GOLF

2020.08.21

常に同じゴルフスイングをするために、同じアドレスを作る方法

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム108回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

吉田洋一郎

静のアドレス、動のシンクロを確認する

アマチュアゴルファーの中には「練習してもなかなかスコアがよくならない」、または「以前よりスコアが悪くなった」と悩んでいる人が結構多いのではないか。そんなときは、一度基本に立ち返ってみるといいだろう。意外と基本的なことが崩れてしまっていて、それが伸び悩みの原因となっていることもある。今回はスイングの根幹部分を構成する「静と動」、「アドレス」と「体と腕のシンクロ」について解説していきたいと思う。基本をもう一度チェックして、秋からのゴルフシーズンに備えてほしい。

毎回同じアドレスを作る手順

ゴルフはボールが止まっており反射的に動く必要がないため、常に同じスイング動作をすることが求められる。距離や状況に対応するのはクラブの番手やスイングの振り幅であるため、基本的にはスイングそのものを変えるわけではない。そして、常に同じスイングをするには、スイング動作に入る前の準備段階であるアドレスが大切になる。毎回同じアドレスができるように、あらかじめ構える手順を決めておくといいだろう。アドレスの方法は様々あるが、ここではアマチュア向けにシンプルで再現性が高い方法をご紹介したいと思う。

アドレスは、プレーヤーとクラブの唯一の接点であるグリップから始まる。まず両手でクラブを持ち上げ、胸の前で左手、右手の順で片手ずつグリップを握る。この時、手のひらではなく、指でグリップを握ることがポイントだ。指をクラブにひっかけるようにして握ってから、手のひらを被せる。左手は小指、薬指、中指の3本、右手は薬指・中指の2本でクラブを支えるようにして握る。右利きの人は普段使い慣れた右手の人差し指と親指に力を入れがちだが、この2本は軽くグリップに触れるくらいにするといいだろう。

グリップが決まったら、次にアドレスの姿勢を決める。胸の前にある腕とクラブを、ワキが軽く締まるところまで下げる。胸の筋肉が軽く緊張し、上腕部が圧迫される感じが出るポジションだ。腕とクラブを下げたら、骨盤からクラブヘッドが地面につくまで体を前傾させる。最後に軽く膝を緩めればアドレスは完成する。

日本人は骨盤が後傾しやすいため、膝が曲がりすぎてお尻が下がったアドレスをよく目にする。このようなアドレスでは体を使ってスイングすることができないため、方向性を損なうだけではなく飛距離も出ない。膝を曲げてから前傾しようとすると、骨盤が後傾したアドレスになりやすいため、膝を曲げる前に骨盤を前傾させるように気を付けよう。

最後にボールポジションだ。まず、足を閉じた状態でボールをスタンスの中央に置く。そのポジションから、左足を動かしてボールとの位置関係を決める。短い番手なら左足を目標方向に動かす度合いが大きくなるし、ドライバーならほとんど動かさなくてもいいだろう。左足が決まってから右足を開いてスタンス幅を決める。なんとなくボール位置を決めていては、せっかく良いスイングをしても結果は伴わない。番手ごとに適切な位置にボールをセットできるようにしよう。漫然とクラブを構えるのではなく、いつも同じ方法と手順でアドレスを作り、再現性の高いスイングの土台を作ろう。

胸と両ひじでつくる空間を崩さない

以前、世界的に有名なゴルフコーチ、デビッド・レッドベターにスイング動作で何が一番重要か尋ねたことがある。その時、レッドベターは「スイングで大切なのは、体と腕をシンクロさせることだ」と答えた。

人は軽い物を持ち上げるとき、普通は手だけで持ち上げる。重い物を持ち上げるときのように、いちいち下半身や体幹など全身を使って持ち上げる人はいないだろう。それと同じように、ゴルフクラブは軽いため、アマチュアはついつい手や腕などの末端だけでクラブを動かそうとしてしまう。いわゆる手打ちの状態だ。それでは、全身を使うことはできないし、スイングも安定しない。体の動きに合わせて腕が動くことで、手打ちにならず毎回同じ動作を行うことができるのだ。

体と腕をシンクロとは、アドレスでできた両ひじと胸の中央の3点からなる空間をキープしてスイングすることだ。この3点でできた空間をキープするために、腕の運動量を減らし、体の運動量を増やす必要がある。プロは体と腕のシンクロを高めるために、片手打ちやクロスハンドで練習しているが、アマチュアには少しハードルが高いように思う。そこで、体と腕のシンクロを体感するために、ゴムボールなどをこの3点で挟んでスイングしてみるといいだろう。慣れないうちは窮屈に感じ、どのように振ればいいか戸惑うかもしれない。このように感じるのなら、今まで手や腕を使ってクラブを振ろうとしている証拠だ。慣れてくれば、この一体感が心地よく感じてくるはずだ。

ゴルフが上達しない人は末端ではなく、根本がズレている可能性がある。根本を見直すために、まずは基本に立ち返ってアドレスや体と腕のシンクロなどが適切な状態にあるか確認してみよう。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH= 小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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