漫画から得られる体験やワクワク感は、時に仕事のアイデアとなったり、ベンチャーマインドを刺激して起業家たちの背中を押してくれる。ビジネスの最前線で戦う“漫画好き”社長51人に、仕事や人生の指針となっているとっておきの座右の漫画を教えてもらった。
TBM代表取締役CEO 山﨑敦義/『サラリーマン金太郎』
周囲を巻きこむ力で世界を目指す!
亡き妻の故郷で漁師をしていた矢島金太郎が、一流企業のヤマト建設に入社し、成長・活躍する姿を描くビジネス漫画。元暴走族ヘッドという経歴を持ち、サラリーマンの枠にはまらない矢島の大胆な行動が痛快。「矢島金太郎の男気溢れる言動、役職や立場にとらわれずに、会社や周囲の人を巻きこみながら、日本から世界へと活躍していく姿は、自分、そしてTBM社の仲間たちが地球規模の課題に対して取り組む姿とも重なります」
Nobuyoshi Yamasaki
1973年生まれ。中学卒業後、大工見習いを経て中古自動車販売会社を起業。2011年に、プラスティックや紙の代替となる新素材「LIMEX」の開発・製造などを行うTBMを設立した。
レベルファイブ代表取締役社長兼CEO 日野晃博/『キャプテン』
主人公が努力して這い上がっていく展開はアツい
「(初代)主人公の谷口は、前の学校で野球部の落ちこぼれでしたが、名門校出身ということで、実力以上の期待をされてしまいます。そんな彼が周りの期待に応えるべく、本当に努力して好プレイを繰り返していく。そして、最後は本当にすごいやつになり、ついには頼もしいキャプテンになる。その姿に元気づけられますし、こんな人間になりたいと思えます。自分が作品づくりにおいて、常に意識し続けてきた作品です」。野球漫画の不朽の名作。
Akihiro Hino
1968年生まれ。’98年にゲーム会社、レベルファイブを設立。「妖怪ウォッチ」「イナズマイレブン」各シリーズなどで企画原案、シナリオ制作、プロデューサーを務める。
LAPRAS代表取締役CEO 島田寛基/『ヨルムンガンド』
強いビジョンを持ったリーダーの理想像
女武器商人であるココとその私兵少年兵ヨナたちの、火薬と硝煙(しょうえん)に満ちた日々を描く。物語が進むにつれて明らかになる、ココの壮大な計画とは? 「学生時代の自分にとって、主人公であるココは最も身近で理想的なリーダー像でした。彼女はボスでありながらもチームのなかで実質最年少ですが、実現したい世界とそれを実現させるための計画を明確に持っていて、その強い想いにメンバーたちはついてくる。そんな彼女の姿に魅力を感じます」
Hiroki Shimada
1992年生まれ。京都大学を卒業後、イギリスのエディンバラ大学大学院で修士号を取得。同年、AIヘッドハンティングサービスを運営するscouty(現LAPRAS)を創業。
サイカ代表取締役CEO 平尾喜昭/『1/11 じゅういちぶんのいち』
たったひとりの情熱が、やがて多くの人を熱狂させる
才能に限界を感じたことから、中学校卒業とともにサッカーを辞めてしまった主人公の安藤ソラ。しかし、あるひとりの女子日本代表選手との出会いが、彼の心の奥底に眠っていた気持ちを揺さぶり、プロのサッカー選手を目指して再び立ち上がることを決意させる。「今まで読んだ漫画史上、最も泣いた1 冊です。たったひとりの信念や熱意が、どれだけ多くの人々を鼓舞し、前向きにさせるのか、創業初期の自分に教えてくれました」
Yoshiaki Hirao
1987年生まれ。慶應義塾大学在学中の2012年に、データ分析ソリューションを提供するサイカを創業。国内No.1シェアのマーケティング分析ツール「マゼラン」を展開する。