漫画から得られる体験やワクワク感は、時に仕事のアイデアとなったり、ベンチャーマインドを刺激して起業家たちの背中を押してくれる。ビジネスの最前線で戦う“漫画好き”社長51人に、仕事や人生の指針となっているとっておきの座右の漫画を教えてもらった。
アイデミー代表取締役社長 石川聡彦/『海賊とよばれた男』
小さな壁にくよくよしてはいけない
出光興産の創業者・出光左三をモデルとした主人公・国岡鐵造(てつぞう)の一生と国岡商店が大企業にまで成長する過程を描いた、歴史経済漫画。原作は本屋大賞も受賞したベストセラー小説。敗戦という圧倒的絶望のなか、1000人もの社員を抱える国岡が下した決断とは―――。「国岡が起業家として突き当たる壁の大きさが21世紀の私たちの直面するものより壮絶すぎて、小さな壁でくよくよしている場合ではない、と気持ちを新たにすることができます」
Akihiko Ishikawa
1992年生まれ。東京大学卒業。同大学院中退。2014年にアイデミーを創業し、’17年にAI特化学習サービス「Aidemy」、2018年には「Aidemy Business」の提供を開始した。
RIN代表 河島春佳/『ゆるキャン△』
ゆるい空気感に癒やされ、仕事への活力をチャージ
女子高校生たちが気ままにキャンプを楽しむ姿が、ゆるやかに描かれた新感覚キャンプ漫画。日常でも役立つ知識が満載。読めばキャンプに行きたくなる、行かなくても行った気分になる―――。「何でもない日常とキャンプでのちょっとした知識を学べる漫画。ただの癒やし漫画ではなく、リフレッシュ時のアウトドアで活躍しそうな情報を楽しく知ることができるので年齢関係なくお薦めです。ホッとして、仕事への活力をチャージできます」
Haruka Kawashima
1988年生まれ。生花店のアルバイトで廃棄になる花の多さに衝撃を受け、ドライフラワーづくりを学ぶ。2019年に、ロスフラワーを活用するRINを設立した。
八面六臂代表取締役 松田雅也/『史記』
時代を超え、栄え続けることの難しさ
「起業などのビジネス経験を踏まえ、改めて読み直すことで、時代を超えた栄枯盛衰の難しさに頷かされました。原典である『史記』がわかりやすく描かれており、部下の裏切りや心の奢り、油断、そして戦略の重要性など、さまざまな気づきを与えてくれます」。中国前漢時代、司馬遷により編纂(へんさん)された歴史書『史記』をもとにした歴史漫画。始皇帝、項羽、劉邦、武帝といった英雄が続々登場し、ダイナミックに繰り広げられる物語が見もの。
Masanari Matsuda
1980年生まれ。三菱UFJ銀行などを経て、2007年にエナジーエージェント(現八面六臂)を設立。’11年に独自の仕入れで多彩な食材を飲食店に卸す「八面六臂」サービスを開始。
エーアイエージェント代表取締役CEO 松本剛徹/『サンクチュアリ』
“光”と“影”の世界を掌握した者が大事を成す
「世の中を変える大きな仕事をしたいと思っているのですが、そのためには表の世界だけではなく、裏の世界も含めて掌握していかなければならないと学んだ漫画です」。カンボジアの戦乱から逃れ、日本へ帰国した過去を持つ北条 彰と浅見千秋。日本の腐敗した政治体制や社会に疑問を持つふたりは、その在り方を根本的に変革するために裏社会と政界に身を投じる―。“サンクチュアリ”を目指すべく、光と影から野望達成に突き進む社会派漫画。
Takanori Matsumoto
1985年生まれ。慶應義塾大学を卒業後、富士通などを経て、2011年にリアルネットを創業。年商10億円企業に育て上げた後に売却。’20年にエーアイエージェントを創業。連続起業家。