漫画から得られる体験やワクワク感は、時に仕事のアイデアとなったり、ベンチャーマインドを刺激して起業家たちの背中を押してくれる。ビジネスの最前線で戦う“漫画好き”社長51人に、仕事や人生の指針となっているとっておきの座右の漫画を教えてもらった。
マネネ代表取締役社長兼CEO 森永康平/『はじめの一歩』
努力とは勝利を実現するために絶対必要な武器
いじめられっ子だった幕之内一歩はひょんなことからボクシングに出合い、熱中していく。1989年にスタートした、連載約31年の長寿人気作。「時折出てくる名言が心に響く。なかでも、『努力した者が必ず報われるとは限らん。しかし、成功した者は皆すべからく努力しておる! 』という鴨川会長の言葉は、必ずしも成功するわけではない、という現実の厳しさもしっかりと正直に伝えていて、自分の人生の指針になっています」
Kohei Morinaga
1985年生まれ。金融機関における調査業務や海外での新規事業立ち上げなどを経て、金融教育ベンチャー・マネネを創業。複数のベンチャー企業の経営にも参画する。
イノセントジャパン代表職務執行役社長 内野正仁/『ぼっけもん』
夢を持つことの重要性を再認識
鹿児島出身の若者が東京で葛藤する泥臭い生き様を描いた、岩重孝の自伝的作品。タイトルの「ぼっけもん」とは、大胆な人、乱暴者を意味する鹿児島弁。「学生時代にこの漫画を読みましたが、不器用な主人公が大都会でもがき苦しみながらも自分の夢を見つけ、その夢に近づいていく姿に共感を覚えた。これから社会人になろうとしていた時の、自身の漠然とした不安を解消し、夢を持つことの重要性を再認識させてくれました」
Masahito Uchino
1962年生まれ。世界最大手エナジードリンク企業の日本法人立ち上げを成功に導く。現在は、ヨーロッパで売上No.1のチルドドリンクメーカーの日本での立ち上げに奮闘中。
Crewto代表取締役CEO 市原孝志/『浮浪雲(はぐれぐも)』
心を自由にする、物事に執着しない生き方
今年5月に亡くなったジョージ秋山の代表作。江戸の宿場町で問屋を営む「夢屋」の亭主・雲が主人公。幕末時代の庶民の生活や人間模様など、人生の機微をコミカルかつシニカルに描く。1973年から2017年にかけて長期連載された。「矮小な考え方、価値観にとらわれていた自分を変えてくれた1 冊。何でもかんでもまじめにとらえすぎず、自分の好きに生きてもいいんだと心を自由にしてくれましたし、精神形成にも役立った作品です」
Takashi Ichihara
1980年生まれ。15年ほどWEB制作事業に携わり、2019年にCrewto(クルート)を設立。チームとしての就職、転職活動をサポートするマッチングサービスを展開する。
カンカク代表取締役 松本龍祐/『センゴク外伝 桶狭間戦記』
歴史を通じて、新しい視点で物事を見る目を養う
宮下英樹による漫画『センゴク』の番外編的作品。織田信長の元服前から桶狭間の戦いまでが描かれている。「戦国時代の原因を小氷河期というマクロな環境変化と、それに対応するための貨幣経済の発展、そして経済戦争の側面から捉えていてとても面白かったです。また、魔王と表現されたり、非道で強く完璧な人間として描かれがちな信長が、情や自分の弱さと戦ったり、父である信秀を乗り越えようと努力する様も新鮮でした」
Ryosuke Matsumoto
1981年生まれ。メルペイなどを経て2019年にカンカクを設立。完全キャッシュレスカフェ『TAILORED CAFE』やモバイルオーダーアプリ『COFFEE App』を展開する。