洗練された音楽ににじむアメリカ南部の土の匂い
ノラ・ジョーンズのデビュー作『ノラ・ジョーンズ』は2002年にリリースされ、約3000万枚のセールスを記録。「アルバム・オブ・ジ・イヤー」を含む8部門でグラミー賞を獲得した。そのスペシャル・エディションが発売される。
3枚組全44曲。1枚目はオリジナル盤の最新リマスター。レーベルはジャズの名門、ブルーノート。ノラのこのアルバムにはお洒落なイメージがあるが、アメリカ南部、テキサスの田舎育ち。そんな彼女のルーツであるカントリーやブルースとブルーノートのジャズがクロスし、洗練された音楽が生まれた。
2枚目にはデビュー前のデモ音源が11曲も収録されている。こちらはジャズのリズムが主。ブルーノートでのデビューをモノにしたかったノラは、レーベルのテイストに意識的に歩み寄ったのではないだろうか。
3枚目は20年間お蔵入りになっていた初期のセッション。未発表音源を11曲収録。土の匂いが濃い音楽だ。ノラ作の曲「カム・アウェイ・ウィズ・ミー」は、オリジナルバージョンではジャズも感じる。一方、こちらのセッションでのアメリカの大地を感じる音も魅力的だ。この素朴さが彼女の音楽を特別にしている。
Kazunori Kodate
音楽ライター。『新書で入門 ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(新潮社)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎)など著書多数。