世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム46回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
スイングに止まった状態は存在しない
練習場に行くとスマホの録画機能や鏡面になったガラス窓で、トップの「形」を気にしている人を多く見る。プロでもスイングのチェックをすることはよくある。しかしプロの場合、チェックの大半は「動き」を確認しているという違いがある。
スイングは始動からフィニッシュまでほんの一瞬だ。常に体のどこかが動いていてテンションがかかっており、それらが連動して一連の動きを作り出す。もちろんスイング中に停止している状態は存在しないし、止まった状態でスイングの一部分を再現するのは不可能なのだ。だから理想とするトップの形を作り、それを確認するのはあまり意味がない。必ず何かが抜け落ちた状態になってしまっているからだ。
理想のトップの高さは目指すべからず
トップの形をチェックしている人の多くは、特に手元やクラブの高さ(深さ)を気にしている。だがこれも一連の流れの中で作られるものなので、止まった状態で確認することはおすすめできない。
例えば、シャフトが水平の状態のトップを作りたいとする。クラブがその位置に収まるように手元の高さや手首の角度を作りこんでも、スイングで再現することはできない。テークバックで勢いがついているので、そのポジションで切り返しを行おうとするとすでに遅く、トップはそれよりも大きくなってしまうからだ。
この「勢い」を加味しないとオーバースイングとなり、見た目もボールの行方も思ったようにはならない。
手元やクラブを置いてくる感覚を覚える
アマチュアの場合、四十肩などフィジカルに問題がある人を除き、たいていトップは適正より深く大きくなっている。これはテークバックの「勢い」を加味せず、適正な高さになったタイミングで切り返そうと考えているからだ。
テークバックの「勢い」を加味するためには、ちょっと早いかなと思うくらいで切り返しを行うとよい。試しにバックスイングで左腕が地面と平行になったポジションで切り返し動作を行ってみるといいだろう。最初はいつもよりタイミングが早いので、少し打ち急いでいるように感じるはずだ。相当小さいトップになっていると感じるかもしれないが、実際には理想としているトップの位置に収まるだろう。
そのときトップで、手元やクラブが置いていかれるような感覚が得られればgoodだ。バックスイングの後半でクラブが減速している間に下半身が動き出せばフッと力が抜ける間ができる。この間があることでダウンスイングの動きの順番が適切となり、スイング軌道が安定してクラブヘッドも走るようになるだろう。
スイングのスピードやテンポは人によって異なるので、これが正解というものはない。イメージがつかみにくければプロのスイングの動画で、切り返し方や間の作り方を見てみるのもいいだろう。
例えば、先日ダイヤモンドカップでキャリア初優勝を遂げた浅地洋佑は、トップでの間の取り方が秀逸だ。身長163cmと小柄ながら正確性の高いショットで、大柄な外国人選手を相手に難易度の高い林間コースを制した。自らのイメージとプロのイメージを見比べて学ぶのも一つの方法だ。