世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム99回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
久しぶりのコースはリハビリ、まずは楽しもう
休業を続けていたゴルフ場もようやく再開できるようになってきた。これまでのような大人数のコンペはまだ無理だろうが、数人のグループなら感染に注意しながら、久々のプレーが可能だろう。
しかし、久しぶりのコースだからと喜びすぎて、いきなり全力を出してクラブを振りまわしたり、飛ばそうと気合を入れるのは禁物。感覚が戻らない状態でプレーをすると、スイングに変な癖がついてしまうかもしれない。
2ヵ月近いブランクの影響は思っている以上に大きい。今回は久しぶりにコースをラウンドするときの注意点をご紹介しよう。
距離感を入念にチェックする
自粛期間中に自宅で練習をしたり、自粛期間明けに練習場に通っても、なかなか解消できないギャップがある。それは距離感だ。練習場では毎回同じ場所から何球も打てるし、練習マットは滑るためダフリなどのミスを軽減してくれる。特に、100ヤード以内のアプローチやパッティングは実践的な練習を行うことが難しいため、距離感に狂いが出やすい。できれば、早めにゴルフ場に到着して、芝や傾斜を確かめながら距離感をつかんでおこう。
パッティングの練習グリーンが使えるのなら、まずは5メートルくらいの距離で2パットでカップに入れられるように距離感を調整する。いきなり10メートル以上のロングパットを練習する人がいるが、10メートル以上のロングパットを2パットでおさめるのはそもそも難易度が高い。まずは絶対に3パットしてはいけない5メートルの距離感を調整し、慣れてくれば徐々に長くしていけばいいだろう。5メートルの距離からカップの30センチ以内に止まるように距離感をしっかりつかみたい。パッティングの距離感を出すために大事なポイントはインパクトを意識しないことだ。ボールを打つ意識が強いと、インパクトで強くヒットしたり、弱くなってゆるんだりする。ストロークの中でボールをとらえられるように、振り幅とテンポを一定にして練習してほしい。
余裕と練習する場所があれば、アプローチの練習もしておきたい。目標を決めて小さな振り幅から始め、クラブの振り幅とボールの飛び方を確認して距離感をつかむ。アマチュアは、アプローチでボールをヒットすることに気を取られて、どうしても距離感がバラつく人が多い。そのような人はアプローチショットを打つ前に芝を削りながら素振りをしてほしい。素振りをすることでボールを打つのではなく、軌道の中でボールをとらえるイメージをつくりやすい。また、多くのアマチュアはボールをクリーンに打とうとしてトップすることが多いため、芝を削りながら素振りをすることでバンスを滑らせながらボールをとらえる感覚が出る。少しダフらせるくらいのイメージを持って素振りをすることで、距離感も打点も調整できる。距離感の練習はスタート前に余裕をもって、十分に準備をしておこう。
目標に向かって正しくアドレスを取る
コースでプレーをする前に、たいていの人は練習場でスイングの確認をしていると思うが、練習場と実際のコースでは感覚が異なる。特にショットで狂いやすいのが、アドレスの向きだ。練習場では練習マットの向きがガイドとなってくれるので比較的アドレスを取りやすいが、広いコースに出ると目印になるものがなく、方向感覚が狂ってしまうアマチュアは多い。アドレスの向きがズレることで、スイングにも悪影響をあたえるため、ショット前のルーティンで打球の方向を定め、目標に適切に構えたい。
そもそも、アマチュアは飛球線に対し平行ではなく、目標に視線を合わせて最初から右を向いてしまっている人が多い。右を向いていると、そのまま打てば当然右に飛ぶし、向きをスイングで修正しようとするとアウトサイドインのカット軌道になりやすく、ボールがスライスしたり、左に引っかけてしまったりしてしまう。
アドレスを飛球線後方から見たとき、プレーヤーはボールの左側に立っているので(右利きの場合)、自分のスタンスの延長は目標の左側にくるのが正しい。どうしても右向きになってしまう人は、意識して目標の左側を向いて構えるようにしてほしい。飛球線と自分のスタンスの向きを2本のレールに見立て、線路などをイメージして立ってみることもいいだろう。自分ではアドレスの向きを確認するのが難しいので、気の置けない仲間との気楽なラウンドなら、仲間にアドレスの向きを確認してもらってもいいだろう。
あとは、ゴルフを気楽に楽しむことだ。久々のラウンドで、ベストスコアをたたき出すことなど、ほとんどない。あまり自分の技量に期待せず、リハビリのつもりで楽しくプレーしよう。もちろん、感染症対策も忘れずに。