俳優・滝藤賢一による本誌連載「滝藤賢一の映画独り語り座」。約6年にわたり続いている人気コラムにて、これまで紹介した映画の数々を編集部がテーマごとにピックアップ。この年末年始に、あなたの人生と共鳴する一本をご提案! 今回は、心を揺さぶる洋画編
『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』
多くの人を救うためにひとりを犠牲にしてよいものか
みなさんは映画鑑賞後、パンフレットを「購入する派」、「そうでない派」のどちらですか? 普段、パンフは「チラ見派」の滝藤ですが、『アイ・イン・ザ・スカイ』に関してはぜひ買って読んでいただきたい。僕は既に3回ほどむさぼり読みました。鑑賞後、その気持ち、わかっていただけると思います。
オバマ大統領の時代になって、ドローン(無人航空機)によるイスラム過激派への攻撃がブッシュ前大統領時代から6倍以上に増えたそうです。「もはや戦争は現場で起きてはいない、会議室で起きている」んです――。
続きはこちら
『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』
成功者だけが知らない!? あなたがのし上がれた本当の理由
『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』のジェシカ・チャステインは、まさにそんな女性でした。彼女が演じるアナは、一見ニューヨークの上流階級で、金髪の貞淑な妻ながら、夫のアベルが経営するオイル会社にトラブルが起きると、隠し持っていた裏の表情を炸裂させる。そう、この人、実はブルックリンのギャングの親分の娘。肝が据わっているんです。
冒頭、アベルが全財産を懸け、ユダヤ人の土地を買収する賭けにでる。「(取引の場で)馬鹿なことをしないでね」とアナが促すと、「全財産賭けるんだから、これ以上馬鹿なことがあるか」とアベル。こういう何気ない会話がカッコよくて、一気に作品に惹(ひ)きつけられてしまう――。
続きはこちら
『ユダヤ人を救った動物園 ~アントニーナが愛した命~』
『ユダヤ人を救った動物園 ~アントニーナが愛した命~』。舞台は第二次世界大戦中、ナチスの占領下のポーランド。ワルシャワで動物園を経営する夫婦がゲットーに閉じ込められたユダヤ人を匿(かくま)い、延べ300人を逃亡させたという実話をもとにした映画です――。
続きはこちら
『パピチャ 未来へのランウェイ』
死と隣り合わせのなか、自由を求める少女たちの眩いエネルギー
2020年も後半戦。今年はコロナ禍もあり、政治の方針が個人の生活に色濃く影響を及ぼす一年でした。若い時は政治に無関心だった滝藤ですが、政情が急激に変わる時ってどんな感じだろう? と興味を持って観たのが『パピチャ 未来へのランウェイ』です。
アルジェリアの歴史どころか場所すら知らなかったので、冒頭、主人公のネジュマとワシラ、ふたりの女子大生が寮を抜けだし、クラブに行くタクシーの中でジャージからドレスに着替え、メイクしながらキャッキャッしているのが微笑ましい。甘酸っぱい青春劇かと思いました。
ところが――。
続きはこちら
Kenichi Takitoh
1976年愛知県生まれ。初のスタイルブック『『服と賢一 滝藤賢一の「私服」着こなし218』』(主婦と生活社刊)が発売中。滝藤さんが植物愛を語る『趣味の園芸』(NHK Eテレ)も放送中。