラインだ。この3本のラインをイメージすれば、強めのタッチと弱めのタッチで構成する「ゾーン」ができる。

3本のラインをイメージすることで、アマチュアが注意を怠りやすいボールスピードを意識することができる。よく「キャディさん、どれくらい曲がりますか?」とラインを聞いているゴルファーがいるが、このようなゴルファーの中にはタッチのことを考えず、曲がり幅しか考えていない場合がある。ボールスピードによって曲がり幅が変わってくるので、どれくらいのタッチを想定しているのかキャディさんに事前に伝える必要がある。「カップに最後のひと転がりで入るくらいの強さで打とうと思っているのですが、どれくらい曲がりますか?」と聞くようにすればキャディさんもアドバイスしやすいだろう。

このようにタッチを考えずに曲がり幅だけを考えてしまうアマチュアには、3本のラインを意識することでボールスピードを意識できるので、適切なラインを読むことができるだけではなく、オーバーやショートのミスも減るだろう。更に、一本のラインに乗せるのではなく「ゾーンの中でボールを転がせば十分」と考えれば、気も楽になるだろうし、ボールスピードをミスしてもゾーン内に収まればカップインの可能性も高まる。

まずは練習グリーンで、傾斜のある3メートルくらいの距離から3本のラインを意識して練習してみてほしい。何球か転がしてゾーンを把握出来たら、ゾーンの内側と外側に何本かティーを刺してゾーンを可視化し、曲がりの頂点であるブレイクポイントを意識しながら練習してみるといいだろう。ボールスピードによってラインが変わってくることが実感でき、徐々にラインを読むスキルが高まってくるだろう。

このようにしてゾーンでラインを読むようにすれば、曲がり幅に対する感覚も養えるし、ボールスピードにも意識がいくようになるはずだ。パッティングのラインを読むときは、ぜひ1本のラインではなく、3本のラインをイメージしてゾーンで考えてほしい。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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