GOLF

2020.01.31

いつもパッティングでショートするのはゴルフボールの回転のせい!?

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム80回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

吉田洋一郎

プロや上級者が気にするボールの回転

「ラウンドの前に、必ずパッティングの感触を確かめておく」という方は多いだろう。実際、ゴルフ場の練習グリーンでは、多くの人が熱心にボールを転がしている。

その日のグリーンの速さや距離感などを確かめておくことは有意義なことだ。

距離感を確認することも大事だが、プロや上級者の場合、ボールの回転をチェックしてその日の自分のパッティングの状態や傾向を確認している。

ボールは順回転をかけるほど、芝目の影響を受けずにまっすぐに進む。逆に過度なバックスピンやサイドスピンがかかると傾斜の影響を受けたり、距離感がバラバラになる。パッティングでは、スライスもフックも打つ必要なく、目標にむけてまっすぐに良い回転のボールを打ち出すことが重要になるのだ。

プロの中にはカット気味に打って、わずかにスライス回転をかける選手もいるが、それも別に曲げようと思っているわけではない。高速グリーンに対応するため、ボールの勢いを殺す効果を狙っている。あくまでもスピードのコントロールのためだ。

ボール回転に影響を与えるアドレス

昨年全英女子オープンを制した渋野日向子選手のプレーでとても印象に残ったシーンがある。全英女子オープン最終日、勝負を決する18番ホールのバーディーパットがきれいな順回転で糸を引くようにカップに吸い込まれたシーンだ。あの大事な場面で最高のパッティングを行う事ができた渋野選手の技術と才能に驚いた。

アマチュアの皆さんはどうすれば渋野選手のようにボールに良い回転を与えることができるのだろうか。結論から言うと、軌道やフェースの向きなどパッティングの基本をマスターして総合力を高めるしかないのだが、一つだけ覚えておいてほしいことがある。

それはパターの入射角だ。パターで打たれたボールは、わずかにジャンプして、そのあと転がっていく。ロフトの角度やボールに当たる場所にもよるが、入射角が急すぎてダウンブローになりすぎるとボールが地面に押し付けられてから回転を始めるので転がりが不安定になる。また、アッパーブロー過ぎてもロフトが付きすぎてボールが上がって転がらなかったり、バックスピンが多くなりすぎたりしてボールの回転が不安定になる。

入射角を安定させるためにリストを使わずに体の回転でストロークをしたり、ボールをヒットする意識を持たないようにすることなど、動作に関して気を付けるべきことはたくさんあるが、一度基本に戻ってボール位置を確認してほしい。

右利きの場合、自分から見てボール位置がスタンス中央より右にあればダウンブロー、左にあればアッパー軌道になる。アマチュアの場合、ボールを真ん中もしくは右に置いている人を見かけることがあるが、その場合ダウンブロー軌道となってボールに適切なスピンを与えることができない。ボールを真ん中よりも左に置いて構え、若干のアッパー軌道でとらえられるようにするといいだろう。スタンス幅やクラブ形状によって適切なボール位置は変わるが、左足内側あたりを目安に自分に合ったボール位置を探ってみてほしい。

良い回転を与えるといっても、無理に回転を加える必要はない。適切なボール位置で、理にかなったストロークをすることでボールに正しい回転を与えることができるのだ。

今度から自分のボールがどのような転がりをしているのか確認しながら練習してみてほしい。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=松川 忍

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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